コンピューターウイルスの侵入経路には様々なものがあり、その手口は年々巧妙化しています。身近な例としては、Webサイトやリンクを開いただけでウイルスに感染してしまう、URL経由のウイルス感染が挙げられます。
この記事では、URL経由でウイルス感染が起こる原因や、ウイルス被害を防ぐための有効な対策について解説します。
深刻化するコンピュータウイルスによる被害
サイバー攻撃は年々、高度化・多様化の一途を辿っています。そのターゲットは個人、企業、公的機関と幅広く、大きな社会問題となっています。例を挙げると、悪意のあるメールやURLを不用意に開いてしまう、提供元不明のアプリケーションをインストールしてしまうなど、身近なところからウイルスに感染するケースも多く、十分な対策が必要です。
端末やネットワークにウイルスが侵入すると、以下のような症状が発生します。
- 端末の挙動が遅くなる
- 勝手に再起動を繰り返す、起動しなくなる
- 不審な広告やポップアップが何度も出てくる
- 金銭を要求するメッセージが表示される
- 画面がロックされて操作できなくなる
コンピューターウイルスには複数の種類があり、被害の内容も様々です。中には、表立った症状が出ず感染に気付きにくいウイルスも存在するため、知らない間に情報を盗まれ続けたり、他の端末にウイルス被害を広げてしまったりすることもあります。
URLだけじゃない! コンピュータウイルスの感染経路
コンピューターウイルスによる被害を防ぐためには、主な感染経路を把握しておくことも重要です。以下のように、ウイルスの感染経路には様々なパターンがあります。
- インターネット経由の感染
- メールによる感染
- ネットワークによる感染
- USBなど各種記録媒体からの感染
- 不審なプログラムのインストールによる感染
- ファイル共有ソフトからの感染
次の章では、それぞれを詳しく解説します。
インターネット経由の感染
Webサイトを閲覧しただけで、ウイルスに感染してしまう場合があります。Webサイトのプログラムを改ざんし、アクセスしたユーザーを無自覚にウイルス感染させる手口です。
かつては、不審なWebサイトを閲覧しないことだけで有効な対策になると考えられていましたが、近年では正規のWebサイトが不正侵入され、ウイルスを仕掛けられてしまう事例も発生しています。
つまり、正規のWebサイトの閲覧にもリスクがあるということです。
メールによる感染
メールによるウイルス感染もよくあるケースです。メールに記載された不正なURLや添付ファイルを開くことで、ウイルスに感染してしまいます。中には、メールを開封しただけでウイルスに感染してしまう悪質な手口も存在します。
ネットワークによる感染
社内ネットワークといった、複数の端末を同時に接続している場合に起こり得るのが、ネットワーク経由の感染拡大です。ウイルスによっては、感染した端末からネットワークを介して他のPCやサーバーに侵入を繰り返し、感染を広げる危険があります。
社内ネットワークで複数の端末がつながっている環境では、一台のPCがウイルスに感染したことが原因で、社内中にウイルス被害が及ぶ可能性があるのです。
USBといった各種記録媒体からの感染
USBメモリといった外部記録媒体の接続によって、ウイルスに感染するケースもあります。多くのPCには、外部記録媒体を接続するだけで自動的にデータを読み込む機能が搭載されています。そのため、外部記録媒体の中にウイルスが仕掛けられていると、接続するだけでウイルスに感染してしまうのです。
USBメモリがウイルス感染していることに気付かないまま様々な場所で使用すれば、各所で感染が広がりさらに被害が大きくなります。
不審なプログラムのインストールによる感染
提供元不明のアプリケーションをインストールして、ウイルスに感染するパターンも多いようです。代表的なものが、画面上に「あなたのコンピュータはウイルスに感染しています」といった嘘のメッセージを表示し、ユーザーの不安を煽る手口です。ウイルスを仕込んだ偽のセキュリティソフトのインストールを促し、ユーザーの端末にウイルスを侵入させます。
また、ユーザーの興味を引くようなコンテンツで注目を集め、不正なファイルやソフトウェアをダウンロードさせて、ウイルス感染を誘う手口もあるため注意しましょう。
ファイル共有ソフトからの感染
ファイル共有ソフトとは、インターネットを通じて他のユーザーとファイルのやり取りができるソフトウェアのことです。不特定多数のユーザーが自由にファイルの公開、共有を行うため、ネットワーク経由でウイルスに感染してしまう危険があります。
悪意を持ったユーザーがウイルスを仕込んだファイルを公開しているケースや、故意ではないもののウイルス感染したファイルがやり取りされている可能性もあり、ファイル共有ソフトの安易な利用は感染リスクが高いと考えられます。
URL経由のウイルス感染を防ぐには?
インターネットを利用する中で、「Webサイトを閲覧する」「URLリンクをクリックする」という行為は日常的なものです。コンピューターウイルスの感染リスクは身近なところにあり、ウイルス対策は必須といえます。
ここでは、URL経由のウイルス感染を防ぐための主な対策を紹介します。
セキュリティソフトを利用する
定番かつ効果的なウイルス対策として、セキュリティソフトの利用が挙げられます。端末にインストールして常駐させることで、インターネットやネットワーク、外部記録媒体からのウイルス感染を防ぎます。
具体的には、ウイルスの検知や駆除、チェックなどが可能で、例えば、ウイルスが仕掛けられたURLを開こうとすると、「このWebサイトは安全ではない可能性があります」といった警告を表示し、アクセスをブロックします。
また、ウイルスチェック機能を使えば、端末内のファイルやプログラムをスキャンし、ウイルス感染の有無を確認できます。万が一、ウイルス感染が見つかったとしても、画面上に表示された指示に従い、駆除することが可能です。
不審なメールに注意する
身に覚えのないメールや、知らないメールアドレスからの連絡など不審なメールは開封しないようにしましょう。メールに記載されたURLや添付ファイルを開いたことが原因で、ウイルスに感染してしまうケースも多いためです。
中には、メールを開いただけでウイルスに感染させる悪質な手口も存在するため、怪しいメールは開かずに削除することをおすすめします。
また、メールアドレスや送信元を詐称したメールで、ウイルス感染を誘う事例も存在します。知り合いからのメールでも内容に違和感があれば、URLや添付ファイルをすぐには開かず、電話などで確認を取るようにしましょう。
怪しいURLを開かない
少しでも怪しいと感じたら、そのWebサイトの閲覧は控えましょう。Webサイト内のプログラムにウイルスを仕込み、感染させる手口もあるためです。
今開こうとしているURLが安全なものか確認したい場合は、リンク先の安全性を評価する
URLチェックサービスを利用するのも一つの方法です。URLを入力するだけで、リンク先のWebサイトが安全かどうかを確認できます。
参考として、無料で使えるURLチェックサービスをいくつか紹介します。
コンピューターウイルス対策の一覧
前章で解説したように、コンピューターウイルスの侵入経路は、URL以外にも複数あります。様々な感染パターンを想定して、有効なウイルス対策を一覧にまとめました。
- ソフトウェアを常に最新バージョンに保つ
- セキュリティソフトを導入する
- 不審なメールや添付ファイルを開かない
- 怪しいWebサイトの閲覧を控える
- 信頼できないアプリやファイルのインストールを避ける
社内でセキュリティ対策に取り組む場合は、ウイルス対策の必要性だけでなく、具体的な侵入経路やよくある感染事例についても周知することが大切です。
業務を行う上で注意すべき点を知っているのと知らないのとでは、対策の効果に大きな違いが出てくるでしょう。
セキュリティソフトの主な機能と役割
WebサイトやURLリンクからのウイルス感染を防ぐには、セキュリティソフトの導入が有効であり、欠かせないものとなっています。
ここでは、セキュリティソフトの主な機能や役割、導入メリットを解説します。
セキュリティソフトの基本機能
セキュリティソフトに搭載されている基本的な機能は以下の通りです。
- アンチウイルス機能
- スパイウェア対策機能
- スパム対策機能
- フィッシング対策機能
各機能について説明します。
アンチウイルス機能
アンチウイルス機能とは、侵入してくるコンピューターウイルスを検知し、排除する機能です。ウイルスの検知方法として代表的なのが、既知のウイルスをデータベース化して、一致または酷似するものをウイルスとして検知する「パターンマッチング」方式です。
定期的にアップデートを行うことで、データベースが最新のものに更新され、新種のウイルスによる感染も防止できます。
また、ウイルス特有の特徴的な動作パターンを検出し、ウイルス判定を行う「ヒューリスティック検知」という検知方法もあります。既知のウイルスだけでなく、未知のウイルスも検知できる点が大きなメリットです。
スパイウェア対策機能
スパイウェア対策機能とは、その名の通り、スパイウェアの侵入や被害を防ぐことを目的とした機能です。スパイウェアが潜むソフトウェアをダウンロードしようとしたり、危険性のあるURLを開こうとしたりすると、アクセスを遮断してスパイウェアの侵入を防ぎます。
スパイウェアは、コンピューターに侵入して情報を外部に送り出すプログラムです。感染すると重要な個人情報や企業の機密情報などが抜き取られ、外部に流出する恐れがあります。
スパイウェアは情報の取得を目的とし、表立った動きを見せないため、感染に気付きにくいのが特徴です。長い間スパイウェアの感染に気付かず、重要な情報を盗まれ続けることも起こり得るので、セキュリティソフトによる対策は必須といえるでしょう。
スパム対策機能
スパム対策機能とは、スパムメールを自動的に除外する機能です。スパムメールを開封したことによるウイルス感染やフィッシング被害は後を絶ちません。
メールを受信すると、メールアドレスや送信元のIPアドレス、メールの内容、添付ファイルの形式などの情報からスパムメールかどうかを判定します。スパムメールと判定されたメールは、自動的に迷惑メールフォルダに振り分けられるため、不審なメールを効率的に排除できるのです。
フィッシング対策機能
フィッシング対策機能とは、ユーザーを騙して経済的価値のある情報を盗み取るフィッシングを防ぐための機能です。実在する有名企業を装ったメールでユーザーを偽のWebサイトに誘導し、そこで自然なかたちで個人情報を入力させるのがフィッシングの代表的な手口です。狙われる情報には、氏名や生年月日、連絡先などの個人情報、クレジットカード情報、銀行口座番号、ID・パスワードなどがあります。
フィッシングに使われる偽のWebサイトは精巧に作られており、見破るのは困難です。フィッシング対策機能があれば、不審なメールを排除したり、不正なURLを検知して警告画面を表示したりできるため、フィッシングによる被害を未然に防げます。
セキュリティソフトを導入するメリット
続いて、セキュリティソフトを導入するメリットを紹介します。主なメリットとして以下の4つが挙げられます。
- 効率的にセキュリティを強化できる
- ウイルス感染時の被害を最小限に抑えられる
- 業務停止リスクを軽減できる
- 被害の範囲や感染源を特定できる
効率的にセキュリティを強化できる
セキュリティソフトは、「Webサイトを閲覧する」「メールを開く」「ファイルをダウンロードする」といったユーザーの行動を常に監視し、危険性を検知すると自動的にブロックします。
例えば、危険なURLを開こうとしたり、有害なアプリケーションをインストールしようとしたりすると、画面上に警告メッセージを表示し、ウイルス感染のリスクがあることを知らせます。
不審なWebサイトやメールを開かない、ユーザー自らがウイルスに感染しないよう意識するなどのことも必要ですが、セキュリティソフトを導入することでウイルス対策を自動化し、効率的にセキュリティを強化できます。
ウイルス感染時の被害を最小限に抑えられる
万が一、ウイルスに感染してしまった場合でも、被害の拡大を抑えられます。セキュリティソフトには、侵入したウイルスを検知、駆除する機能があり感染源の不正なファイルを特定して削除したり、ファイルに潜むウイルスを取り除いたりすることが可能です。
感染後でもウイルスに対処できるため、端末の初期化やシステムの再インストールなど大がかりな復旧作業を回避できる可能性が高くなります。
業務停止リスクを軽減できる
セキュリティソフトは様々な脅威をいち早く検知し、警告を発してユーザーに知らせます。大きな被害が出る前に対処できるため、ウイルス感染による業務停止のリスクの軽減が可能です。
ウイルス感染が発覚すると、企業は一時的に業務を停止せざるを得ません。感染源の特定やウイルスの駆除にはある程度の時間が必要になります。業務停止が長引けば大きな損失につながるため、企業にとってセキュリティソフトの導入は欠かせないものとなっています。
被害の範囲や感染源を特定できる
セキュリティソフトがあれば、ウイルス感染時の対応が迅速化します。被害の範囲や感染源をすぐに特定できるため、ピンポイントで駆除や復旧作業が行えます。正常化までの時間が早くなり、企業が受けるダメージも抑えられます。
また、どのような経路でウイルスに感染したのか特定できれば、今後のセキュリティ対策に生かすことが可能です。
企業にはより高度なウイルス対策・セキュリティ対策が必要
社内のセキュリティ対策がぜい弱であれば、たったひとりの従業員が不正なURLをクリックしただけで、ウイルス感染が社内全体に広がる恐れがあります。ウイルス感染が発端で、長期間の業務停止や大規模な情報漏えいが起こるリスクもあるため、企業にはより高度なセキュリティ対策が必要です。
仮に、企業が所有する端末やネットワークが悪質なウイルスに感染した場合、以下のような被害が発生します。
- 社内の機密情報の漏えい
- 個人情報の流出
- ネットワークやシステムの停止
- 事業・業務の停止
企業にとっては、いずれも避けるべき重大な事態です。実際にどのような被害が出るのか、具体的に紹介します。
社内の機密情報の漏えい
ウイルス感染や不正アクセスによって、社内の機密情報が盗まれる危険があります。例えば、開発中の新製品に関する情報や設計図、未公開の財務情報、営業秘密などが外部に流出すれば企業は大きな損害を被ります。
個人情報の流出
従業員名簿や、顧客リストの流出も重大な問題です。氏名や生年月日、連絡先などの個人情報が漏えいすると、悪用される危険性が高まります。その結果、企業の社会的信用の失墜だけでなく、損害賠償といった金銭的な対応が必要となる場合もあるのです。
ネットワークやシステムの停止
ウイルス被害の範囲や感染源を特定するために、社内ネットワークやシステムを一時停止しなければならないケースもあります。業務が滞る、顧客対応ができないなど、様々な問題が生じます。
事業・業務の停止
ランサムウェアのような悪質なウイルスに感染すると、駆除や復旧が難しく長期間事業や業務がストップしてしまう可能性があります。自社だけでなく、取引先や顧客にまで被害が及んでしまうのです。
ウイルス対策としてセキュリティサービスの導入もおすすめ
サイバー攻撃の手口は巧妙化しており、セキュリティソフトだけではウイルス被害を防げないケースも存在します。対策をより強化したい場合は、セキュリティ対策を専門とする事業者のサポートを受けるのもおすすめです。
テクバンでは、サイバー攻撃に対抗するための様々なセキュリティサービスを提供しています。セキュリティ製品の導入支援もその一つで、SWGやメールセキュリティの導入に関するご相談を受け付けています。
SWG導入支援
SWG(セキュアWebゲートウェイ)は、社外ネットワークへのアクセスを安全かつ快適に行うためのプロキシです。インターネット通信を監視、分析し、悪意のあるアクセスを遮断します。
テクバンでは、「高いセキュリティレベルの通信環境を構築したい」「未知のサイバー攻撃に備えたい」というお客様に最適なSWGソリューションを提供しております。
「Zscaler Internet Access」では、アクセス場所やデバイスを問わない共通ポリシーを設定することによって、セキュアな業務アクセスを実現します。年々高度化する脅威にも対応できる多層防御が特長です。
「Cisco Umbrella」は、HTTPアクセスの際にもちいられるDNS(Domain Name System)サーバー上でのセキュリティ対策により、社内・社外いずれの環境からでも安全なアクセスを実現します。世界規模のITアドバイザリ企業であるガートナー社提唱のSASE(Secure Access Service Edge)にも対応しています。
それぞれ詳しくは、下記のテクバンサービスページよりご確認ください。
Zscaler Internet Access導入支援サービス
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メールセキュリティの強化も有効なウイルス対策です。メールを起点としたサイバー攻撃は後を絶たず、マルウェア感染や不正アクセスによる被害が多発しています。メール内のURLや添付ファイルを開かずとも、メールの開封だけでウイルスに感染するケースもあり、十分な対策が必要です。
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Techvan Cloud App Security導入支援サービス
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URL経由のウイルス感染を防ぐには、セキュリティソフトの利用が効果的
この記事では、URL経由でウイルス感染が起こる原因や、ウイルス被害を防ぐための有効な対策について解説しました。WebサイトやURLリンクを開くことによるウイルス感染は、非常に身近なものです。インターネット通信を行う限り、常にリスクが生じます。
セキュリティソフトやセキュリティサービスで対策を強化し、ウイルス被害を防ぎましょう。