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2023.11.21

通信の玄関を守るゲートウェイセキュリティとは? 対策の種類を詳しく解説

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目次

セキュリティ対策において、まず基本的な対策として着手しやすいのは、個々のクライアント・デバイスで防御を講じるエンドポイントセキュリティです。

しかし、最近のサイバー攻撃は巧妙化が進み、エンドポイントの対策だけでは十分とはいえなくなりつつあります。
こういった時代背景のなかで重視される“多層防御”という概念の一環として、ゲートウェイセキュリティへの理解は欠かせません。本記事では、ゲートウェイセキュリティの重要性や概念について解説します。

ゲートウェイセキュリティの重要性

「ゲートウェイ」とは、異なるネットワーク同士をつなぐものを指します。通常、ルーターといったネットワーク機器がゲートウェイとして配置され、外部ネットワークと社内ネットワークの通信を中継し、プロトコル変換処理が行われています。
以下では、ネットワークの安全な利用に欠かせないゲートウェイセキュリティの重要性について詳しく解説します。

インターネット / 社内ネットワーク間での不正通信を防止する

ゲートウェイセキュリティは、外部ネットワークと社内ネットワークの境界において、不正通信を防ぐ役割を担っています。外部からの不正アクセスや攻撃などがあればすぐに検知し、ブロックして社内ネットワークへの不正通信を防ぐことが可能です。
不正通信を防ぐことで、機密情報や個人情報などの情報漏えいを防ぎ、企業の信頼性を守ることができます。

サイバー攻撃から企業を守る

ゲートウェイセキュリティは、サイバー攻撃から企業を守るために必要です。サイバー攻撃には、マルウェアやフィッシング詐欺、DoS攻撃などがあります。様々な攻撃がネットワークを狙っているため、ゲートウェイを設置してこれらの攻撃から企業の社内ネットワークを守らなければなりません。

ゲートウェイは、不正アクセスや有害なトラフィックを識別して遮断可能です。いったんサイバー攻撃を検知すると、業務を一時的に停めないといけませんが、ゲートウェイがあることで業務の中断も最小限に抑えることができます。

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▼マルウェアの被害を防ぐには? 対策方法と感染時の対処法を解説
▼DDoS攻撃の目的や種類、DoS攻撃との違い、対策方法を解説

情報漏えいや情報盗難を防止する

情報漏えいや情報盗難は、企業の経営損失につながる大きなリスクです。社内ネットワークのアクセス制御やデータの暗号化などのセキュリティ対策をゲートウェイに実装することで、機密情報や顧客データの漏えいを防ぐことができます
情報セキュリティには以下の基本原則があり、ゲートウェイの設置により要件を満たすことが可能です。

原則 概要
ソフトウェアの更新 OSやWebブラウザのぜい弱性を発見し解決する
ウイルス対策ソフトの導入 ウイルス感染を防ぐ
IDとパスワードの適切な管理 使用端末からの情報漏えいを防ぐ

出典:総務省「安心してインターネットを使うために|国民のための情報セキュリティサイト」

こうした基本原則以外にも企業や組織の対策として、総務省では「情報管理担当者の情報セキュリティ対策」を公開し、注意喚起を行っています。

ゲートウェイセキュリティ技術の種類

ゲートウェイセキュリティの技術には、「ファイアウォール」「IDS」「IPS」「アンチウイルス」「VPN」「UTM」といった種類があります。それぞれ簡単に解説します。

ファイアウォール

ファイアウォール(Firewall)は、ゲートウェイに配置されるセキュリティ装置です。「防火壁」という意味からわかるように、外部からの不正通信や攻撃から内部のネットワークを保護するために使用されます。
ゲートウェイセキュリティ対策のなかでは一般的なものです。ファイアウォールは通常、ネットワークトラフィックを監視し、特定のルールやポリシーに従って通信を許可、またはブロックします。
パーソナルファイアウォールと、ネットワーク全体を防御するファイアウォールの2種類があり、さらにフィルタリング動作の違いによって以下のような種類に分けられます。

種類 役割
パケットフィルタリング型 通信を細分化しパケット単位で監視する
アプリケーション・ゲートウェイ型 内部コンピューターの代わりに通信をおこなって悪意のある通信を監視する
サーキットレベルゲートウェイ型 従来のパケットフィルタリング機能にポート制御機能を追加し特定のシステムやアプリを制御する

こうした通信の監視により、不正アクセスや悪意のあるトラフィックを防いでネットワークのセキュリティを向上できます。

IDS

IDS(Intrusion Detection System)は、「侵入検知システム」のことです。ネットワークやシステム内のアクティビティを監視し、侵入や攻撃など異常があればすぐに検知できます。
ネットワーク型とホスト型の2種類があり、それぞれ監視対象や役割が異なります。

種類 監視対象
ネットワーク型 ネットワークセグメント上に設置してトラフィックを監視する
ホスト型 ホスト上に設置して外部通信やソフトウェアのログを監視する

IDSは不正通信を検知し通知する役割のみ担っているため、実際にウイルスの駆除などに対処する機能は備えていません。検知した内容はすぐにセキュリティ運用チームに警告を出すため、ネットワーク異常への迅速な対応が可能です。
事前に不正通信の侵入手口についてパターンを登録しておくことで、早期に検出できます。

IPS

IPS(Intrusion Prevention System)は、「不正侵入防御システム」で、IDSと同様に異常なアクティビティを検出する機能を備えています。IDSと異なるのは、攻撃などを受けたらすぐに対処するところです。不正なトラフィックがあればすぐに遮断するため、ネットワークのセキュリティを強化できます。
IPSは、通信内容から不正な可能性がある通信はすべて検知し遮断します。そのため、製品によっては不正通信と誤って遮断されることも少なくありません。誤検知が増えると業務に支障をきたすため、用途によってはIDSの導入が適していることもあります。また、他のファイアウォールと組み合わせるなどの併用も検討が必要です。

アンチウイルス

アンチウイルスとは、ゲートウェイセキュリティの一環として、マルウェアや悪意のあるソフトウェアからネットワークを守る機能のことです。電子メールやWebトラフィックなどの通信をスキャンし、ウイルスやマルウェアの検出・駆除が可能です。
以下のようなウイルスやマルウェアの感染拡大を防ぐことができます。

種類 概要
ウイルス ファイルに寄生するプログラムでファイル経由で感染する
ワーム 単体で動作するウイルスで自己増殖しネットワークを介して感染する
トロイの木馬 正規ソフトやファイルに成りすまして攻撃をするマルウェアで単独で動作可能
スパイウェア 閲覧ログ・インターネットログ・ID・パスワードなどの個人情報を監視、外部へ転送をおこなう

アンチウイルスは、ウイルスのパターンが登録されたデータベースとパソコン内のファイルを照合して検出・識別を行います。
誤検出が起こりにくいメリットがあるものの、未知のウイルスの検出が難しいといったデメリットがありました。近年のアンチウイルスソフトには、次世代ウイルスの検出・駆除に対応した「NGAV(次世代型アンチウイルス)」が搭載されたものもあります。

VPN

VPN(Virtual Private Network)、つまり仮想プライベートネットワークとは、暗号化されたトンネルを介してデータの送受信を行う通信手段を指します。
専用のトンネルのなかで送受信が行われるため、トンネルの外からはアクセスできません。出張やリモートワークなど、遠隔地から社内のサーバーへアクセスするときに、安全な通信環境の構築が可能です。

種類 概要
インターネットVPN インターネット上に構築されたトンネルを介して通信をおこなうVPN
エントリーVPN 通信事業者のIP網を利用したVPN
IP-VPN 通信事業者の閉ざされたIP網を利用したVPN
広域イーサネット 通信事業者の広域イーサネット

VPNは、データの機密性とプライバシーを確保できるため、遠隔地で公共ネットワークを使用した通信でも安全な利用が可能です。ただし、VPNを介せば情報漏えいが完全に防げるというわけではありません。
VPNを提供するサービス事業者によって、セキュリティレベルに差があります。用途や目的に合わせたVPNを選ぶことが大切です。

UTM

UTM(Unified Threat Management)は総合脅威管理ともいわれ、複数のセキュリティ機能をひとつの総合プラットフォームにまとめたセキュリティソリューションを指します。UTMはファイアウォール、IDS、IPS、アンチウイルス、VPNなどを包括的に提供し、ネットワークのセキュリティを簡素化し効率的な管理が可能です。
近年ではクラウド型のUTMも登場しており、物理的な機器を設置しなくても不正通信や攻撃を防げるようになっています。セキュリティ対策ソフトをインストールできない機器に対する不正通信もブロックできるため、企業のネットワーク全体のセキュリティを高めることが可能です。

UTMは、機能や導入費用が異なります。クラウド型は初期導入費用を抑えられるものの、運用コストがかかります。すでに導入しているセキュリティ対策ソフトとの併用も、よく検討することが大切です。

「ゼロトラスト」の観点ではゲートウェイセキュリティとエンドポイントセキュリティの両立が重要

「ゼロトラスト(Zero Trust)」は、すべてのネットワークトラフィックとアクセスを信頼しないという原則にもとづいた新しいネットワークセキュリティのアプローチ方法です。ゲートウェイセキュリティとエンドポイントセキュリティの両立が重要となります。
ここでは「ゼロトラスト」の考え方やエンドポイントとの両立が必要な理由について解説します。

企業のセキュリティ対策で重要となる「ゼロトラスト」の考え方

近年は業務DX化の促進により、これまで守ってきた情報がクラウドなど社外ネットワーク上にあることも珍しくありません。こうした状況は、従来のような境界でセキュリティ対策を講じても安心とは言い難いでしょう。
そこで企業に広まりつつあるのが、「何も信頼しない」ということを大前提としてセキュリティ対策を進める「ゼロトラスト」の考え方です。

ネットワークに接続しているパソコンのようなエンドポイントに対して、ユーザー認証の強化やデバイスのログ監視をおこないます。ゲートウェイセキュリティと併せて対策することで、セキュリティの強化が可能です。

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▼SASEとゼロトラストの違いとは? 双方の違いや導入メリットを紹介

ゲートウェイセキュリティだけでなくEPPやEDRの導入を

ゲートウェイセキュリティは、ネットワークの境界に配置されます。外部からのアクセスを監視し、不正通信をブロックします。
しかし、社内外のエンドポイント端末にもセキュリティを講じなければなりません。エンドポイントデバイスを保護するためのプラットフォームを、「EPP(Endpoint Protection Platform)」といいます。EPPはエンドポイント上でのマルウェア対策やファイアウォール、侵入検知・防止などデバイスのセキュリティ向上に役立ちます。

エンドポイント上のセキュリティ対策には、「EDR(Endpoint Detection Response)」もおすすめです。エンドポイント上でセキュリティインシデントの検出と対応を行うテクノロジーを指します。
不正なアクティビティや挙動を検知し、異常パターンを検出することが可能です。中には、EPPの機能も併せ持ち、EDR自体で異常の原因となる脅威を隔離・排除もできるものもあります。データ収集も可能なため、今後のセキュリティ対策を強化するにあたって原因の特定に役立てることができるでしょう。

ゲートウェイセキュリティを強固にする様々な製品

社会情勢の変化にともないリモートワークの増加といった、新しい働き方の導入により通信環境のセキュリティ対策に悩んでいる企業は少なくありません。
テクバンは情報漏えいや不正アクセス、サイバー攻撃などに対応するため、様々なセキュリティ対策のソリューションを提供しています。

  • Zscaler Internet Access導入支援サービス
    次世代セキュリティ対策となる「Zscaler Internet Access」は、クラウド型リモートアクセスゲートウェイ「ZPA(Zscaler Private Access)」との同時導入が可能です。複数のセキュリティソフトを導入しなくても多層防御が実現できるため、効率的にセキュリティを強化できます。
    詳しくは、以下のサービスページをご確認ください。
    Zscaler Internet Access導入支援サービス
  • Cisco Umbrella 導入支援サービス
    「Cisco Umbrella」は、DNSサーバーを利用したクラウド型のセキュリティサービスです。シスコ社のクラウドDNSへ切り替えるだけで導入できるため、既存環境に影響を与えることなく、セキュリティを強化できます。
    どの環境から接続しても安全な通信を実現できるため、コストを抑えつつセキュリティ対策を導入したい場合におすすめです。
    詳しくは、以下のサービスページをご確認ください。
    Cisco Umbrella 導入支援サービス

統合型製品で多層構造のゲートウェイセキュリティを

リモートワークの普及やクラウドサービスの利用など、ネットワークのセキュリティ対策は欠かせないものとなっています。ゲートウェイセキュリティ技術には、ファイアウォールやアンチウイルス、VPNなど様々な種類がありますが、個々で導入すると万が一のときに対処が遅れてしまうかもしれません。
巧妙化しているサイバー攻撃に備えるには、エンドポイントのセキュリティだけでは不十分です。多層構造のゲートウェイセキュリティを構築できる総合型製品の導入を検討しましょう。

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