サイボウズ社が提供している kintone(キントーン)は自由度の高い独自アプリの作成や、管理データの一元化、メンバー間のコミュニケーションなどができる業務改善プラットフォームです。利用費用は安価ながら、多様な活用方法があるツールといわれています。実際に、kintone 上で自社独自のアプリを作成し業務効率が進んだという中小企業をはじめとする組織も多いようです。
しかし「kintone が使いづらい」というSNS上のコメントなど一部マイナスの口コミを見て、検討中で導入をためらっているという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで kintone の概要や導入メリット・デメリット、そして kintone の使い勝手が悪いといわれるポイントと、その対策を紹介します。
kintone はどんな特長がある業務ツール?
kintone は、サイボウズ社が提供しているクラウド型の業務改善に効力を発揮するプラットフォームです。
kintone の特長は、アプリ開発に本来は必要なプログラミングなどのIT知識が不要で、一覧表示された項目をドラッグ&ドロップ処理するなどのシンプル操作で、楽にアプリ作成ができる点にあります。他のツールと比較して、非IT部門のメンバーでも利用しやすく、現場の目的や要望にあわせた「使えるアプリ」をノーコードで素早く作成し、カスタマイズも柔軟です。
kintone があれば、わざわざ専門業者にアプリ開発を依頼しなくとも、仕事の生産性を高めるアプリが手に入ります。
また、一度作成したアプリを社内共有することで、これをベースに各部署が必要な改良を加えれば、よりスピーディーにアプリの作成が可能になるというメリットもあります。
そして、kintone で管理できる業務の幅は広く、プロジェクト・案件管理やファイル管理、勤怠管理や受発注管理、顧客管理など様々な分野で使用されています。
kintone でできる管理業務について、詳しくはこちらの記事でご紹介しています。
▼kintone で勤怠管理するメリットは? 導入手順やアプリの例も紹介
▼kintone でのスケジュール管理設定方法と活用ポイント
▼kintone でタスク管理! メリットとおすすめのプラグインも紹介
▼kintone の顧客・案件管理|営業活動に役立つ機能を紹介
▼kintone で予実管理! 作成手順や活用方法をわかりやすく紹介
▼kintone でファイル管理! メリット・デメリット、活用ポイントを解説
さらに、提供する拡張機能が豊富な kintone は、あらゆるカテゴリーの業種・職種の業務に対応可能で、業務の自動化・効率化もしやすく、多くの企業で導入されています。
kintone の代表的なライセンスプランであるスタンダードコースは1ユーザーあたり月額1,500円で、1,000個までのアプリ作成、500個までのコミュニケーションスペース作成、ユーザー数×5GBまでのディスク容量を利用可能です。機能は縮小されますが、ライトコースならスタンダードコースと同様のディスク容量で、1ユーザーあたり月額780円とより少ない費用で利用できます。
kintone の利用プランについて詳しい記事をご用意しております。ぜひご覧ください。
▼kintone プラン別費用とは? 価格・評判・特徴も解説
kintone の5つの導入メリット
kintone は非常に汎用性が高く、様々な業種・職種・業務で利用できますが、kintone の導入によって得られるメリットには具体的にどのようなものがあるのでしょうか。
ここでは主なメリット5つを紹介します。
1.簡単かつ迅速に導入可能
kintone はクラウドサービスのため、ライセンス契約から時間をかけず、スムーズにスタートできます。通常、システムの導入やアプリ開発をするには、機器を準備し、ネットワークに接続、OSやプログラムのインストールなどのインフラ環境整備が必要です。
しかし、kintone はすべてがクラウド環境にそろっており、簡単かつ迅速に導入が可能でアプリ作成に取り組めます。
2.低コストで独自アプリの作成が可能
前述した通り、通常のアプリ開発は自社で開発環境を構築する必要があります。オンプレミスなら機器類の購入や設置場所の確保など多大なコストがかかります。クラウドサーバーなどを契約する場合でも、kintone の利用料より大きなコストがかかる可能性もあるでしょう。
また、自社内で環境構築を行う場合にはIT知識を持ったエンジニアが必要になり、人件費もかさみます。
一方、kintone を利用すれば、これらの環境構築にかかるコスト、機器類を稼働させるランニングコスト、運用を行う人件費などのコストが不要です。
2つある kintone のプランのうち、スタンダードコースの利用料は1ユーザーあたり月額1,500円のため、大幅にコストを抑えつつも独自アプリの作成がいくらでも可能なのです。
3.テンプレートやプラグインが豊富
kintone はイチから作成しなくともアプリのテンプレートが公開されています。これは「サンプルアプリ」と呼ばれるもので、自由に活用できます。
さらに、多くの企業で kintone が利用されていることで、自社に必要な要件のアプリの作成事例を探し出すことも比較的容易といえます。
また、インターネット上には公式のヘルプサイトやデベロッパー向けコミュニティのみならず、個々のユーザーが発信している便利な使い方までナレッジが豊富にあるため、課題やトラブルがあっても、解決がしやすい点は大きなメリットです。
加えて、様々なサードパーティが kintone のプラグインを提供していることも利用しやすい点といえます。
法人向けのプラグインの多くは、無料ではなく有料である場合が多いものの、有効に活用すれば業務効率化につながるでしょう。業務を自動化するプラグインも多く提供されているため、kintone を利用する前にどんな種類があるか、確認してみてはいかがでしょうか。
kintone のプラグインは様々用意されています。その中でも無料で使えるおすすめのプラグインをご紹介しています。
▼kintone のおすすめ無料プラグイン|機能別に紹介
4.高いセキュリティ機能
様々な場所で様々なメンバーが利用し、コミュニケーションするクラウド型のツールには高いセキュリティ機能が求められるものですが、kintone はその点も安心です。kintone は2要素認証や接続IPアドレス制限、アクティビティログによる監視や細かいアクセス権設定などの機能を備えているからです。
kintone のみならず、サイボウズ社が提供しているクラウド製品は政府認定クラウドサービスです。政府が利用するうえで求めるセキュリティ要件を満たしたサービスの証であり、安全性が高いといえるでしょう。また、国際標準化機構が発行しているISMS認証という情報セキュリティ規格も保有していることも信頼できるポイントです。
kintone のセキュリティ機能について詳しい記事をご用意しております。ぜひご覧ください。
▼kintone のセキュリティは安心? 製品の各種機能と設定を解説
5.リモートワークや外出先から利用も可能
kintone はクラウドサービスです。そのため、インターネットに接続できる環境さえあれば、時間や場所に関係なく、社内で作業するのと同じように、kintone へアクセスができます。営業職や施工管理の現場職など、社外で勤務することが多い職種でも場所を問わず利用できる点はメリットといえます。
また、近年ではリモートワークの導入も増えています。リモートワークを導入したものの、社内とリモートワークの社員との連携がうまくとれていないとお悩みの企業も多いのではないでしょうか。
kintone であれば、社内・社外、時間や場所に縛られずに利用できることに加え、充実したコミュニケーション機能により、業務に関連する社員同士の連携や情報共有がしやすくなります。
kintone の3つのデメリット
kintone の導入には様々なメリットがある一方で、デメリットも存在します。ここでは kintone のデメリットを3つ解説します。
1.アプリの管理が煩雑になりやすい
kintone の大きな魅力はIT知識が不要で誰でも簡単にアプリ作成が行えることですが、それがかえってアプリを乱立させ、管理が煩雑になる状況を招く場合があります。社員が個人個人で好き勝手に複数のアプリを作ると、内容が似ているアプリがたくさん生まれ、管理する手間がかさんでしまいます。
また、アプリを作成した人が異動や退職などで不在となった場合、誰もアプリのメンテナンスを行わなくなり、次第に使われないままの不要アプリがたまっていく状況にも陥りかねません。アプリの作成は部署やプロジェクトごとで行い、用途やメンテナンス方法など管理や確認を徹底するようにしましょう。
2.アプリ同士や外部連携に難がある
kintone では、アプリの作成こそ簡単に行えますが、アプリ同士やメールなどの外部システムと細かい連携をする場合、サポートなしでは対応が難しくなります。また、JavaScriptなどを利用したシステム連携を行う場合には、さらに専門的なIT知識が必要です。
細かい連携を行わなければいいと考えていても、kintone で課題解決するには必要になる場合があります。
また、システムとの連携を考慮せずにアプリ作成を行うと、作ったはいいものの、使えないアプリが乱立する状況に陥る可能性もあります。
この解決には、kintone でシステム連携する場合は、プラグインなどの拡張機能を利用するとよいでしょう。また、プラグインでは対応できない、自社に合わせた独自のカスタマイズを目指す場合には、外部の支援サービスを利用しサポートを受けるのがおすすめです。
支援サービスについて詳しくはこちらの記事をご覧ください。
▼kintone オフィシャルパートナーとは? 導入時のお悩みを解決
3.利用規模が大きくなるとコストが高くなりやすい
kintone はユーザー数ごとの月額課金制で、1ユーザーあたりのコストは安価ですが、やはり利用規模が大きくなるとコストも増えます。また、プラグインなどを利用している場合は、kintone の利用料に加えてプラグインの利用料もかかります。
プラグインは便利ですが、あれもこれもとプラグインを追加していくと、知らず知らずのうちにコストが膨らんでしまうかもしれません。導入当初は低コストだったものの、規模が拡大するにつれ思わぬコスト増も懸念されます。kintone を利用する際は、かけられるコストと照らし合わせて利用部署を絞りつつ、プラグインもコストパフォーマンスを考慮して導入を検討しましょう。
kintone の利用プランをどう選ぶべきか、詳しい記事をご用意しております。ぜひご覧ください。
▼kintone プランの選び方は? 機能・月額料金を比較、解説!
kintone の「使いにくい」評判と解決策
kintone を利用しているユーザーの多くは、kintone 導入によって様々な成果が得られたと評価している一方、一部からは kintone は「使いにくい」という声も挙がっています。
ここでは、kintone が使いにくいという声の原因や対策をまとめます。
PC以外だとアプリ作成がしにくい
kintone はPCにもスマホにも対応していますが、PC版の画面とスマホのモバイル版の画面では表示や操作方法が一部異なります。このため、PC以外ではアプリ作成がしづらいと一部ユーザーの声が挙がっているようです。
この対策として、kintone を利用する際には、アプリ作成はPC、スマホでは入力や閲覧をメインで行うといった役割分けをするといいでしょう。PCの大きな画面で行うほうが細かいカスタムもできるため、おすすめです。
大規模で利用するとコストがかさみやすい
kintone のデメリットでも解説した通り、kintone は利用規模が大きくなるほどコストがかさみやすい点には注意が必要です。
作成できるアプリ数や利用できるディスク容量には限りがあるため、一部のユーザーが気ままにアプリを作り過ぎたり、ディスク容量を使い果たしたりすると、よりコストがかさむ原因になります。中小規模の運用であれば問題は出にくいかもしれませんが、大人数で運用する場合には特に注意が必要です。
また、プラグインを導入する場合も、利用する部署やユーザーなどで利用範囲を絞り、必要な部署のみに限定するほうがコストパフォーマンスはよくなるでしょう。
効率的なアプリ作成には kintone の各機能の理解が必要
業務改善に役立つアプリを作成するためには、kintone の各機能やJavaScriptなどITの専門知識が重要です。前述のように、kintone は汎用的な類の情報であればインターネット上に多数のナレッジが公開されていますが、高度な連携に関してはあまり公開情報がありません。
kintone が公式で公開しているTipsやマニュアルは分かりやすい分、専門的な情報までは網羅されていないため、ユーザー自身で問題を解決できるスキルがなければ難しいでしょう。
これを解消するためには、自分たちが kintone を使いこなせるか不安な場合は、外部の支援サービスの利用も検討してみることをおすすめします。
kintone の有効活用には支援サービスの利用も
ここまで kintone の概要や導入メリット・デメリット、そして kintone が使いにくいといわれるポイントと対策を紹介しました。
kintone はプログラミングなどのIT知識を持たない非IT部門の社員でも、簡単な操作でグラフィカルにアプリ作成が行える点が魅力のクラウドツールです。
そのため、環境構築が不要ですぐに導入でき、低コストでアプリを作成できます。kintone には豊富なアプリのテンプレートやプラグインが用意されており、業務に合わせて柔軟に活用できるでしょう。
リモートワーク時や外出時の利用にも対応しており、時間や場所に縛られずにアクセス可能です。
また、高いセキュリティ対策を講じているツールのため、不正ログインや権限以上の広範囲アクセスなどによる情報漏えいのリスクを抑えて利用できる点がメリットです。
ただし、kintone で細かくシステム連携できるアプリ作成するには、IT専門知識が必要です。アプリの管理が煩雑になりやすい点、アプリ同士や外部連携のハードルが高い点、利用規模が大きくなるとコストがかさみやすい点には注意が必要です。これらの問題の対策として、kintone の利用範囲を絞って活用する、プラグインや外部の支援サービスを使うといった対策が有効です。
kintone は多数の導入実績を誇り、多くの現場で業務効率化を実現していますが、着実に業務効率化を実現できるアプリ開発やシステム連携には、導入支援サービスの利用がおすすめです。
サイボウズ社が認定した様々なパートナー企業による導入支援や開発支援のサービスがあり、テクバンも公式パートナーとして kintone の運用効率化や、業務改善効果の最大化をサポートしています。
ぜひ、本記事を参考に kintone を使って、業務効率化に役立ててください。
パートナー企業による導入支援サービスについて詳しくはこちらの記事をご覧ください。
▼kintone オフィシャルパートナーとは? 導入時のお悩みを解決
※本記事の内容は2022年5月時点のものです。kintone の仕様や利用環境は変更する場合があります。
開発支援承ります
テクバンではkintoneの開発支援を受け付けております。日々の運用でお困りの方は以下より弊社サービスをご覧ください。
また、kintoneの標準機能に加えて、拡張機能であるプラグインを利用することで kintoneの活用の幅がより広がります。プラグイン選定から導入までサポートいたします。
kintone開発支援サービス
kintoneプラグイン