営業部署と生産部署が密接に連携し、製品を作り上げていく製造業において、受注案件の納期、作業工程の管理といった「生産管理」の共有が非常に重要な役目となります。
その一方で、従来から行われている生産管理を紙やExcel(エクセル)での管理では「各案件の製造工程の状況」をリアルタイムに把握することが難しく、業務の効率化を推し進めることができないといった課題を抱える担当者が多かったのも事実です。
今回は、その解決策として注目されているkintone(キントーン)を活用した生産管理の効率化について解説します。
kintoneの基本情報は下記記事をご参考にしてください。
▼kintoneの基本的な使い方や機能を紹介
生産管理の目的と課題
生産管理とは、製造業における受注から納品までの業務全般を管理することをいいます。「どの図面(製品)を・いつまでに・いくつ製造すべきなのか」という”生産計画”において、資材調達や在庫管理、納品予定などの業務全般を管理する必要があります。
生産管理を行うには、以下のような管理業務が含まれます。
- 受発注管理
- 在庫管理
- 製造管理
- 工程管理
- 品質管理
生産管理の目的とは
生産管理の目的は「企業や組織の利益を最大化させる」ことです。そのためには、QCD(Quality:品質、Cost:コスト、Delivery:納期)の最適化が必要であり、生産管理ではこれらの3つの要素を維持・向上させることが目的とされています。
具体的には、以下のようなことに取り組みます。
| 品質 |
製品の品質を向上させ、社会的な評価を得る。また、作業の品質向上も意識し、高品質な製品の製造を安定して維持できる現場作りが必要。 |
| コスト |
コストを余分にかけることなく、最大限の利益を創出することを目指す。生産工程で発生する材料費や人件費の最適化が必要。 |
| 納期 |
取引先から発注された納期を守り、さらに指定された納期よりも短い期間で製造することで生産性の向上を目指す。資材の発注から加工にかかる工数など、すべての工程を把握した上で納期を遵守できるように管理を行う。 |
生産管理の課題
生産管理が抱える課題として「現状把握がしづらい環境」が挙げられます。
生産管理の業務は、営業担当者や生産担当者といった複数の担当者同士が調整して工場内での生産数を決めていく必要があります。そのため、各担当者からリアルタイムで稼働状況や発注情報を把握しなければなりません。
しかし、この情報の更新は決まったタイミングで行われるものではなく、さらに「割り込みオーダー」といった通常の納期より早く納品しなければならないような対応も頻発するため臨機応変な対応が求められます。
作業自体の自動化が難しく、ITツールの導入より、既存の紙やExcelで作業する手法が好まれていました。
それに加え、ITシステムの新規導入にはシステムを熟知している人材を確保するか、育てる必要があります。しかし、製造業の場合は、元々ITに携わる人材が少ないだけでなく「どのようなスキルが必要なのか?」「どのように育てればいいのか?」が明確に判断できず、IT人材の採用が進まないといった現場も少なくありません。
自社にIT人材を確保できないことが、新しいシステムの導入が進まないという課題につながるのです。
生産管理システムを導入するとしても、日頃ITに携わることのないメンバーも扱うため「誰でも使いやすい・わかりやすい」ツールが求められます。また近年では、生産管理システムが様々な企業から提供されていますが、導入費用が高額でやむなく断念してしまったケースや、仮に導入しやすい金額だったとしても、カスタムしづらいせいで実際の業務に落とし込めずに導入を見送るといったケースも存在します。
ツール選定に手間取るがために、IT化が進まないといった背景もあるのです。
kintoneで生産管理を行うメリット
製造業を中心とした、中小企業で導入が広がっているkintoneは、生産管理の業務を電子化し、それにより業務の効率化を図ることができます。
ここでは、kintoneを生産管理業務に活用するメリットを挙げていきます。
情報管理の一元化
kintoneは「アプリ」と呼ばれる業務システムに情報を登録することで、情報管理・共有が行えます。情報共有やコミュニケーションにおいて活用できる充実したグループウェア機能を保有しております。
- データに紐づいたコメント、メンション
- リマインド通知
- チーム単位でチャットができるスペース機能
- スペース内で話題を分けられるスレッド機能
また、kintoneはクラウド型ツールのため、リアルタイムで情報が更新されます。各メンバーのスケジュール共有やタスク管理においても活用でき、各工程での最新の進捗状況をそれぞれの現場から確認・共有することが可能です。
Excelやメールなどを使用してやりとりを行っていると、重要な情報があちこちに散在しがちです。そこで、今まで営業担当者と生産管理担当者がExcelとメールで行っていた発注管理や請求管理などをkintone内にすべて集約すれば、情報の一元管理化を簡単に実現します。
kintoneアプリについて、下記記事にて詳細を解説しています。
▼kintoneのアプリとは? 作成方法やサンプルを解説
ノーコードでアプリの作成が可能
kintoneは、管理したい情報の項目(フィールド)をドラッグ&ドロップのマウス操作でアプリを作成できるローコード・ノーコードツールです。
プログラミング知識は不要で、誰でも簡単にアプリを作成できる点がkintoneの大きな魅力です。
kintoneはあらゆる業界・業種に対応しているビジネスプラットフォームのため、生産管理に特化したアプリを作成できます。
また、アプリには「プロセス管理機能」があり、例えば、申請や承認といったワークフローのシステムを構築することが可能です。ワークフローの進捗を見える化するため、進捗状況やタスクの担当者などが一目で把握できるようになります。
kintoneのプロセス管理については、下記記事をご覧ください。
▼kintoneのプロセス管理|ワークフローの設定例を紹介
低コストで導入可能
kintoneは他のクラウドサービスに比べ、比較的安価なランニングコストであることも特長のひとつです。
5ユーザー以上から1ユーザー単位で契約でき、月額利用料金は利用ユーザー数で料金が変動するため、少人数の会社や事業所などでも使いやすいといえます。1か月ごとの契約で長期間の契約縛りもなく、必要に応じてすぐに解約も可能です。
このように契約しやすく、スモールスタートでの導入が可能な点も製造業に適したツールだといえます。
利用形態は「ライトコース」「スタンダードコース」「ワイドコース」の3つが用意されています。
各コースについて、さらに詳しくはこちらの記事をご覧ください。
▼kintoneを使うには? ライセンス別の料金や特徴一覧
生産管理で使えるサンプルアプリ
「サンプルアプリ」とは、kintoneで提供されているアプリのひな型です。部署別・業種別に100以上のサンプルアプリが用意されており、そのまま使うことも、設定を変更してカスタマイズすることもできます。
今回はサンプルアプリの中でも、製造業における生産管理に活用できるサンプルアプリをご紹介いたします。
その他、サンプルアプリについては、下記記事をご覧ください。
▼kintoneのアプリは無料で使える? おすすめのサンプルアプリをご紹介
生産進捗管理(工程流動)
「生産進捗管理(工程流動)」アプリは、生産の進捗状況を顧客/製品別に共有できるアプリです。
品目ごとに工程が異なる場合でも、自由にデータを登録できます。また、営業が受注数量や納期を登録し、生産管理/製造部が進捗状況を登録していくことで、製品納期のやりとりをスムーズにします。
出荷後、納品済にチェックを入れることで「納品済」「生産中」など特定ステータスの製品のみをレコード一覧画面上で表示できます。さらに、顧客別の出荷実績をグラフにして表示できるため、データを視覚的に把握することにも役立ちます。
生産進捗管理(工程固定/日付管理)
前項で紹介した生産進捗管理(工程流動)アプリと似ていますが、「生産進捗管理(工程固定/日付管理)」アプリは、工程ごと/品目ごとの進捗状況が一覧で確認できます。
営業/生産管理/製造部がこのアプリに各自で情報を登録することで、製品ごとにどこまで工程が進んでいるのかを一覧で把握できます。前工程が入力完了したら次工程の担当者に通知を飛ばせる機能もあるため、見落とし防止にもつながるでしょう。
また、営業担当者が営業先からスマホで進捗を確認できるため、リアルタイムでの状況把握に役立ちます。
製造業作業工数管理
「製造業作業工数管理」アプリは、製造業の管理者が作業者の工数管理を行うためのアプリです。
作業者が毎日の作業内容をこのアプリに登録することで、何の作業に対してどのくらい時間を費やしているのかを把握できます。グラフ機能もあり、作業者別、製品別の全体的な工数を一覧で表示されるため、作業者の適正なマネージメントにつながるでしょう。
受注・出荷管理
「受注・出荷管理」アプリは、製品別に受注数量や出荷数量を入力・管理できます。受注数量と出荷数量を入力すれば、累計受注数量と累計出荷数量、注文残が自動で計算されます。
そのため、どれだけの生産数が必要で、そのうちどれだけ生産できたのか、出荷できたのかの管理を簡易的に行うことができます。
不具合見える化パック
「不具合見える化パック」では、作業工程で発生した不具合に関する情報をkintoneに登録し、不具合情報を自動集計します。製品の不具合発生時に顧客へ対策報告する内容を、社内にも共有する際に便利なアプリパックです。
以下3つのアプリが含まれています。
- 不具合報告
- 工程マスタ
- 製品情報
顧客・案件別に過去にどのような不具合が発生し、どのような対策を実施したのか一貫して管理します。また、不具合件数の集計やグラフ化も可能なため、歩留まり良化への改善活動に活かせるでしょう。
その他、プロセス管理機能を使えば、不具合対策の内容を上司に申請し上司が内容を確認して承認するという、一連の承認作業フローをこのアプリパック内で完結することもできます。
利便性を高めるためのkintoneカスタマイズ
kintoneは標準機能でも十分に業務改善を実現できるツールですが、さらなる業務の効率化や生産性の向上を目指すには、kintoneを開発・カスタマイズしましょう。
kintoneの開発・カスタマイズ方法は、以下の3つがあります。
- JavaScript/CSSファイルのカスタマイズ
- プラグイン(拡張機能)の導入
- 外部サービスとの連携
JavaScript/CSSファイルを使ったカスタマイズでは、自社独自の機能を追加したり画面上の見た目を変更したりすることが可能です。専門知識が必要となりますが、エンジニアやWebコーダーであれば簡単に使いこなせるでしょう。
プラグインは無料・有料版があり、あらゆる業務をカバーするサービスが200種類以上提供されています。プラグインを組み合わせれば、kintoneの導入効果をさらに発揮します。
プラグインをインストールし、ご利用中のkintoneに適用させるだけですぐに機能を拡張できるため、JavaScript/CSSのように専門知識は必要ありません。すぐに実装できる手軽さが魅力です。
kintoneは、外部サービスと柔軟に連携できる点も特長のひとつです。基幹システムや運用中の業務ツールとkintoneを連携させることで、定型業務の自動化やデータの相互反映などを実現します。既に導入しているシステムがあれば、kintoneと連携させた業務改善に取り組んでみるとよいでしょう。
kintoneの開発・カスタマイズ方法や外部サービスとの連携について、下記記事にて解説していますので、併せてご参考にしてください。
▼kintoneを初心者でもカスタマイズする方法を解説!
▼kintoneでデータ連携! 他システムとつなげる方法を解説
kintone導入をパートナー企業がサポート
kintoneを生産管理に活用する方法を紹介してきましたが、カスタマイズ性や自由度が高いkintoneは知識がない状態で運用すると、必要なデータを収集・連携できなかったり、現場にそぐわないアプリ開発が行われてしまったりといった予期せぬリスクが発生することがあります。そういった事態を避けkintoneの利活用を進めるために、サイボウズ公認のパートナー企業が複数存在しています。
パートナー企業は、システム構築のサポート・提案やアプリ開発支援、運用支援などを行っているため、今までシステム運用に躊躇していた企業でも安心してkintoneを導入・運用できるでしょう。中にはkintone導入後に操作方法をレクチャーしたり、マニュアルを作成したりしてくれる企業もあります。弊社テクバンもパートナー企業のひとつです。
ただ単に導入するのではなく、現状の業務に沿った開発後の業務フローや運用方法、改善効果を高い技術力とともにご提案しますので、お気軽にお問い合わせいただければと思います。
関連記事をご用意しております。
▼kintone開発は外注すべき? サポート会社に依頼するケースとは
kintoneで生産管理の業務を効率化
従来IT化するのが難しいとされていた生産管理の業務も、kintoneを活用することで、業務の効率化が可能です。低コストで導入もしやすく、また生産管理以外にも経費精算の自動化や日報の集約化など、他の業務に活用できます。
製造業を中心とした企業の導入も増えてきておりますので、ぜひこの機会にお問い合わせいただければと思います。
※本記事の内容は2025年11月時点のものです。kintoneの仕様や利用環境は変更する場合があります。
開発支援承ります
テクバンではkintoneの開発・伴走支援を受け付けております。日々の運用でお困りの方は以下より弊社サービスをご覧ください。
また、kintoneの標準機能に加えて、拡張機能であるプラグインを利用することで kintoneの活用の幅がより広がります。プラグイン選定から導入までサポートいたします。
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