kintoneは、社内に点在する情報を集約することで、管理業務の一元化が実現するプラットフォームです。「タスク管理」もそのうちの一つです。
本記事では、kintoneでタスク管理を行うためのアプリの作り方や、おすすめのプラグイン、さらにタスク管理を効率化させる方法について紹介します。kintoneでタスク管理を行っている方は、ぜひご参考にしてください。
kintoneのタスク管理について、下記記事にて詳細を解説しています。
▼kintoneでどこまでできる? タスク管理のメリットとおすすめプラグインを紹介
kintoneで行うタスク管理のメリット
なぜkintoneでタスク管理を行うとよいのでしょうか。それは、以下3つのメリットがあるからです。
- 各担当者のタスクの進捗状況を可視化
- プロジェクトとの紐づけ
- 迅速なコミュニケーション
次項より、詳細を解説します。
各担当者のタスクの進捗状況を可視化
kintoneでは、各ユーザーがアプリに登録した情報を一覧化して、全体を確認することができます。アプリの各フィールドに入力したデータをひとつに集まったものを「レコード」といいますが、アプリのレコード一覧画面にて各レコードが一覧で並ぶため、ここから全体をチェックできるのです。
各担当者がタスクの状況をkintoneに登録すれば、担当者全員のタスクの進捗状況を可視化し、メンバー間の情報共有もスムーズになるでしょう。大きなプロジェクトになるほど関わるメンバーやタスクの数も多くなるため、一つひとつのタスクをしっかりと遂行することが重要です。そのためには、わかりやすく可視化されたタスク管理が欠かせません。
プロジェクトとの紐づけ
ひとつのプロジェクトにおいて、複数人のタスクが必要となる場合、プロジェクトと紐づくすべての情報を一元管理できると便利です。プロジェクトに関連する情報が点在していると、情報を探す手間が発生したりスムーズに確認できなかったりと、非効率になってしまいます。
滞りなくプロジェクトを進めるには、細分化されたタスクの進捗状況を常に把握できることに加え、プロジェクトの関連情報も1か所にまとめられていることが重要です。kintoneはタスク管理にも最適なツールだといえます。
迅速なコミュニケーション
kintoneアプリには「コメント機能」があり、ユーザー同士でコミュニケーションをとることが可能です。レコード詳細画面の右側にコメント入力欄があり、レコード情報に関するコメントをレコードの中に残せます。
他のチャットツールと違い、情報に紐づいた迅速なコミュニケーションを行えることがkintoneの特長のひとつです。タスク管理においても、スムーズなコミュニケーションは重要となります。
出典:「レコードにコメントを書き込む」kintoneヘルプ
https://jp.cybozu.help/k/ja/user/app_collectdata/record_comment.html
サンプルアプリ「ToDo」でタスク管理
ここでは、kintoneでタスク管理を行う具体的な方法について紹介します。
kintoneのサンプルアプリとは
kintoneには「サンプルアプリ」というすぐに使えるアプリが用意されています。アプリのひな型であり、そのまま使うことも設定を変更することも可能です。部署・業種ごとに便利なサンプルアプリがあるため、自社で活用できそうなものがあれば積極的に取り入れてみるとよいでしょう。
kintoneポータル(TOP画面)の「アプリ」エリアにある、「+」ボタンをクリックし、kintoneアプリストアにて必要なアプリを選択します。アプリ詳細画面の左側にある[このアプリを追加]ボタンをクリックすると、ポップアップ「このアプリを追加しますか?」が表示されるため、[追加]を選択して、サンプルアプリの追加は完了です。
ToDoの特長
タスク管理のアプリとしてよく使用されるのが「ToDo」です。タスクごとに担当者や期限日、進捗状況などを登録したり、登録した情報をメンバーに共有したりできるため、スムーズなタスク処理につながります。
レコード一覧画面にて、自分の担当タスクや未完了のタスクを絞り込んで表示できます。また、タスクの進捗状況や担当者別のタスク数などをグラフ化してわかりやすく表示することも可能です。一目でタスクの状況が把握できるようになっています。
タスク管理アプリの作り方
タスク管理アプリの作り方を紹介します。タスク管理に発生しがちな問題として、
- タスクの入力漏れや処理漏れ
- タスクを共有できていない
- タスクの進捗状況が把握できない
- 誰が・どのタスクを担当しているのか把握できない
といったことが挙げられます。これらを解決するためのフィールドの設置が必要ですが、主に以下のフィールドを設置するとよいでしょう。
- 案件番号
- 顧客名
- 進捗
- 処理期日
- タスク担当者
- タスク設定者(完了通知を送る人)
- タスク内容(各タスク詳細・タスク担当・処理・備考など)
- 詳細・説明(自由記入)
タスク設定者には通知機能を使い、タスクの進捗が「完了」になったら通知を送る人を設定します。通知の設定については、以下の記事をご覧ください。
▼kintoneの通知機能をカスタマイズする方法を紹介! メール設定で見逃し防止
「タスク内容」については、1つの案件に対して複数人のタスクが発生するケースもあるため、タスク内容の項目はテーブル(表)として設置すると、後々追加でき便利です。
kintoneのテーブルについて、下記記事にて詳細を解説しています。
▼kintoneのテーブル(表)とは? 機能のメリット・デメリットや活用方法を紹介
それぞれのフィールドを入力し、画面右上にある[保存]ボタンをクリックするとタスク担当者に通知が送られます。保存したタスクは、タスク管理アプリのレコード一覧画面にて、一覧で確認できます。一覧画面では、担当者別に並び替えたり、自分が担当となっているタスクのみを抽出して表示させたりすることも可能です。メンバー全員がタスク管理アプリを活用し処理を行うことで、タスクの進捗状況の確認や共有、各メンバーの抱えているタスクなどを把握できるようになり、業務の効率化につながるでしょう。
kintoneアプリの基本的な作り方については、下記記事をご参考にしてください。
▼kintoneのアプリとは? 作成方法やサンプルを解説
便利な機能「ルックアップ」「関連レコード」
アプリのフィールドに情報を入力する際、入力ミスを防ぐ便利な機能があります。
kintoneのルックアップ機能は、他のアプリに登録済みの情報を参照して自動取得できる機能です。例えば、顧客情報を入力するフィールドにルックアップの設定を行います。顧客管理アプリと紐づけ、どのフィールドを参照するか指定すれば、タスク管理アプリに同じ情報を自動で反映します。入力作業の効率化や入力表記の統一につながるでしょう。
ルックアップの詳細について、下記記事にて解説していますので、併せてご覧ください。
▼kintoneのルックアップ機能とは? 使い方や利用メリットを紹介
kintoneの関連レコード機能では、レコード詳細画面に「条件に一致したレコード」を一覧表示できます。同じアプリ・他のアプリでも、レコードを表示可能です。
例えば、顧客情報と案件情報を別々のアプリで管理している際、顧客情報に紐づく案件情報の一覧が確認できると便利でしょう。そのようなときに、顧客管理アプリにて関連レコード一覧を設置し、案件管理アプリの「顧客名」フィールドと紐づければ、顧客名が一致した案件情報が顧客管理アプリ上に一覧表示されるようになるのです。
関連レコードの詳細を確認したい場合は、ワンクリックで参照先のレコードへと遷移できるため、画面を切り替えていちいち検索する必要がなくなります。
関連レコードの詳細については、下記記事をご参考にしてください。
▼kintone「関連レコード一覧」の便利な使い道は? 設定方法も解説
タスク管理のおすすめプラグイン
前章で紹介したように、一からタスク管理アプリを作る方法もありますが、kintoneの標準機能からさらに機能を拡張させてタスク管理を行うには、プラグインの活用が有効です。
ここではタスク管理のおすすめプラグインをご紹介します。
KANBAN
アーセス社から提供されている「KANBAN」は、タスク管理に特化し、kintoneレコードをかんばん方式で表示するプラグインです。
元々かんばんとは、トヨタ自動車発祥の生産管理方式であり、トヨタでは具体的な作業を書いた指示書のことを「かんばん」と呼んでいました。かんばんには、いつ・どこで・何が・どれだけ使われたかが明記してあり、一般企業におけるプロジェクト管理の手段として用いられるようになったのです。
KANBANでは、ドラッグ&ドロップの簡単操作で予定やメンバーの追加・変更も可能です。絞り込み機能もあるため、リストやタグの絞り込み、カードに表示する項目をチェックボタンの切り替えで簡単に指定できます。
KOUTEI
同じくアーセス社の「KOUTEI」は、kintoneのサブテーブルをガントチャート形式で表示するプラグインです。
ガントチャートの一覧画面では、各プロジェクトの開始日と終了日を設定すると、ガントチャートが表示されます。各タスクの詳細情報は、ガントチャート上の吹き出しから直接編集することができるため、いちいちレコード詳細画面を開いて編集する手間を省けます。
ガントチャートの利点は全体のタスクを確認できる点ですが、KOUTEIではガントチャート上であらゆる情報が確認可能なため、スムーズなタスク管理を実現します。
krewData
メシウス社から提供される「krewData」は、複数のkintoneアプリにまたがる情報を自動で集計・加工できるプラグインです。タスク管理にも応用できます。
例えば、進捗管理アプリにてタスクの進捗状況を更新している場合、常に進捗の最新情報のみが表示されるため、現在の進捗に至るまでの工程は履歴として残りません。最新情報だけでなく、案件の経過も確認するためには「特定時点での進捗」を記録する必要があります。そこで、進捗管理アプリに登録された情報を自動で集計し、進捗の経過を記録するための「進捗経過アプリ」を作ります。krewDataのスケジュール実行機能を使い、決まった日時にて進捗管理アプリの情報を集計し、「その日の進捗状況」を進捗経過アプリに自動登録する設定を行えば、進捗の経過が情報として蓄積されます。
主に情報の集計に利用されるkrewDataですが、このようにタスク管理でも活用できます。
krewDataについて、下記記事にて詳細を解説しています。
▼krewData×kintoneで仕事効率UP! データ集計も自動化へ
有料プラグインのメリット・デメリット
ここでは、有料プラグインを利用するメリット・デメリットについて説明します。
デメリットに注意してプラグインを使いましょう。
メリット
有料プラグインのメリットとして、まず「高機能性」ということが挙げられます。無料プラグインで代替可能なケースもありますが、有料プラグインは複数の機能を備えているため、いろんな場面で活用できます。うまく使いこなせばさらなる業務改善が期待できるため、積極的に取り入れるとよいでしょう。
また、有料プラグインは「サポート体制」が充実していることもメリットです。提供元の企業が責任をもって保守サービスを行ってくれるため、運用中に何か不具合が起きたときに提供元に問い合わせて対応してもらえます。無料プラグインは自己責任での利用となるため、安心してプラグインを使いたい場合は有料プラグインをおすすめします。
サポート体制に加え、「自動アップデート」を行ってくれる点もメリットでしょう。無料プラグインの場合、アップデートされたら再度プラグイン(Zipファイル)をダウンロードして、kintoneへ反映させなければなりません。しかし、有料プラグインであれば提供元でアップデートを完了させるため、そのような手間は発生しません。常に最新のプラグインを使い続けられる点も有料プラグインのメリットです。

デメリット
一方デメリットとして、まずは「料金が高い」ことが挙げられます。買い切り・サブスクリプションなど料金体系はそれぞれ異なりますが、それなりに費用がかかります。どれだけプラグインにコストを割けられるか、あらかじめ検討しておきましょう。
また、kintoneをテスト環境と本番環境で2つのドメインで運用している場合、双方のアプリ・プラグインの環境は同一にすることが望ましいため、2重にコストがかかってしまいます。コストの最適化を図るためにも、有料プラグインの導入は慎重に行いましょう。
タスク管理からさらに業務を効率化させるには
業務の中でプロジェクト管理・工程管理など、タスク管理に関連する業務が多々あります。そのため、kintoneでそれらの管理を一元化するには、アプリの紐づけが必要です。kintoneに登録した情報は体系的に活用することが業務改善への近道となるため、アプリ間連携を行ってタスク管理をさらに効率化させましょう。
また、kintoneはワークフローシステムをアプリに実装することも可能なため、社内のワークフローもkintoneで構築すれば一元管理でき、業務効率向上につながるでしょう。
kintoneのワークフローについて、関連記事をご用意しております。
▼kintoneでワークフロー管理を効率化! 申請業務や情報伝達を迅速に
kintoneで効率のよいタスク管理を
本記事で紹介したタスク管理アプリの作り方を参考に、ぜひ自社で効率のよいタスク管理を実現してみてください。タスク管理が効率化すれば、他の業務も付随するでしょう。
有料プラグインの選定やカスタマイズが自社では難しい場合、kintoneオフィシャルパートナーであるテクバンにお気軽にご相談ください。お客様のご要望に沿ったサポートをいたします。
※本記事の内容は2025年2月時点のものです。kintoneの仕様や利用環境は変更する場合があります。
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また、kintoneの標準機能に加えて、拡張機能であるプラグインを利用することで kintoneの活用の幅がより広がります。プラグイン選定から導入までサポートいたします。
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