kintoneの「計算フィールド」では、計算式を設定することで他のフィールドの値を参照した計算結果を自動で反映します。
SUM関数やIF関数など、Excelでもおなじみの関数を使用するため、普段Excelを利用している方は簡単に設定できるでしょう。
本記事では、計算フィールドの概要や計算式の使用例、関数・演算子などについて解説します。kintoneの計算機能について知りたい方は、ぜひご参考にしてください。
kintoneの計算機能とは
kintoneアプリには計算機能があり、設定した計算式によって自動で値を算出する機能です。
例えば、各数値フィールドに入力された値を手動で計算し、合計値を手入力している場合、手動で計算する手間や入力ミス・計算ミスが発生するでしょう。そこで、フィールドに計算式を設定することで計算する手間も省け、入力ミス・計算ミスを防げます。
kintoneの計算機能について、下記記事でも詳細を解説しています。併せてご覧ください。
▼kintone計算式の設定|使い方・関数一覧・利用シーンを紹介
計算式のポイント
kintoneアプリに計算式を設定すれば、複数の項目をかけ合わせた数値を算出したり、関数を用いた条件式に沿って自動で値を割り出したりできます。
計算式を設定する際に注意する3つのポイントがあります。
- 「計算」フィールド、または「文字列(1行)」フィールドで、計算式を設定
- 計算式を入力するときは、フィールドコードを利用
- 計算式には、演算子や関数を利用
フィールドコードとは、一つひとつのフィールドを識別するための文字列です。計算式ではフィールドコードを使用して、複数のフィールド同士を参照し計算します。
kintoneの計算式では、半角の「+」「-」「*」「/」などの演算子と、「SUM」「IF」などの関数を利用します。演算子と関数は組み合わせて計算可能です。kintoneで利用できる演算子・関数については、次章にて紹介します。
「計算フィールド」でできること
計算フィールドは、計算式を設定して計算結果を自動で表示するフィールドです。計算結果が「数値」だけでなく、「日付」「日時」となるような計算式も設定できます。
また、テーブルを利用した計算式の設定も可能です。テーブル内の行ごとの計算や、テーブル内に入力した数値の合計を算出します。商品の種類やサイズごとの受注数の記入などに役立つでしょう。
kintoneのテーブルについて、下記記事にて詳細を解説しています。
▼kintoneのテーブル(表)とは? 機能のメリット・デメリットや活用方法を紹介
計算フィールドで利用できる演算子・関数
kintoneで利用できる演算子は以下の通りです。
演算子 | 説明 |
+ | 数値の足し算を行う |
- |
|
* | 数値のかけ算を行う |
/ | 数値のわり算を行う |
^ |
|
& |
|
= |
|
!=または<> |
|
< | 左の値が右の値より小さければ「真」、右の値以上であれば「偽」を返す |
<= | 左の値が右の値以下であれば「真」、右の値より大きければ「偽」を返す |
> | 左の値が右の値より大きければ「真」、右の値以下であれば「偽」を返す |
>= | 左の値が右の値以上であれば「真」、右の値より小さければ「偽」を返す |
関数は以下の通りです。大文字と小文字どちらでも使用できます。
関数 | 説明 |
SUM | 数値のフィールドコード、値が数値になる計算式、または数値を合計 |
YEN | 計算結果を指定した桁数で四捨五入し、3桁ごとの桁区切りの「¥(円)」形式で表示 |
DATE_FORMAT | 日時の形式やタイムゾーンを変更 |
IF | 条件を指定し、その条件の真偽によって異なった値を返す |
AND |
|
OR |
|
NOT | 条件を反転させる |
ROUND | 数値を四捨五入する |
ROUNDDOWN | 数値を切り捨てる |
ROUNDUP | 数値を切り上げる |
CONTAINS | 指定したフィールドが条件(選択肢)と一致しているか、またはテーブル内に条件(検索文字列)と一致する行があるかどうかを判定 |
使用例①合計金額や消費税・税込価格の算出
ここから、計算式の使用例を紹介します。
商品の単価×数量の計算や、見積書に記載する消費税・税込価格の算出などに計算式が使えます。商品の種類や数が多くなるほど入力項目も増えるため、合計・小計など入力を省略できる値は積極的に計算式を設定することをおすすめします。
また、消費税・税込価格の算出も同様に、事前に見積書アプリで計算式を設定しておくと入力作業がラクになります。
前項で紹介した演算子・関数を組み合わせて、合計金額や消費税・税込価格のようなすでに計算式が決まっている金額は自動で算出させましょう。
使用例②特定の日付から○日後の日付を算出
計算式では「日付」の算出も可能です。例えば、特定の日付から○日後・○日前の日付を自動で表示します。スケジュール管理や工数管理に役立てられるでしょう。
土日・祝日を除いた営業日や指定日の1か月後という日付の算出には、JavaScriptのカスタマイズやプラグインの導入が必要となります。
下記記事にて詳細を解説していますので、ぜひご参考にしてください。
▼kintoneアプリで営業日を計算できる? 日付の算出方法を解説
▼kintoneで日付を計算できる? 設定方法やプラグインを紹介
使用例③フィールドの値の小数点以下を切り上げ・切り捨て・四捨五入
計算式にROUND関数を指定すると、指定した桁数で数値を四捨五入します。ROUNDUP関数では数値の切り上げを、ROUNDDOWN関数では数値の切り捨てを行います。
例えば、税込価格フィールドの値を小数第一位で切り上げるか切り下げるか、または四捨五入するという際に活用できます。
ROUND関数の計算結果に「¥(円)」記号と「,(カンマ)」は付与されず、数値型で表示されます。それらの記号を表示させて金額を示したい場合は、YEN関数を使用しましょう。
ROUND関数の詳細は、こちらのページから。
「計算」「文字列(1行)」フィールドどちらを使う?
計算式の設定は、「計算」フィールドか「文字列(1行)」フィールドを使いますが、計算結果の表示方法によってどちらが適切なフィールドか変わってきます。
計算結果が数値の場合は計算フィールドを使いますが、計算結果を文字列で表示させたい場合は文字列(1行)フィールドを使用しましょう。例えば、フィールドで表示される日付は「2024-01-01」と「-(ハイフン)」で区切られますが、日付を「2024年1月1日」と漢字を組み合わせた形式で表示させるには、文字列(1行)フィールドにDATE_FORMAT関数を使用します。
DATE_FORMAT関数は、第1引数(日時)、第2引数(日時の形式)、第3引数(タイムゾーン)を指定します。「2024年1月1日」と表示させる計算式は以下のようになります。
DATE_FORMAT(日付, "YYYY年M月d日", "Etc/GMT")
第1引数で日付フィールドまたは時刻フィールドを選択したら、第3引数では「Etc/GMT」(協定世界時のタイムゾーンID)を指定します。Etc/GMT以外を選択すると、日付や時刻のずれが生じる可能性があるため、注意が必要です。日本時間の場合は「Asia/Tokyo」を入力します。
日付・時刻・日時フィールドの扱い方
kintoneでは、日付・時刻・日時フィールドはUNIX時刻(UNIXタイムスタンプ)として扱います。UNIX時刻とは、協定世界時(UTC)での1970年1月1日午前0時0分0秒から形式的な経過秒数として表される時刻表現の一種です。例えば、2024年1月1日12時0分0秒は「1704078000」となります。
kintoneは秒単位で日付や時刻の計算を行うため、指定する計算式も同様に秒単位の設定が必要です。1分間は「60」、1時間は「3600」または「60*60」、1日は「86400」または「60*60*24」と入力します。
計算フィールドで計算結果の表示形式を「数値」に設定している場合や、文字例(1行)フィールドで計算式を使用する場合は、日付や日時の計算結果はUNIX時刻、つまり数字の羅列で表示されます。日付や日時の形式で計算結果を表示させるには、表示形式を「日付」または「日時」を選択するか、先述したDATE_FORMAT関数を記述する方法があります。
計算フィールドで入力作業を効率化
kintoneで様々なデータの入力や管理業務を行っている場合、計算フィールドはぜひ活用したい機能のひとつです。本記事で紹介した内容を参考に、計算式の設定を試してみてください。
その他、kintoneには業務を円滑に進める機能がたくさんあります。アプリ作成に加え、外部システムとの連携や開発・カスタマイズを行うことで、kintoneはさらに便利なビジネスツールになります。kintoneでお困りごとがありましたら、テクバンにまずはお問い合わせください。お客様の要望を実現するサポートを提供いたします。
その他便利な機能について、関連記事をご用意しております。
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※本記事の内容は2024年7月時点のものです。kintoneの仕様や利用環境は変更する場合があります。
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