kintoneはあらゆる業務を効率化させるビジネスプラットフォームです。「アプリ」と呼ばれる業務システムを利用し、既存業務をkintoneへ移行することで、業務改善やDX(デジタルトランスフォーメーション)推進が期待できます。
kintoneをさらに便利なツールにするには開発・カスタマイズが必要です。標準ライセンスとは別に、kintoneでは開発者のために「開発者ライセンス」が用意されています。
本記事では、開発者ライセンスについて、概要や申し込み方法などを解説します。kintoneの導入をご検討中の方や、kintoneを運用しておりこれから開発スキルを習得しようとお考えの方は、ぜひご参考にしてください。
kintoneの開発・カスタマイズでできること
kintoneは、初期機能でも十分に業務改善を行えますが、開発・カスタマイズを行うことでさらに効果を発揮します。kintoneの開発・カスタマイズにより、以下のようなことを実現できます。
- 独自のシステムをアプリに実装できる
- 外部サービスや基幹システムとの連携
- プラグイン(拡張機能)の導入
独自のシステムをアプリに実装できる
JavaScript/CSSのカスタマイズにより、独自のシステムをkintoneアプリに実装できます。例えば、上長への申請・承認フローを行うためのアプリを作成し、上長から承認がおりたら取引先へ注文書を自動で発送する、といった一連のワークフローをkintone上で行えます。
毎日の定型業務や集計業務など、開発・カスタマイズを行えば自動化することが可能なため、業務効率化につなげられるでしょう。
kintoneのワークフローについて、下記記事をご覧ください。
▼効率的なワークフロー管理を実現! kintoneで申請業務をスピードアップ
外部サービスや基幹システムとの連携
kintoneは外部クラウドサービスとの連携が柔軟な点も魅力のひとつです。アプリケーション同士を連携するAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)を活用することで、kintoneと外部クラウドサービスを繋げます。
例えば、kintoneで管理している情報を外部クラウドサービスにも反映して活用したり、外部クラウドサービスからkintoneにデータを反映してkintone内で各メンバーに情報共有したりといった使い方が可能です。
kintoneのAPI連携について、下記記事にて解説していますので、併せてご覧ください。
▼kintoneのAPI機能で外部システムと連携する
また、オンプレミス型の基幹システムとの連携も可能です。基幹システムとの連携により、手間となっていた業務を削減し、公務の効率化に成功した事例を紹介しています。ぜひ、ダウンロードしてご覧ください。
【事例】オンプレミスサーバーとkintoneのデータ連携により、手動で行っていた業務を自動化
プラグイン(拡張機能)の導入
各ベンダー企業より、kintoneの機能を拡張させる数々のプラグインが提供されています。
kintoneのプラグインはZipファイルでダウンロードし、適用させたいkintoneアプリの設定画面にてそのZipファイルをインストールするだけでOKです。プログラミングも必要なく、すぐに機能を拡張できる手軽さが魅力です。
また、Zipファイルの中にあるJavaScript/CSSファイルを編集して、プラグインに独自の機能を追加することもできます。無償・有償のプラグインがありますが、有償プラグインは豊富な機能がそろっている他、自動アップデートや問い合わせサポートなどにも対応しています。

kintoneの「開発者ライセンス」とは
kintoneの開発者ライセンスは、開発者向けに用意されたライセンスです。開発者がkintone APIを無料で試せる環境を提供しており、開発・テストの検証や開発スキルの習得に活用できます。
APIの実行やJavaScript/CSSを使用した開発・カスタマイズを行えますが、対象サービスはkintoneに限ります。また、ユーザー数5名・ディスク容量25GBまでとなっており、変更や増量には対応していません。開発者ライセンスを本番環境の運用に使用するのは禁止されているため、ご注意ください。
基本的に開発を行う際、本番環境とテスト環境を別ドメインで用意することが推奨されていますが、テスト環境を開発者ライセンスの環境として使用すれば、テスト環境のドメインを契約する必要がないため、コストを削減できます。また、開発者ライセンスの提供期間は、申し込み日から12か月間無償で利用可能です。開発者ライセンスを延長する場合は、更新手続きを行えばそのまま無償で使用し続けられるため、別途料金は発生しません。
更新手続きは自身で行う必要がありますが、長期間開発環境を無償で利用できるのは、開発者にとって大変ありがたいライセンスおよび環境だといえるでしょう。
kintoneの標準ライセンス/ライト・スタンダード・ワイドコース
先述した開発者ライセンスは、kintoneのスタンダードコースとほぼ同等の環境を利用できます。
標準ライセンスについて、各コースの内容を表にてまとめます。各コースの詳細が知りたい方は、下記記事をご覧ください。
▼kintoneを使うには? ライセンス別の料金や特徴一覧
ライトコース | スタンダードコース | ワイドコース | |
月額料金/1ユーザー | 1,000円 | 1,800円 | 3,000円 |
外部サービスとの連携、プラグインや拡張機能の利用 | × | ○ | ○ |
アプリ数の上限 | 200個 | 1,000個 | 3,000個 |
スペース数の上限 | 100個 | 500個 | 1,000個 |
ディスク容量 | 5GB×ユーザー数 | ||
サポート | メール・電話・チャットによるサポート | ||
言語設定 | 日本語・英語・簡体字・繁体字・スペイン語 | ||
ゲストユーザー価格/1ユーザー | 月額700円 | 月額1,440円 | |
ゲストスペース数の上限 | 100個 | 500個 | |
セキュアアクセス/1ユーザー | 月額250円 | ||
ディスク増設/10GB | 月額1,000円 |
※すべて税別価格
ライセンスの考え方と注意事項
kintoneをはじめとするサイボウズ社の製品は、cybozu.comの操作や閲覧などを行う人数に合わせてライセンスを購入する必要があります。契約ユーザー数や利用ユーザー数は、cybozu.comにログインする「人」を対象としてカウントされます。同時接続数や接続するPC・スマホの台数は関係ありません。
また、1つのユーザーアカウントを複数人で使いまわすことは禁止されています。
関連記事をご用意しております。
▼kintoneのアカウントは使いまわし不可! 情報共有する方法とは?

開発者ライセンスに申し込む方法
開発者ライセンスは、以下のページより申し込みできます。
kintone開発者ライセンス 申し込みフォーム
フォームを入力して申し込むと、入力したメールアドレス宛にメールが届きます。申し込みから10分ほどで、開発者ライセンスが発行されます。ライセンスの発行後、チュートリアルで学びながら開発環境を利用できます。
開発者ライセンスは、一人につき1つの環境が与えられます。一人で複数の申し込みはできません。kintoneを契約しているメールアドレスや30日間の無料お試し環境と同じメールアドレスでは申し込みできませんので、ご注意ください。
kintoneのその他のライセンスについて
非営利団体向けの取り組みとして、サイボウズ社のクラウドサービスを標準ライセンスより安く利用できるライセンスが提供されています。
アカデミック/ガバメントライセンス
アカデミック/ガバメントライセンスは、学校法人や官公庁、社会福祉法人などの業務利用のためのライセンスです。
アカデミックライセンスでは、学校教育法で定められた小学校・中学校・特別支援学校・大学など各種学校や、教育センター・教育研究所、厚生労働省認可の保育園・乳児園が対象となります。
ガバメントライセンスは、中央省庁や地方自治体、独立行政法人・公的医療機関・社会福祉法人などが対象です。
株式会社、有限会社、合資会社、宗教法人、民営化された特殊法人などは対象外となります。また、対象団体に含まれる団体でも、営利目的で活動している、または民間出資が50%を超える場合には対象とならないため、注意が必要です。
価格は以下の通りです。
ライトコース | スタンダードコース | |
価格/1ユーザー |
月額600円 年額7,200円 |
月額1,080円 年額12,960円 |
利用可能ユーザー数 | 10人~ | |
ゲストユーザー/1ユーザー |
月額420円 年額5,040円 |
月額870円 年額10,440円 |
※すべて税別価格
チーム応援ライセンス
チーム応援ライセンスは、NPOや任意団体にサイボウズ製品を特別価格で提供しています。
対象団体は、特定非営利活動法人、非営利型一般社団法人・非営利型一般財団法人(国税庁の非営利徹底型要件を満たす)の他、活動目的が明確かつ非営利である・特定の法人の傘下もしくは管理下にない・代表者と情報管理の責任者が明確である・財務状態が管理されている要件を満たす任意団体となります。
また、対象団体であるか審査が必要であり、申し込みから審査結果がわかるまで10営業日ほどかかります。
チーム応援ライセンスでは、スタンダードコースのみ利用できます。利用可能ユーザー数は900人までで、価格は年額9,900円(税別)です。
その他さまざまなサポートが提供されており、ITにまつわるノウハウ共有や相談ができる交流会やセミナーなども開催されています。
開発者ライセンスで開発スキルを習得しよう
kintoneは開発・カスタマイズを行うことで、さらに利便性を高められるツールです。kintoneを導入したら、開発者ライセンスに申し込み、自社環境に合うような開発・カスタマイズを行いましょう。
IT初心者にとって、開発・カスタマイズは少しハードルが高くなることもあるかもしれません。そんな時はオフィシャルパートナーのサポートを受けるのもひとつの手段です。テクバンでは、お客様のご要望に沿ったサポートを提供していますので、お気軽にお問い合わせください。
※本記事の内容は2025年3月時点のものです。kintoneの仕様や利用環境は変更する場合があります。
開発支援承ります
テクバンではkintoneの開発支援を受け付けております。日々の運用でお困りの方は以下より弊社サービスをご覧ください。
また、kintoneの標準機能に加えて、拡張機能であるプラグインを利用することで kintoneの活用の幅がより広がります。プラグイン選定から導入までサポートいたします。
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