kintoneは「データベース」としての機能も備えており、各アプリに情報を登録することで、kintone上でデータ管理を行えます。
データ管理において集計業務は欠かせませんが、kintoneの標準機能ではアプリ間にまたがるデータの集計・計算はできないのです。
そこで、アプリをまたがる集計を可能にするメシウス社の「krewData」が、多くの組織に利用されています。
本記事では、krewDataの概要や「スケジュール実行」プランについて解説します。
krewDataの詳細について、下記記事を解説していますので、併せてご参考にしてください。
▼krewData×kintoneで仕事効率UP! データ集計も自動化へ
krewDataは何が便利?
krewDataは、「krew」シリーズの3つあるプラグインのひとつです。krewDataの他に、「krewSheet」「krewDashboard」があります。kintoneの特長はそのまま生かし、脱Excelを可能にする高機能のプラグインです。
krewシリーズはそれぞれ単体でもkintoneに導入できますが、多くの組織が2つ以上・3つすべてのプラグインを組み合わせて利用しています。
krewSheetやkrewDashboardについて、下記記事にて詳細を解説しています。
▼krewSheetでkintoneをExcelのように操作! 機能や活用方法を解説
▼krewDashboardとは? kintoneデータのグラフ化と一覧表示が可能!
kintoneアプリにまたがるデータの集計を可能に
先述の通り、kintoneの標準の計算機能ではアプリをまたがるデータの集計はできず、同一アプリ内のフィールドのみに限ります。しかし、krewDataを使えば、アプリ間のフィールド同士の集計が行えるようになるのです。
例えば、出荷管理アプリにて「出荷数」のフィールドを更新したら、在庫管理アプリの「実在庫数」が自動で算出されるイメージです。
krewDataの2つのプラン「スケジュール実行」と「リアルタイム実行」
krewDataには「スケジュール実行」プランと「リアルタイム実行プラン」の2つがあります。
スケジュール実行は、月次・日次・時間単位や曜日でスケジュールを設定して処理を実行します。また、月の最終日の指定も可能です。
リアルタイム実行は、レコードの追加や更新時など、kintoneアプリの操作に応答してリアルタイムで集計します。任意のタイミングでも設定できます。
次章より、スケジュール実行の設定手順をご紹介します。
スケジュール実行の利用の流れ
スケジュール実行の利用の流れは、以下の手順になります。
- データ編集フローの作成と管理
- データ編集フローの設定
- データ編集フローの実行
- 通知の確認
- 実行ログの確認
1.データ編集フローの作成と管理
データ編集フローの作成は、プラグイン設定画面「スケジュール実行」タブで設定できます。
出典:「データ編集フローの作成と管理」krewData
https://docs.krew.mescius.jp/krewdata/create_flow.html
- 「+」ボタンをクリックし、データ編集フローを新規作成
- 「リアルタイム実行のフローを利用」の左にあるリンクマークをクリックし、作成したデータ編集フローを参照
- 「リアルタイム実行のフローをコピー」の左にあるマークをクリックすると、作成したデータ編集フローをコピー
- ドメインのスケジュール設定数の[詳細]ボタンをクリックすると、設定されているスケジュールの一覧を表示
- データ編集フローの各項目を設定
データ編集フロー(フロー名)/スケジュール実行/実行結果などを設定します。
2.データ編集フローの設定
データ編集フローの作成は、プラグイン設定画面「フロー設定」で行います。データ編集フローは「1.入力アプリを選択」「2.編集コマンドを定義」「3.出力アプリを選択」の3つの手順にて作成し、入力アプリコマンドと出力アプリコマンドの間に「編集コマンド」を配置することで、データの集計・加工方法を定義します。
まずは入力アプリを選択します。
- コマンドパネルからフロー作成エリアに「入力アプリ」コマンドを配置
- 設定タブの[アプリを選択]ボタンをクリックし、入力データとして使用するkintoneアプリを選択したら[OK]ボタンをクリック
- データ編集フローで利用する入力アプリのフィールドを選択
- データの集計・加工に不要なデータを除外するには、設定タブの「標準フィルタ」で設定
次に、編集コマンドを定義します。
- フロー作成エリアに「フィールド選択」コマンドを追加
- 入力アプリコマンドとフィールド選択コマンドを接続
フロー作成エリアのコマンド同士を接続するには、接続元コマンドの丸いマーカーからドラッグし、接続先コマンドのアイコン上にドロップします。 - 設定タブのフィールド選択のドロップダウンにて、データ編集フローで使用するフィールドを選択
- 「プレビュー」タブにて、フィールド選択コマンドの実行結果を確認
- 任意のフィールドを基準に、レコードの値を集計するためフロー作成エリアに「グループ化」コマンドを追加
- フィールド選択コマンドとグループ化コマンドを接続
- 設定タブにて、グループ化するフィールドや集計値が算出されているフィールド、集計方法などを設定
- プレビュータブでグループ化コマンドの実行結果を確認
最後に、出力アプリの設定を行います。
- データ編集フローの最後に「出力アプリ」コマンドを追加し、グループ化コマンドと接続
- 設定タブの[アプリを選択]ボタンをクリックし、データ編集フローの結果データを出力するアプリを選択
- 新しいアプリを作成して結果データを出力する場合は、アプリ選択ダイアログで[新しいアプリを選択する]をクリックし、任意のアプリ名を入力して新規アプリを作成
- アプリが作成されると、アプリとデータ編集フローの結果データのフィールドが表示されるため、フィールドの対応が正しくない場合は、ここで修正可能
出典:「データ編集フローの設定」krewData
https://docs.krew.mescius.jp/krewdata/flow_setting.html
ここまでの手順を終えたら、[アプリを更新]ボタンをクリックし、作成したデータ編集フローを保存して完了です。
3.データ編集フローの実行
データ編集フローを定期または特定の日時にて実行するスケジュールの設定は、プラグイン設定画面「スケジュール設定」タブで行います。
スケジュール列の▼をクリックして、スケジュールを設定・変更します。ひとつのデータ編集フローに対し、複数のスケジュールを設定することが可能です。
設定されたスケジュールは「スケジュール実行」列のチェックボックスにチェックが入り、有効になっていると実行されます。チェックが入っておらず無効の場合は実行されないため、ご注意ください。
スケジュールのパターン
データ編集フローの実行スケジュールのパターンは、以下の通りで設定可能です。
スケジュールなし | データ編集フローは実行されない |
毎日 | 毎日または平日(月~金)の指定した時刻に実行 |
毎週 | 毎週の指定した曜日・時刻に実行 |
毎月 | 毎月の指定した日または曜日・時刻に実行 |
毎年 |
毎年の指定した月・日または曜日・時刻に実行 「月の最終日を設定」にチェックを入れた場合、毎年指定月の最終日の指定した時刻に実行 |
休日や祝日など、スケジュール実行を行わない日をあらかじめ設定できます。設定手順は以下の通りです。
- 休日設定一覧ページにて、休日設定を作成
- スケジュールのパターン設定で「休日設定日は実行しない」にチェックを入れ、1で作成した休日設定を選択
4.通知の確認
データ編集フローが実行されると、kintoneのリマインダーから実行結果が通知されます。
通知の条件 | 通知先 |
実行結果に「成功」が含まれる | 作成者 |
実行結果に「失敗」が含まれる |
通知の条件は、アプリ設定の「通知」→[リマインダーの通知条件]で変更できます。
5.実行ログの確認
データ編集フローの実行ログは“krewData専用アプリ”に保存されます。実行ログは、以下の方法で完了した際に登録されます。
- スケジュール実行タブで作成したデータ編集フローを、フロー設定画面から手動で実行した場合
- スケジュールによって自動実行された場合
実行ログに記録される情報から、データ編集フローの実行時刻や入力・出力レコード数を確認可能です。不要になった実行ログは、他のkintoneアプリと同じ操作でレコードを削除することができます。
スケジュール実行が向いている用途
スケジュール実行は、集計タイミングをコントロールできる業務に向いています。処理状況を把握しやすく運用ルールも組み立てが容易のため、これらに適う業務で利用するとよいでしょう。
予実管理
予実管理では、大量のレコードを集計する必要があります。
例えば、「予算管理アプリ」にて各予算担当者が期首でのレコードを登録したり、期中で見直しのため更新したりします。また「実績管理アプリ」で各担当者が頻繁にレコードを登録・更新しますが、ここでは予実に即時反映する必要はありません。予算管理アプリと実績管理アプリのデータを基に、krewData専用アプリで集計を行います。
スケジュール実行で集計を処理し、出力先アプリを「予実管理アプリ」として設定すれば、自動で集計結果が反映されるため、それを参考に日次・月次での分析や業務改善につなげられるでしょう。
kintoneでの予実管理について、関連記事をご用意しております。
▼kintoneで予実管理! 作成手順や活用方法をわかりやすく紹介

マスタアプリ更新
スケジュール実行では、1回のフローで20万レコードまで処理できます。そのため、マスタアプリをはじめとする大量のレコード更新業務に向いています。
リアルタイム実行でもできないわけではありませんが、大量のレコードで即時性が求められない場合は、スケジュール実行でマスタアプリを更新するのが最適です。
顧客情報や商品情報などのマスタアプリを運用している場合は、スケジュール実行を利用して更新業務をラクにしましょう。
スケジュール実行プランの価格
スケジュール実行プランは、データ編集フローに設定している実行スケジュールの数によって金額が変わります。ドメイン内に複数のデータ編集フローが存在する場合、データ編集フローの合計値となります。
スケジュール数 | 月額 | 年額 |
3個まで | 13,200円 | 132,000円 |
10個まで | 24,200円 | 242,000円 |
30個まで | 38,500円 | 385,000円 |
100個まで | 55,000円 | 550,000円 |
101個~ | 要問い合せ |
※すべて税込
スケジュール実行・リアルタイム実行の両プランを契約している場合
スケジュール実行とリアルタイム実行の両プランを契約している場合、別々にデータ編集フローを作成しますが、リアルタイム実行のフローをスケジュール実行でも利用できます。
その場合においても、スケジュールを設定した場合はスケジュール数にカウントされるため、契約料金が変わる可能性があります。スケジュール数の合計はあらかじめ洗い出しておきましょう。
krewDataでデータ集計・加工を実行して、業務改善につなげよう
krewDataのスケジュール実行について解説しました。簡単なパズル感覚での設定で大量データの処理や加工を行えるようになり、組織のデータ活用に大いに役立つでしょう。現在のビジネスにおいて、データ活用は企業成長や競争優位性を高めるために必要不可欠です。
krewDataを利用した業務改善に取り組んでみてはいかがでしょうか。
※本記事の内容は2025年2月時点のものです。kintoneの仕様や利用環境は変更する場合があります。
開発支援承ります
テクバンではkintoneの開発支援を受け付けております。日々の運用でお困りの方は以下より弊社サービスをご覧ください。
また、kintoneの標準機能に加えて、拡張機能であるプラグインを利用することで kintoneの活用の幅がより広がります。プラグイン選定から導入までサポートいたします。
kintone開発支援サービス
kintoneプラグイン