社内ポータルを活用しよう
社内SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)やビジネスチャットなど、メール以外で情報をやり取りするツールが増えている今、社内ポータルサイトを構築して情報共有の場を一元化したいと考えている企業は多いでしょう。
しかし、社内ポータルサイトを一から構築しようとすると、時間も費用もかさみます。
そこでおすすめなのが、Microsoft SharePointというサービスを活用して社内ポータルサイトを構築する方法です。
本記事では、SharePointのサービス概要から、社内ポータルサイトを構築するメリット・デメリット、活用する際のポイントなどを解説します。本記事を参考に、SharePointによる社内ポータルサイトを作ってみましょう。
SharePointで構築する社内ポータルとは
SharePointとは、マイクロソフト社が提供している情報共有やファイル共有、コミュニケーションを目的としたコラボレーションサービスです。
SharePointには、自社でサーバーを構築してオンプレミスで利用するSharePoint Serverと、クラウドで利用できるSharePoint Onlineの2種類があります。自社のIT環境に左右されず導入が容易であるため、SharePoint Onlineを利用している企業が多いでしょう。
SharePointを利用すれば、HTMLやCSSなどのWebサイト作成に必要な専門知識がなくても、単純なクリック操作と豊富に用意されているテンプレートを活用して、簡単に社内ポータルサイトを作ることができます。
まず、SharePointのWebサイトもしくはアプリを開き、「サイトの作成」から社内ポータルサイトの大元となるサイトを作成します。
サイトには「チームサイト」と「コミュニケーションサイト」の2種類があります。
「チームサイト」は、Microsoft 365グループに連携できるため、グループに紐づくメンバー間でのコンテンツ作成・共有に適しています。
一方の「コミュニケーションサイト」は、Microsoft 365グループとは紐づかないため、社外を含めた大多数のユーザーへのコンテンツ共有に向いています。
「社内ポータルサイト」はどちらのサイトでも作成できますが、チームやグループなど小規模のメンバーで情報共有を行いたいなら「チームサイト」、全社向けのニュースや従業員同士の掲示板といった活用を行いたいなら「コミュニケーションサイト」がおすすめです。
サイトが作成できたら、適宜テンプレートを活用しつつページを構成していきます。部署ごとのページや社内アナウンス用のページ、関連リンク集など多様なページが作成可能です。
SharePointでのサイト作成については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
▼SharePointのサイトとは? 種類や作り方、活用方法を解説
SharePointで社内ポータルを作るメリット
社内ポータルサイトを構築する方法やサービスは様々ありますが、なかでもSharePointを活用するメリットを紹介します。
HTML・CSSの知識がなくても社内ポータルサイトを構築できる
SharePointを使えば、通常、Webサイトの作成に必要なHTMLやCSSなどの知識・スキルがなくても作成できます。テンプレートを使い、直感的な操作で社内ポータルサイトが構築できるため、IT専門以外の業務部門でも活用しやすいでしょう。
社内の情報や各部署における業務内容などは日々変化していくため、Webサイトの作成・編集に専門的な知識・スキルが必須であれば、いちいちIT部門に作業を依頼しなくてはなりません。各部署が必要に応じてスピーディーに社内ポータルサイトの作成・編集ができれば、最新の社内情報が常にアップデートされ、活用しやすい社内ポータルサイトの構築につながるはずです。
コストを抑えて導入できる
クラウドサービスであるSharePoint Onlineは、Microsoft 365の法人向けプランのほぼ全てのサービスに含まれています。既にSharePoint Onlineを利用できるプランを契約済みであれば、新しくサービス契約やWeb制作の外注が不要で、コストを抑えた社内ポータルサイトが構築できます。
また、自社のサーバーやレンタルサーバー、CMSツールを使って社内ポータルサイトを構築している場合、サーバーの維持・メンテナンス費用やCMSツールの利用費用などのコストがかかります。これをSharePoint Onlineに切り替えることで、これらのコストを削減できます。
Microsoft製品との相性が良い
SharePointはマイクロソフト社のサービスのため、WordやExcel、TeamsなどのMicrosoft製品と連携できます。社内ポータルにこうしたドキュメントファイルを保存することで、自宅や外出先でも確認でき、スマホやタブレットでも閲覧できるので、チーム内での共有がスムーズに進みます。
また、社内ポータルに作成したカレンダーをTeamsに連携させることもできます。チーム全員のスケジュールを把握するのに役立つでしょう。
その他にも、Microsoft製品の企業向けSNSのYammerやビデオサービスのStreamと連携して社内ポータル上でオンラインミーティングを行う、動画資料を用いて研修を行うといった活用も可能です。
予定表(カレンダー)の作成方法については、こちらの記事で詳しく解説しています。
▼【SharePoint】予定表(カレンダー)でできることや使い方を解説!
社内ポータルサイト上でドキュメント・ファイル管理ができる
SharePointは、OneDriveのように文書管理機能を備えており、ファイルの保存、共有、共同編集、同期、バージョン管理を行うことができます。
社内ポータルにアクセスできるユーザーは、他のユーザーがアップロードしたドキュメントファイルを閲覧または編集が可能です。サイトのアクセス権限を持たないユーザーには、特定のフォルダ・ファイルの共有リンクを送信することができます。
ファイルを社内ポータル上で一元管理することで、情報共有や管理の効率化につながるでしょう。
また、ファイルサーバーなどでファイルを管理していると、どれが最新のファイルかわからなくなり、データの先祖返りが発生してしまう、バックアップを取っていなかったために、誤って編集・削除したファイルを復元できなくなってしまうなどの問題がつきものです。
社内ポータル上でファイルを管理すれば、最新ファイルが判別しやすく、誤って編集・削除したファイルも簡単に復元できるようになります。
関連記事をご用意しております。こちらも併せてご参考にしてください。
▼SharePointとOneDriveの違い・共通点とは? 使い分けや活用方法を解説
▼SharePointのファイルや情報をOneDriveに同期する手順とは?
▼SharePoint Onlineのバックアップ方法を解説! Microsoft 365のデータ保存期間は意外に短い?
ワークフローの機能を活用できる
SharePointにはワークフローの機能も備わっています。
リストという機能を使って、60種超のテンプレートから誰でも手軽にローコードでワークフローを作成できます。
ワークフローを活用すれば、社内への情報共有の際に上長承認を行う、チーム内で回覧して情報を追記していく、フィードバックを得るなどの使い方ができます。また、Power Automateと連携した自動化も可能で、業務効率化にも有効です。
SharePointのリストやワークフローの作成方法については、こちらの記事で詳しく解説しています。
▼SharePointのワークフローで業務改善|特長と作成方法を解説
セキュリティが高い
サイバー攻撃のリスクが高まっている今、社内の情報資産をいかに守るかが重要なポイントです。自社でサーバー管理している場合にはセキュリティ対策が必要となり、CMSツールを使っている場合はそのぜい弱性を悪用されないために適切なアップデートも必要です。
これがSharePoint Onlineなら、サーバーやサービスの管理はサービスを提供するマイクロソフト社側が行うため、セキュリティ対策に必要な専門性やコストを補うことができます。また、社内情報がマイクロソフト社の高いセキュリティ基準を満たしたサーバーに保管されるため、情報漏えいのリスクを下げます。
SharePointで社内ポータルを作るデメリット
SharePointで社内ポータルサイトを構築するメリットは多いですが、デメリットについてもあらかじめ認識しておきましょう。
デザイン性が高くない
SharePointではさまざまなテンプレートからデザインを選択してページを作成することが標準であるため、望んだデザインのポータルサイトを構築できない場合があります。もちろんカスタマイズは可能ですが、その場合にはHTMLやCSSなどの専門的な知識・スキルが必要です。
SharePointのデザイン性をPowel Intranetでカバー
もし社内ポータルサイトのデザイン性にこだわりたい、より見やすい・使いやすい社内ポータルサイトを構築したいという要望があれば、サードパーティ製のPowel Intranetのご利用をおすすめします。
Powel Intranetは、SharePoint Onlineの構築や展開をサポートするクラウドサービスです。Powel Intranetを活用すれば、より柔軟にSharePointのデザインを自前でカスタマイズできます。
テクバンでは、Powel Intranetの導入支援を行っております。まずはどのようなカスタマイズが可能かを知りたいという方もお気軽にご相談ください。
以下は、SharePointカスタマイズについての詳しい資料です。ぜひご活用ください。
カスタマイズで進化するSharePoint
Powell 365で使いやすい&管理しやすい社内ポータルを実現
操作方法が独特
SharePointを利用すれば専門的な知識・スキルがなくても社内ポータルサイトを作成できるものの、操作方法に慣れるまでには多少の時間はかかります。これには従業員がすぐにSharePointを活用できるよう、マニュアルを整備する、勉強会を開催するなどの取り組みを行うと良いでしょう。
マイクロソフト社側の障害影響を受ける
SharePoint Onlineはマイクロソフト社のクラウドサービスであるため、マイクロソフト社側で障害が発生している場合には、SharePointの画面表示や操作・入力の遅延が発生する、最悪の場合はSharePoint自体にアクセスできなくなるなどのトラブルが発生する可能性があります。障害発生時に備えて、SharePoint以外の情報共有手段を用意する、障害発生時の連絡ルートを明確にしておくなどの準備が必要です。
社内ポータルを活用する際のポイント
SharePointで作成した社内ポータルサイトをより良く活用するためのポイントを解説します。
ユーザー向けのマニュアルを整備する
SharePointが社内で広く活用されるように、基本的な操作手順をまとめたユーザー向けのマニュアルを事前に作成しておきましょう。部門によってはITリテラシーに差が生じている場合もあります。このため、誰でもマニュアル通りに実施すれば活用ができるよう、専門用語を極力使わず、操作画面の画像を載せたマニュアルを作成することが大切です。
情報共有のルールを策定する
情報共有のルールが定まっていないと、SharePoint上に情報が乱立し、後から必要な情報を探しにくくなります。また、ユーザーがサイズの大きいファイルをSharePointにアップロードし、ストレージが圧迫されるなどの問題も発生します。事前に情報共有のルールを策定しておき、タグ付けによる情報整理や添付ファイルのサイズ制限などを行うと良いでしょう。
外部連携やカスタマイズを活用する
SharePointは単体でも便利なツールですが、他のアプリやシステムとの連携やカスタマイズを行えば、より便利に活用できます。外部連携やカスタマイズを行えば、外部のデータや情報をSharePoint上に保存できたり、業務の効率化・自動化にもつながるでしょう。
しかし、外部連携やカスタマイズを行うには専門的なIT知識・スキルが必要になります。社内で人材を確保できない場合は専門会社などへアウトソーシングすることも一案です。外注コストがかかるものの、外部連携やカスタマイズを行うことで、業務効率化や生産性の向上など、多くのメリットが得られる活用ができるでしょう。
テクバンではSharePoint Onlineの導入や構築に関するサポートを行っております。
テクバンのSharePoint Online導入/運用支援サービスについてはこちらから。
社内ポータルを導入する際のステップ
実際にSharePointによる社内ポータルサイトを導入する際のステップを解説します。
1.導入目的を明確にする
SharePointでの社内ポータルサイトを導入する前に、導入目的を明確にしておきましょう。SharePointによる社内ポータルサイトの導入を検討しているということは、社内情報がバラバラに管理されていて情報を探すのに苦労している、社内ポータルサイトの維持管理・運用コストが高く予算を圧迫しているといった何らかの理由があるはずです。
SharePointの社内ポータルサイトは、社内情報を一元管理したい、情報連携をスムーズにしたい場合に有効ですが、独自性の高い社内ポータルサイトを構築したい場合にはSharePointだけでは実現が難しい可能性があります。あらかじめ社内で解決したい課題を明確にし、課題解決をするためにはどのようにSharePointを活用するのかを考えていきましょう。
2.要件定義を行い必要な機能を選定する
SharePointには様々な機能があり、どの機能を利用するかによって社内ポータルサイトの使い勝手が変わってきます。前項で洗い出した社内の課題から要件定義を行い、必要な機能を選定しましょう。また、標準的なSharePointの利用では実現できないものの、カスタマイズしてでも追加したい機能があれば、このタイミングで洗い出しておくことをおすすめします。
3.社内ポータルサイトのテストページを作成する
社内ポータルサイトは全従業員が社内情報を閲覧・共有する場となるため、社内ポータルサイト導入の影響は大きく、一度リリースしてしまうと修正が難しくなります。最初から細かな部分も含めた社内ポータルサイトを構築するのではなく、まずは修正を前提にした社内ポータルサイトのテストページを作成して大枠のイメージを固めましょう。
4.各部署で試用し、意見を集める
テストページを作成したら、実際に各部署で試用して意見を集めましょう。社内ポータルサイトは全従業員が利用するものですが、全従業員が同じようなITリテラシーをもっているわけではなく、従業員によって使いやすい・使いにくいが異なります。できるだけ幅広い部署でテストすることで、全従業員が使いやすい社内ポータルサイトの構築につながります。
5.意見を基に社内ポータルサイトの改善を行う
各部署で試用した結果、集まった意見を基にテストページの改善と細かい部分も含めた社内ポータルサイト全体の構築を進めていきましょう。テストページの改善と試用を複数回繰り返し、PDCAを回しながら全社展開の準備を進めていくのがおすすめです。
ただし、細かい意見を反映することに注力しすぎると、全社展開までのリードタイムが長くなりすぎます。あらかじめプロジェクトのスタートから全社展開の間に何回か試用を行い、いつまでに全社展開を行うのか期限を定めて準備を行うようにしましょう。
SharePointの社内ポータル活用事例
SharePointによる社内ポータルサイトを導入した結果、どのような成果を得られたのか、実際の活用事例を紹介します。
従業員規模が約1万人で約9,000店舗を展開する小売業A社では、本部と店舗での連携やコミュニケーション、社内業務の改善に課題を感じていました。そこで、課題解決のためにSharePointの導入を決めました。A社が課題解決の手段としてSharePointを選んだ理由は、社内ポータルサイトの構築により情報を一元管理できること、クラウドサービスであるために複数の従業員とデータの共有や共同編集を行いやすいこと、Office製品と連携可能で導入のハードルが低く使いやすいことにあります。
社内ポータルサイトを構築したA社は、社内情報を一元管理できるようになり、店舗に情報を周知徹底できる環境を実現、本部と店舗で情報格差がなくなったことにより従業員のモチベーションアップやコミュニケーション活性化につながっています。また、社内情報の検索にかかる時間やメール作業に費やす時間の削減、SharePoint Serverの活用による集計作業の自動化を実現し、全社で業務効率がトータル10%も向上しました。
A社と同様の課題を感じているお客様は、SharePointの導入によって課題を解決できる可能性があります。活用事例の詳細を確認の上、ぜひSharePointの導入をご検討ください。
SharePointの社内ポータルサイト活用事例の詳細はこちらからダウンロードできます。ぜひ、資料としてご活用ください。
【事例】SharePointで社内ポータルサイト情報一元化・社内の信頼感醸成 業務効率は10%向上
SharePointの社内ポータルで一元管理
SharePointは、Microsoft 365のほぼすべての法人向けプランで利用できる、情報およびファイルの共有サービスです。SharePointで社内ポータルサイトを構築すれば、社内情報を一元管理でき、社内情報検索の負担削減やコミュニケーション活性化による業務効率化・自動化の効果を得られるでしょう。
社内情報の共有・管理などにお悩みのお客様は、ぜひSharePointを使った社内ポータルサイトの導入をご検討してはいかがでしょうか。
SharePointに関する基本機能や機能一覧など、関連記事はこちらから。
▼SharePointとは? メリットやどんな使い方ができるかを紹介
▼一目でわかる! SharePointの機能を一覧で紹介
※本記事の内容は2024年11月時点のものです。Microsoft製品の仕様や利用環境は変更する場合があります。