Power Platformで働き方改革
業務効率を上げて必要最低限の人員で仕事をこなすことは、どの組織でも達成しなければならない課題とされています。
また、働き方改革が叫ばれ、残業するにも事前申請しなければならなかったり、オフィスの照明が一斉に消されたりするなど、残業すること自体が悪とみられています。しかし、業務効率を上げるため、5人で行っていた業務を3人で行うのは至難の業。業務時間内で終わらなかった業務を持ち帰り、自宅で“かくれ残業”している従業員も多いと聞きます。
これでは働き方改革こそが、従業員のワークライフバランスを損なう元凶ともなりかねません。ではこの現状を組織やマネージャー、リーダーは見て見ぬふりしていていいのでしょうか。
そこで考えられる解決策は、業務をサポートするツールを導入すること。
中でも「Microsoft Power Platform(マイクロソフトパワープラットフォーム)」は、本当の働き方改革と企業成長を同時に実現できるソリューションとしておすすめです。
この記事では、Power Platformの魅力とは何か、特徴やメリット、機能、活用シーン、導入方法などをご紹介します。
Power Platformの5つのアプリ
Power Platform(パワープラットフォーム)は、マイクロソフト社が提供する5つのアプリがパッケージとなっている「ローコード開発プラットフォーム」です。ではなぜ5in1なのでしょうか。
その理由は、5つのアプリは単体でもビジネスで成果をもたらしますが、互いに連携し合うことで、相乗効果を高めることができるからです。
Power Platformは、商品やサービスの提供者と利用者をつなぐ基盤(プラットフォーム)を提供する「プラットフォームビジネス」としても十分に有効なサービス・システムといえます。
また、組織のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進として採用されることも多いようです。
Power Platformのメリットとは
Power Platform(パワープラットフォーム)の主なメリットは3つ挙げられます。
- ローコードもしくはノーコードで、アプリ開発ができる
- ローコードもしくはノーコードで、業務プロセスのRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を実現できる
- 簡易にデータの分析、ビジュアル化ができる
最大のメリットとして挙げられるのが、複雑なプログラミングが必要なく、ローコード・ノーコードでこれらを実現できることです。
従来は専門的なIT知識やプログラミングの技術がなければ、アプリ開発やRPAを現場で行うことは不可能です。今すぐ現場に導入したくても、専門業者やプログラミングスキルのある人材に依頼するなどして、多額の費用と長い時間をかけざるを得ませんでした。
しかし、Power Platform(パワープラットフォーム)があれば、基本的な知識や技術の習得も短時間で可能なため、アプリ開発へのハードルは低いといえます。また、必要なときに必要なリソースを自分たちで開発できる上、追加コストもかかりません。
また、AzureやMicrosoft 365(Office 365)、Dynamics 365といった同じMicrosoftサービスと連携させることもできます。それぞれを組み合わせて自社のニーズに合った構成にすることで、最適なアプリを開発できるでしょう。
Power Platformの5つのアプリ
では、Power Platform(パワープラットフォーム)がラインアップする5つのアプリはどんなことができるのでしょうか。それぞれのアプリの機能について解説します。
1.Power Automateの機能
ロボットやAIによる業務の自動化を指す今注目のRPA。このRPAツールを導入して、今まで手動で行ってきた毎日の定型的な作業を自動化し、労働生産性を向上させたいと考える企業も多いのではないでしょうか。
しかし、インフラ整備やシステム構築が必要だったり、運用中のメンテナンスもあったりするなど、RPAツールを活用するにはそれらの知識やスキルを所持したエンジニアが必要で、導入のハードルは高いといえます。
これを解消するツールが、Power Automate(パワーオートメイト)です。
Power Automateは、専門的なITスキルがなくとも、ローコードで複数のアプリケーションを連携して自動化もできるツールです。クラウドサービスのため、特別なインフラ環境を用意する必要もなく、迅速に導入しやすいことが特長のRPAツールといえるのです。
例えば、ExcelやWordなどを特定のキーワードを含めたファイル名で保存します。トリガー(作動させる条件)を設定することによって、その特定ファイルを添付したメールを指定アドレスに自動送信することなどができます。
Power Automateについては、以下のブログ記事においても解説しておりますのでぜひご一読ください。
▼Power Automateとは? マイクロソフト社の自動化ツールを解説
▼Power Automate活用事例10選を解説! ルーティン業務を自動化するヒント
Power Automateの導入事例については、以下をご参考ください。
【事例】Power Automateで工程管理を自動化 スマートな現場作りの実現
【事例】Power Automateで脱アナログ! 作業時間を96%削減した事例
2.Power Appsの機能
従来のアプリ開発には複雑なプログラミングやコーディングが必要で、プログラミングスキルを持つITエンジニアでなければ難しい一面がありました。さらに、完成までには時間とコストを要していました。
そのため、「こんなアプリやツールがあったら、手間をかけずに業務ができるのに」と考えているにもかかわらず、ビジネス現場の効率化や生産性の向上を阻む要因となっていました。
これらを解消するのが、Power Apps(パワーアップス)です。Power Appsは、プログラミングの知識や技術がなくてもアプリ作成ができるツールです。
初めて業務アプリ作成を担当するという非IT部門でも、ExcelやPowerPointのような簡単な操作でアプリを作り、業務効率化を実現できるようになります。
Power Appsについては、以下のブログ記事においても解説しておりますのでぜひご一読ください。
▼Power Appsとは? 基本情報やメリット、注意点を解説
▼Microsoft Power Appsでできることは? アプリ作成・活用方法を解説
▼Microsoft Power Appsの導入事例は? アプリの作成例や活用ポイントも解説
Power Appsの導入事例については、以下をご参考ください。
【事例】【Power Apps実例】管理者負担とコストを削減した進捗管理アプリ開発
3.Power BIの機能
データベースの管理・分析ツールといえば、ExcelやAccessを利用している組織は多いのではないでしょうか。
ところが、これらを使ってデータをわかりやすく視覚化する場合、個人の技量によるところが大きく、データ量が多すぎて想像以上に時間がかかる、分析結果にも偏りが出るといった可能性があります。
これを解消するツールが Power BI(パワービーアイ)です。名称にもなっている「BI」とはビジネス・インテリジェンスのことで、会社内の各部署に散らばる膨大なデータを収集して、分析・加工し、経営の意志決定を支援することを指す言葉です。
Power BIは、簡単な操作でデータ分析を行うツールで、数百ものデータ視覚化テンプレートがあり、AI機能やExcelとの連携によって素早くデータをとりまとめます。また、グラフやダッシュボードを使ったわかりやすい分析を組織の誰もができるようになるのです。
可視化されたデータによって、現在のビジネス状況を機敏に経営戦略に生かすことにつながります。
Power BIについては、以下のブログ記事においても解説しておりますのでぜひご一読ください。
▼Power BIとは? Microsoft が提供する分析ツールの特徴を解説
▼Power BIの使い方と業務別の活用事例を詳しく紹介
Power BIの導入事例を用意しております。ぜひ、ご参考ください。
【事例】Power BIが AIチャットボットの精度を向上 約 8人月の工数を削減
4. Power Virtual Agentsの機能
組織内のごく簡単な質問やPCサポートへの問い合わせが多くて、この対応にかかる工数や人件費が負担になっているということはないでしょうか。
この負担を解消するのが、簡単な操作でチャットボットを作るPower Virtual Agents(パワーバーチャルエージェント)です。
Power Virtual Agentsは、プログラミングやコーディングが不要で、直感的に作成できるチャットボットを開発できます。
このチャットボットはWebサイト、Teams、LINEなど様々なチャネルで活用でき、カスタマイズも可能です。
5. Power Pagesの機能
「キャンペーンサイトや採用Webページを作りたいが、専門のスキルを持ったスタッフもおらず、外注する予算もない」という企業はまだまだ多いと聞きます。
これを解決するのがPower Pages(パワーページ)です。
Power Pagesは、ローコードでWebサイトが作成できるアプリ。豊富なテンプレートがそろっており、簡単な操作でビジネス向けのWebサイトを構築することが可能。セキュリティ対策も万全なので安心して活用できるでしょう。
Power Platformの活用シーン
ここまで、Power Platformは従来、ITの専門家でなければ成しえなかったソリューションを、日常的なビジネスITスキルがあれば、誰でも開発できるローコードビジネスプラットフォームであることを解説してきました。
これからさらに、業務効率化や労働生産性を高められるPower Platformの活用シーンを、組織が抱えがちな課題を例に挙げて紹介します。
業務自動化が専門のIT知識なしで実現
取引先メールに添付されたファイルを決められたフォルダに格納するなど、毎日の小さな定型業務は多いものです。これらルーティン業務を人が行っている場合、時間が取られる上、どうしてもヒューマンエラーが起こりがちです。
こんなとき、Power PlatformのアプリのひとつであるPower Automateが役立ちます。
Power Automateは通常のRPAツールのように専門のプログラミングが不要で、簡単に定型業務の自動化・ワークフローの設定ができるアプリです。
Power Automateに業務の手順をひとつずつ登録していき、処理フローを一度作成すれば、業務の自動化が実行されるようになります。
また、Power Platformにある他のPower AppsやPower BIなどと連携させれば、驚くような業務効率化を図れます。
業務改善に役立つアプリ開発が手軽
もはや作業形態に合わない非効率なシステムを、予算を捻出できずに仕方なく利用しているという現場は多いもの。作業効率が悪いために、逆に人件費がかさんでしまう懸念があります。
こんなとき、Power PlatformのアプリのひとつであるPower Appsが活躍します。
複雑なプログラミング知識の習得は不要です。ExcelやPowerPointを操作できるITスキルがあれば、簡単なソースコードを理解するだけで、業務に必要なアプリ(システム)を作れます。追加のシステム開発コストはかかりません。
短期間で現場のニーズに合った独自のシステムを構築し、業務効率化を進められるのです。
また、先ほど紹介したPower AutomateとPower Appsで作成したアプリを組み合わせることで、作業を自動化できるため、以前では考えられないほど業務スピードが上がります。
手間をかけずに、社内データをビジュアル化
例えば、営業所や支店から集まってきた売り上げデータを週次で集計・報告しなければならず、その作業をExcelだけで行っているという組織もあるでしょう。データ量が多くなるほど、数字をまとめて単純にグラフ化するだけで精いっぱいで、データの分析まで行う時間を確保するのも難しくなります。そうなると、変化の激しい業界動向に、有効な施策や新しい戦略を打つことができない状況に陥ってしまいます。
こんなとき、Power PlatformのアプリのひとつであるPower BIが解決します。
多様なグラフを用いたビジュアル性の高いレポートやダッシュボードを使ったデータ分析が、Power BIなら短時間で実現できます。しかも、高度な分析に必要とされるプログラミングも必要ありません。
また、Excelのようにただグラフを表示するだけでなく、表示されたグラフの内容を選択すると、階層構造になった詳細データをさらに掘り下げて表示できるため、データの背景を具体的につかめます。
そして、Power Automateと組み合わせれば、データ取得の自動化・報告の自動化もスピーディーにできるため、作業時間を大幅に圧縮します。
これまでデータの集約・分析にかけていた時間は、経営戦略を検討する重要な案件に転換できるはずです。
Power Platformの価格は?
Power Platformを導入する場合、利用したい機能や利用形態によって料金が異なります。マイクロソフト社のパートナー企業に導入検討の問い合わせをして、詳細を確認することをおすすめします。
次項にて、Power Apps/Power Automate/Power BIの料金プランについて簡単に紹介します。
Power Appsの価格
Power Appsは、「サブスクリプションプラン」「従量課金プラン」がありますが、サブスクリプションプランでは、「アプリごとのプラン」と「ユーザーごとのプラン」とで料金がそれぞれ変わります。
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サブスクリプションプラン |
サブスクリプションプラン |
従量課金プラン |
料金 |
¥540 |
¥2,170 |
¥1,120 |
ユーザー/月 |
毎月1つアプリで1人のユーザーあたり |
毎月ユーザーあたり |
毎月アクティブ ユーザーが使用するアプリごと |
詳細はこちらをご参照ください。
Power Automateの価格
Power Automateでは、「ユーザーごとのプラン」「アテンド型RPAのユーザーごとのプラン」「フローごとのプラン」があります。
「ユーザーごとのプラン」は各ユーザーがプロセスを分析し、独自のニーズに基づいてクラウドフローを無制限に作成できます。「アテンド型RPAのユーザーごとのプラン」は「ユーザーごとのプラン」の内容に加えて、RPAとAIを経由してレガシーアプリケーションを自動化できるプランです。
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ユーザーごとのプラン |
アテンド型RPAのユーザーごとのプラン |
フローごとのプラン |
料金 |
¥1,630 |
¥4,350 |
¥10,870 |
ユーザー/月 |
毎月ユーザーあたり |
毎月ユーザーあたり |
5フローあたりの月額 |
詳細はこちらをご参照ください。
Power BIの価格
Power BIでは、「Power BI Pro」「Power BI Premium」のプランがあります。「Power BI Premium」では「毎月ユーザーあたり」と「毎月アクティブ ユーザーが使用するアプリごと」とで料金が変わります。
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Power BI Pro |
Power BI Premium |
Power BI Premium |
料金 |
¥1,090 |
¥2,170 |
¥543,030 |
ユーザー/月 |
毎月1つアプリで1人のユーザーあたり |
毎月ユーザーあたり |
毎月アクティブ ユーザーが使用するアプリごと |
詳細はこちらをご参照ください。
テクバンのPower Platform導入支援
マイクロソフト社から認定されたパートナー企業であるテクバンには、マイクロソフト社の認定資格を持ったシステムエンジニアが多数在籍しています。導入や活用で不安があるというお客様のニーズに応じて、テクバンはサポートしております。
例えば、「導入してからしばらくの間は、アプリ開発は専門家に頼みたい」といった場合には「開発支援サービス」を、「自社でPower Platformを実際に操作して開発を進めたい」という場合には社員の方への「開発トレーニングサービス」を提供しております。
さらに、「各種アプリ開発からその後の運用まですべてを任せたい」「外部サービスと連携させたい」といったさまざまなご要望にも柔軟にサポートいたしますので、ぜひ一度お気軽にご相談いただければと思います。
Power Platform支援サービス
Power PlatformはIT知識不要
Power Platformとは、どういったサービスかといった基礎からメリットや機能、活用シーンや導入方法までご紹介しました。
Power Platformは、プログラミングなど専門のIT知識がなくとも、業務の自動化や業務アプリの作成、データ分析・活用がスムーズにできる優れたビジネスプラットフォームです。
労働生産性を上げたくても古いシステムが障害になっている、RPAツールを導入する予算と時間がない、といった問題を抱えている非IT部門の救世主となるでしょう。
本当の働き方改革を実現させるためにも、Power Platformの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
Power Platformについては以下のブログ記事においても解説しておりますのでぜひご一読ください。
▼Power Platformが業務改善ツールとして導入される理由とは?
※本記事の内容は2023年2月時点のものです。Microsoft製品の仕様や利用環境は変更する場合があります。