Microsoft Power Platform の事例をご紹介

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マイクロソフト社が提供する「Microsoft Power Platform」をご存じでしょうか。

専門的なIT知識を持っていなくても、ローコード・ノーコード(プログラミングをほとんどしない・プログラミングが必要ない)でユーザー自らがアプリや自動化処理の開発をしたり、BI(ビジネス・インテリジェンス)によるビッグデータ解析を実行できたりと、近年利用者が増えてきています。

今回は、Power Platform の解説と、Power Platform の活用事例について紹介します。

Power Platform とは

Power Platform とは、マイクロソフト社が提供するクラウドサービスで、誰でも簡単にアプリやワークフローの自動化処理などを作成できるプラットフォームです。

具体的には、以下の4つのサービスで構成されています。

  • Power BI
  • Power Apps
  • Power Automate(旧:Microsoft Flow)
  • Power Virtual Agents

従来のシステム開発は、プログラミングなどの知識をもったIT専門家が企業の要件に合致したシステムを長い時間かけて開発していました。システム開発に関する十分な知識が必要となるだけでなく、何年も時間をかけてシステムを作るためにビジネスのスピードに追いつけないなど、課題がありました。

Power Platform は、このような課題に対応すべく、エンジニアでなくとも業務を遂行するアプリを手軽に作成できるプラットフォームです。プログラミングがほとんど必要なく、外部サービスとの連携も可能で、組織の環境にあわせた機能を作成でき、さらにプログラム・システムを実装すればより高度な処理を行えます。

Microsoft Power Platform はローコード・ノーコード、外部サービスとの連携可能

Power Platform の各サービス概要

前章で紹介した、Power Platform の4つのサービスについて詳しく紹介します。

Power BI

Power BI は、企業で蓄積された大量データを分析し、経営判断に役立つ情報を抽出するBIツールです。Excel のような使い心地で誰でも容易に活用できる使いやすさと、ビジュアル性の高いダッシュボードやレポートを作成する機能性を備えています。BIツールを初めて使うという人でも、十分に使いこなせるツールでしょう。
Power BI は、各種データソースに接続するための豊富なコネクタ(分析や可視化に必要なデータをデータベースやアプリケーションなどに接続してデータを集約する部分)を持ち、Excel や Salesforce といった複数の外部データソースからデータを関連付け、洞察・分析を得ることができます。

また、作成したダッシュボードやレポートを共有・公開し、複数人で共同作業できるなど、利便性の高いアプリケーションです。

Power BI について、下記記事でも詳しく解説しています。ぜひ、ご参考ください。
▼Power BI でできることとは? 特長と導入サービスを解説
▼BIツール「Power BI」と「Tableau」の違いとは? 機能や価格を比較

Power Apps

Power Apps は、プログラミングの知識や技術、スキルがほとんどなくても業務効率化に役立つビジネスアプリを作成できるサービスです。
時間や費用をかけてITベンダー企業などへ依頼しなくても、要所ごとに業務に必要なツールをスピーディーに作成することが期待できます。またPCだけでなくレスポンシブウェブデザインに対応しているので、スマホやタブレットなどモバイル端末に対応したアプリケーションの作成も可能です。

Microsoft 365 や Dynamics 365 と連携したアプリの作成も可能な他、Power Automate と組み合わせ作業の自動化にも対応しています。

Power Apps のさらに詳しい解説については、下記記事をご参考ください。
▼Microsoft Power Apps でできることは? アプリ作成方法や活用方法を解説
▼Microsoft Power Appsの導入事例は? アプリの作成例や活用ポイントも解説

Power Automate

Power Automate は、クラウドサービスやデスクトップアプリと連携してフローを作成し、作業の自動化を実現するツールです。ルーティン化された作業や毎日の運用作業など、操作手順や処理の方法が決まっている場合、それらを記憶して自動で実行するため、業務の効率化が期待できます。

500種類以上のコネクタ(Power Automate を使用して接続できるサービス)が用意されており、様々なアプリやサービスと連携して自動化が行えます。
例えば、Outlook と接続し、メール受信した際の添付ファイルを OneDrive へ自動的に格納する、という作業もフローを作成して自動化できるため、手間を省いて効率化したい業務は Power Automate を利用するとよいでしょう。

Power Automateについて、下記記事でも紹介していますので、ぜひご参考ください。
▼Power Automate とは? マイクロソフト社の自動化ツールを解説
▼Power Automate でできることとは? メリットや注意点も解説

Power Virtual Agents

Power Virtual Agents は、コードを自身で書く必要がなく直感的な操作で作成できるチャットボット開発サービスです。企業内での一般的な質問やサポートに関する問題などに対して自動で回答するボットを作成すれば、問い合わせ対応にかかる工数や人材コストを削減でき、24時間対応も可能です。

また、チャットボットはWebサイト、Teams、LINE など様々なチャネルに対応しており、サービス内容に合わせてカスタマイズできます。
顧客向けであればWebアプリ、組織内メンバーで使う場合には Teams 内のアプリなど、それぞれに合わせたアプリを比較的簡単に作れるメリットがあります。

Power Platform 導入のメリット

Power Platform 導入のメリットについて紹介します。以下の4つのことが挙げられます。

  • 迅速な意思決定が可能
  • 作業効率の向上
  • セキュリティ対策にも有効
  • ライセンス費用がシンプル

詳しく解説していきます。

迅速な意思決定が可能

Power Platform 導入による大きなメリットは、常に最新の技術で業務を行うことにより、迅速な意思決定が可能になることです。Power Platform はクラウドサービスであるため、以下のような利点があります。

  • いつでもどこでもアクセスでき、情報の確認が可能
  • 業務に役立つアプリを簡単に作成でき、処理の自動化も可能
  • 常にバージョンアップされ、最新技術が利用できる

これまで発生していた「社内に戻らないと情報を確認できない」「システムをバージョンアップしないと機能が使えない」などの課題も解決するため、迅速な意思決定に役立つでしょう。

Power Platform は、どこでもアクセス可能で、常に最新バージョンに更新。迅速な意思決定に役立ちます。

作業効率の向上

Power Platform の使用で、これまで手作業で行っていたアナログ業務の自動化やデジタル化・IT化を実現します。例えば、社内の申請業務を紙ベースの申請から、PCやスマホを使用しアプリ上で行えるように変更すれば、申請業務をデジタル化・IT化できます。

また、アプリでの申請は入力チェックも機械的に行えるため、入力ミスなどのヒューマンエラーや確認作業の工数削減につながります。
今までアナログで行っていた作業をデジタルに置き換えることで、作業効率向上を実現できます。

セキュリティ対策にも有効

Power Platform はクラウドサービスであるため、作成したアプリやフローをはじめ、データはすべてクラウドに保存されます。マイクロソフト社のクラウドサービスは、強固なセキュリティによって管理されているため、安心して利用できるでしょう。

自社内でアプリやデータを管理する場合は、セキュリティ対策もまた自社内で行う必要がありますが、Power Platform を利用すれば、自社で特別な対策を講じることなく、万全なセキュリティ対策を実現できます。

ライセンス費用がシンプル

Power Platform の4つのサービスは、ライセンス費用がシンプルです。利用ユーザー数もしくは利用機能数の月額課金となります。

Power Apps であればユーザー数もしくは使用アプリ数、Power Automate であれば、ユーザー数もしくは使用フロー数による月額課金です。利用ユーザー数が多い企業では、利用機能数でのライセンスもご検討ください。
Power Apps および Power Automate は一部機能に制限はあるものの、Microsoft 365 や Dynamics 365 のライセンスでも利用できます。

Power Platform 導入事例

Power Platform を導入し、成功した事例を紹介します。

「一貫したシステム運用で管理負担を軽減」半導体製造会社A社

半導体製造会社のA社では、社内申請を既存システムの他、紙やメールなど複数の方法で行っていました。しかし、以下のような課題が発生しました。

  • 申請書の紙やメールの行方がわからなくなる
  • 入力漏れやチェックの見落とし
  • 申請状況が見えず、どこで停滞しているかがわからない
  • 申請書の保存が必要になり、保存場所の確保や整理・管理が必要

課題に対処するための工数もかかり非効率であるため、課題解決のための施策を打ち出しました。それは、申請方法を Microsoft 365 に一本化すること、そして Power Platform の導入です。
Power Platform は Microsoft 365 と親和性が高く、連携できる点が導入の決め手となりました。

Power Automate を導入し、申請フローの自動化を実現したため、人的ミスをなくすだけでなく作業効率の向上にもつながりました。
また、申請処理を Microsoft 365 に統一したことで、一貫したシステム運用やライセンスの集約も行え、これまで管理していた情シス担当者の負担を軽減させることに成功しました。

Power Automate で申請フローを自動化

「社内に分散した情報や業務を一元管理化」総合不動産会社B社

総合不動産会社のB社では従来、社内に分散していた物件にまつわる情報や業務を、Power Platform でデジタル化・一元化を実現しました。
例えば、Power Apps で物件情報を登録することで、工期スケジュールが確認できるアプリを開発し、これにより社員のスケジュール管理の意識が向上し、業務効率アップにつながりました。

また、顧客へのアンケートを集計する作業には Power BI を活用し、従来のアンケート集計作業を改善することができました。以前は紙のアンケートをPCに手作業で再入力するといった管理方法でしたが、現在はすべてデジタルで実施しています。集計データは Power BI で分析でまでできるため、労務効率が20%アップし、さらに残業の削減も実現したとのことです。

Power Platform は非常に便利なサービスではあるものの、明確な目的をもって導入しなければ有用に扱えません。B社の場合「情報をまとめデジタル化したい」「事務的なアナログ業務をデジタル化させ効率化したい」などはっきりとした目的がありました。Power Platform 導入前に、まずは自社の課題を明確にさせておきましょう。

「Power Platform でダッシュボードを構築」大手物流会社C社

大手物流会社であるC社は、日本で開催された国際スポーツ大会に物流面で支えるべく、Power Platform の導入を決めました。

物流計画やリソース配置、実績などを可視化できるダッシュボードの構築に Power Platform を採用したのです。採用の決め手となったのは、

  • アジャイル開発が可能
  • 既に大会組織委員会側で利用されていた Excel との連携が容易
  • 十分なセキュリティが担保できる

これらのことが挙げられます。

ダッシュボードによる情報の可視化は、大会組織委員会とC社との間に共通認識を形成する上で大きな貢献を果たしました。同社が大会物流に投入した車両台数約11,000台、人員約7,700名に加え、倉庫からの大量な競技設備や競技物品、また10万個を越える選手手荷物、17万本を越える鉄柵や会場フェンスなど、膨大な荷物と人員の情報をダッシュボードに集約でき一元管理化を実現しました。

C社のように、一元化したい情報の量が膨大になったとしても、Power Platform のダッシュボードを活用できれば、一元管理も難しくはありません。「社内に存在する情報が多く散乱している」「知りたい情報がどこにあるのかわからず、探すのに手間がかかる」など課題を抱えている企業は、Power Platform のダッシュボード機能を使用して情報を可視化・一元管理化することで、課題を解決できるでしょう。

Power Platform 導入支援サービスについて

Power Platform の導入には、各パートナー企業による導入支援サービスが活用できます。ここでは、テクバンの Power Platform 導入支援サービスをご紹介します。

ご支援内容

テクバンの Power Platform 導入支援サービスでは、構成するサービスにあわせて3つのサービスが提供されています。

企業によってはアプリの開発はベンダーに任せたい、運用サポートの支援がほしい、といった様々な要望があるでしょう。そのようなお客様向けに、各導入支援サービスの中に「導入プラン」「運用サポートプラン」が用意されています。

導入までの流れ

Power Platform 導入支援サービスを利用した場合の、導入までの流れは以下の通りです。

  1. 要件のヒアリング
  2. 実現方法の検討
  3. ご提案
  4. 設計・開発・導入
  5. 運用開始

Power Platform を導入する際は「どのような業務を Power Platform で実現できるのか」「どうやって実現するか」「どのように運用していくか」を検討しなければなりません。そのためには、Power Platform を十分に理解しておく必要があります。

Power Platform を導入したいものの、うまく導入できるか不安な方は、パートナー企業の導入支援サービスを利用するとよいでしょう。

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Power Platform で業務を改善しよう

Microsoftのお役立ち情報を知って喜ぶ男女

Power Platform を使えば、それまで専門知識が求められていたシステム開発や処理の自動化も簡単に実現できます。Microsoft 365 をはじめ外部サービスとの連携も容易なため、様々な業務にも対応します。

「定型的な業務を繰り返し行っており、効率化したい」「紙とペンをつかったアナログな業務をなくし、デジタル化したい」といった課題をもつお客様は、Power Platform を活用することで業務改善が期待できます。
業務の改善内容における具体的な相談・検討をしたいお客様は、Power Platform 導入支援サービスを利用してみるのはいかがでしょうか。

※本記事の内容は2022年7月時点のものです。Microsoft 製品の仕様や利用環境は変更する場合があります。

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