Power Automateで定型業務を自動化

Microsoftブログを紹介する女性

マイクロソフト社は、エンジニア以外の人でも簡単にアプリケーション開発やデータ分析などが行えるビジネスプラットフォーム「Microsoft Power Platform」を提供しています。

その中のひとつである「Microsoft Power Automate」は、ITに詳しくない人でも自動化処理を簡単に作成できる「RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)」ツールです。
本記事では、Power Automateとは何か、どのようなメリットがあるかをわかりやすく解説します。Power Automateについて理解を深めたい方はぜひ参考にしてください。

作業を自動化するRPAツールとは

RPAツールであるPower Automate。そもそもRPAツールとは、PCを使って行う事務作業などの一連の作業を自動化するソフトウェアのことをいいます。
例えば、以下のような作業を日々何度も行っていることはないでしょうか。

  • 決められた入力データのシステムへの登録
  • Excelで行うデータ集計
  • メールに添付されている請求書ファイルをオンラインストレージの所定の場所に保存
  • メールの受信内容をチャットツールへ通知

このような「定型的」つまり作業の内容が決まっており、何度も繰り返し発生する作業を自動化すると業務効率が大幅にアップします。

RPAツールのメリット・デメリット

RPAツールを使って作業を自動化することで、様々なメリットが得られます。ですが、同時にデメリットもあるため事前に確認しておくことが重要です。ここでは、3つのメリットと2つのデメリットをご紹介します。

RPAツールのメリット

  • 人的ミスがない
    手作業の場合、人間が行う以上どうしてもミスが発生する恐れがあります。
    膨大な量のデータ入力作業で、ミスがないように複数の人がチェックを行うとしても、チェックするための作業工数が発生してしまいます。それでもミスを完全になくすことは難しいでしょう。
    RPAツールで作業を自動化すれば、ミスが発生することなく正確な作業を実施できます。
  • 作業スピードが高速
    PCは人間よりも高速に作業できます。例えば、メールを受信して添付ファイルをPCの所定の場所に保存するという簡単な作業でも、人間が行うと速い人でも10秒はかかるでしょう。PCの使用に慣れていない方だと30秒かかるかもしれません。
    RPAツールで自動化すれば、1秒もかかりません。この「添付ファイルをオンラインストレージに保存する」というアクションを、報告書が添付された何千ものメールで行わなければならないとしたら、自動化で実施したほうが便利なのは明らかです。
  • 常に動作させることができる
    人間が24時間365日、常に休まず働き続けることは現実的に不可能です。しかし、PCなど機械であれば、常に動き続けることができます。
    例えば基幹システムでは、日中時間帯に業務を受け付け、夜間人が使わない時間帯では大量データの集計処理を行って翌朝にはレポートに出力する、という形で常に処理をしています。また、Webから検索情報の収集を自動化させ常に特定の最新情報を取得することも可能です。
    RPAツールも同じく、人が休んでいる夜間も含めて作業を継続できます。

RPAツールのメリット

RPAツールのデメリット

  • 定型的な作業しか実行できない
    RPAツールでは、あらかじめ決められた作業でしか実行できません。ひとつひとつ作業を高速に実行することは得意ですが、例外的なことが発生した場合は対応できないのです。
    例えば、あるテキストデータをアプリケーションの入力画面に転記する処理を行うとしましょう。あるタイミングでアプリケーションの入力画面が変更され、入力項目に追加や変更があったとしても、RPAツールはそれに対応した動作を行うことはできません。定義されている動作を繰り返すだけです。
  • 人の判断が必要な作業は対応できない
    フローの途中で人の判断が必要な作業も対応できません。先ほどの「メールの添付ファイルをPCに保存する」という処理も、添付ファイルが保存する必要のない不要なファイルであっても、不要という判断に関係なく保存を行います。

このように、RPAツールは独自で判断できず、決められた作業しか行うことができません。人の判断が不要であり、途中で変更が発生しない業務で利用しましょう。

Power Automateとは

Power Automateとは、複数のサービスやアプリケーションと連携し、ワークフローを作成して処理を自動化するサービスです。
アプリケーション開発からデータ収集、分析といった一連の作業をローコード(最小限のプログラミング)で作成できるプラットフォーム「Power Platform」の関連サービスのひとつとして提供されています。

ITの知識がなくても直感的に操作できるので、簡単にワークフローを作成して自動処理が行えます。日々の仕事の中で定型化された作業があれば、Power Automateで自動化することで大幅な効率化を実現できるでしょう。

Power Automateには、「クラウドフロー」「デスクトップフロー」の2種類の自動化機能があります。
「クラウドフロー」は、SharePointやTeamsなどのマイクロソフト社が提供するサービス以外にも、X(旧Twitter)やオンラインストレージなど様々なクラウドサービスと連携してワークフローを作成できます。
対して「デスクトップフロー」は、PCのデスクトップ上で実行するタスクを自動化するワークフローが作成できます。デスクトップ上での操作を記録し、フローとして登録すればPCでの操作を自動的に実行して作業が行えます。

Power Automateについては下記記事でもご紹介しています。併せてご参考ください。
▼Power Automateで業務改善。誰でも簡単にできる活用事例を紹介

Power Platformや関連サービスについては下記記事でもご紹介しています。併せてご参考ください。
▼Power Platformが業務改善ツールとして導入される理由とは?
▼Power Appsとは? 基本情報やメリット、注意点を解説
▼Power BIでできることとは? 特長と導入サービスを解説

Power Automateの概要

Power Automate Desktopとは

Power Automate Desktopとは、 Power Automateの機能のひとつであるデスクトップフローを利用できるアプリケーションです。Power Automateとの違いは、Power Automateはマイクロソフト社が提供するクラウドサービスMicrosoft Azureの上で動作するのに対し、Power Automate Desktopは、各個人PCのデスクトップ上で起動できるサービスとなっております。

Power Automate DesktopとPower Automateの比較

Power Automate Desktop Power Automate
開発環境 PC Microsoft Azure
主な特徴
  • インストールが必要
  • PC上のアプリ(Excel、Outlookなど)との連携が可能
  • 豊富なテンプレートが用意されている
  • Microsoft 365の他、外部サービス(Gmail、Slackなど)との連携が可能
料金 無償版(個人アカウント)
有償版(組織アカウント)
有償

上記の通り、Power Automate DesktopはPCへのインストールが必要ですが、Windows 11では標準機能として搭載されています。また、2022年4月リリースのPower Automate Desktopでは、サンプルのデスクトップフローが搭載されており、すぐに自動化を試せるようになっています。Power Automateを利用したことがない方は気軽に試すことができるためおすすめです。

Power Automateの特長

以下では、Power Automateの特長を4つご紹介します。

1.強力なサービス連携

Power Automateには、外部サービスと接続するためのコネクタが多数用意されています。Microsoft 365製品はもちろんのこと、SNSであればX(旧Twitter)、チャットツールであればTeamsやSlack、その他オンラインストレージとも連携できます。

企業は複数の異なるサービスを利用している場合やそれぞれのサービスで独自のカスタマイズを行っているケースも多いでしょう。しかしPower Automateには、強力なサービス連携機能があるためあらゆる環境にも対応できます。

1.強力なサービス連携

2.簡単かつ素早くフローを作成できるテンプレートが豊富

「一から作成するのは難しそうだ」「外部サービスと連携するにはどうしたらいいのだろう」など、フローを作成するのに不安を感じる人もいるかもしれません。ご安心ください。

例えば、Gmailと連携してメールを送信したい場合でも、Gmailの利用を想定したテンプレートが用意されているため、必要な項目を定義していくだけでフローを作成できます。

フローの作成については下記記事でもご紹介しています。併せてご参考ください。
▼Power Automateで承認ワークフロー作成! テスト方法も解説【初心者向け】

3.直感的な操作性

Power Platformは誰でも使えるように設計されており、Power Automateも非エンジニアの人でも扱えるように工夫されています。また、プログラミングの知識がなくとも設定を行うだけでフローの作成が可能です。

「実際に使って操作性を確認したい」という方は、Power Automate Desktopで使い勝手を試してみるとよいでしょう。

4.クラウドネイティブ

Power Automateはクラウドサービスです。そのため、作成したフローはインターネットに接続できさえすれば、誰でも共有できます。
社内でPower Automateが扱える人にフローを作成してもらい、それをメンバーに共有して利用することも可能です。

Power Automateの活用例

「建設現場の生産性を大きく向上」建設会社A社

建設会社A社では、若手就労数減少に対する対応や職場環境改善を目的に、作業の自動化や管理プロセスのデジタル化を目標に掲げました。しかし現場では手書きによるアナログでの情報共有が続いており、手書きの内容をPCに入力するという非効率な管理方法が課題となっていました。

そこでA社はPower Platformのサービスである、Power AppsとPower Automateを導入しました。Power Appsでアプリを作成し、Power Automateで情報共有プロセスの自動化を実施。スマホやタブレットでアプリを操作し、入力した内容が自動的に情報共有されることで、大幅な生産性向上を実現しました。

「非エンジニアが1か月半で業務自動化に成功」人材紹介B社

人材紹介会社B社では、営業支援チームが多岐にわたって業務を担当しており、業務量過多から効率化が求められていました。しかし業務内容が複雑なこともあり、簡単にシステム化を進めるのは難しい状況でした。
そうした状況の中、Windows 10のユーザーであれば無料でPower Automate Desktopが利用できる点や、Microsoft 365を利用しており連携も容易である点から、Power Automateを導入し業務自動化に取り組みました。

Power Automate使用経験はありませんでしたが、非エンジニアでもわずか1か月半で試用版を作成できました。さらに意見を交わし修正を重ね、半月後に本番リリース。今まで手作業で実施していた「メールで受信した報告書をまとめてOneDriveへ保存」といったことを自動で行えたため、大幅な時間短縮に成功しました。

Power Automateの価格

以下では、Power Automate単体での価格とアドオンでの価格をわかりやすく表にまとめています。

Power Automate単体での価格

Power Automate単体のライセンスは以下の通りです。クラウドフローおよびデスクトップフローが作成できます。

ライセンス 月額料金 内容
ユーザーごとのライセンス 1,630円/ユーザー クラウドフローを無制限に作成可能
アテンド型RPAのユーザーごとのライセンス 4,350円/ユーザー アテンド型RPAボットの実行機能を含む
フローごとのライセンス 10,870円/1フロー 最小5フロー。ユーザー無制限で利用可能

Power Automateアドオンでの価格

Power Automateには「AI Builder」「非アテンド型RPAアドオン」という2つのアドオンが提供されています。それぞれのアドオンの価格は以下の通りです。なお、これらのアドオンはPower Platformに含まれています。

ライセンス 月額料金 内容
AI Builder 54,360円/ユニット 既存プロセスにAIを導入します
非アテンド型RPAアドオン 16,310円/ボット RPAを使用し、バックエンドプロセスの自動化を行います

Power Automate導入サービス

以下では、テクバンのPower Automate導入サービスの内容と一緒に、導入・運用プランの詳細を説明します。

Power Automate導入サービスの内容

Power PlatformやPower Automateは、多くのパートナー企業にて導入支援やサポートサービスが提供されています。導入サービスの内容はパートナー企業によって異なりますが、今回はテクバンで提供しているPower Automate導入支援サービスについてご紹介します。

テクバンのPower Automate導入支援サービスには、「Power Automate導入」「Power Automate運用サポート」の2つのプランがあります。また、「Power Automate導入」の中に2種類、「Power Automate運用サポート」の中に3種類のプランを用意しています。

Power Automate導入プラン

Power Automate導入プランは「内製化支援プラン」「構築お任せプラン」の2種類です。

  • 内製化支援プラン
    Power Automateアプリの内製化を目標としているお客様向けに、システム管理者およびアプリ作成者様向けのトレーニング、サンプルアプリを提供します。Power Automateでフローの作成方法を学びたい場合に検討するとよいでしょう。
  • 構築お任せプラン
    フローの開発する時間がなく、アプリ開発をお任せしたいお客様向けに、アプリ開発の全てをサポートするプランです。要件定義から設計・構築・動作確認まで行い、本番環境へのリリースを支援します。オプションとして、カスタムコネクタの作成や、別環境からのデータ投入作業にも対応します。

Power Automateの導入・運用支援について詳細はこちら
Power Automate導入・運用支援

Power Automate運用サポートプラン

「運用サポートプラン」は、「構築お任せプラン」を契約したお客様向けのプランであり、3種類用意されています。

  • お問い合わせプラン
    Power Automateの操作方法やアプリの作成および修正方法などの相談窓口を提供します。「機能の使い方や作成手順が分からない」「可能な限り自分たちで開発を行うが、何かあったときに助けてほしい」など、万が一の相談窓口を用意したいお客様におすすめのプランです。
  • 設定代行プラン
    アプリを開発したものの、開発者の離職や改修のための人手が足りない場合に、設定変更やアプリの改修を代行するプランです。「構築お任せプラン」と同様、カスタムコネクタの作成や別環境からのデータ投入もオプションで対応可能です。
  • 設定・設定代行プラン
    設定プランに加え、新たに機能追加も含め要件定義から開発、リリースまで対応するプランです。すでに運用しているアプリに対して「構築お任せプラン」と同様のサービスを受けたいお客様向けです。

img-light Power Automateで自動化を促進

Microsoftのお役立ち情報を知って喜ぶ男女

本記事ではPower Automateについて解説しました。Power Automateは自動化による大幅な作業効率向上を実現するRPAツールのひとつです。また、多数のテンプレートが用意されており、誰でも簡単に業務を自動化するフローを作成できるという特長があります。

Power Automateを導入するにあたり、お客様の課題となっている業務が自動化可能か、どのようなフローを作れば自動化でき業務改善につながるのか、相談したい場合は導入支援サービスを利用するというのもひとつの方法です。Power Automateを有効に活用し、作業の自動化を実現しましょう。

※本記事の内容は2022年7月時点のものです。Microsoft製品の仕様や利用環境は変更する場合があります。

Microsoft が生み出した革新的なサービス、PowerPlatform。どのような機能?利点は?自社で使う用途は?など多くの情報を詰め込んだ資料をご用意しています。ぜひご覧ください。