Power Automateを導入するならどのライセンス?

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Power Automateには、様々な基本プランとオプションプランがありますが、違いを理解されているでしょうか? Power Automateの導入を検討しているけれど、プランが色々あってどのライセンスを選べば良いか分からないという方も多いのではないかと思います。
本記事では、Power Automateのライセンスの種類や特徴、機能などを解説しています。ライセンスによって何が違うのか、自社に合うライセンスは何かを知りたい方はぜひ参考にしてみてください。

Power Automateが注目される背景

慢性的なIT人材不足により、業務の自動化で効率化を図ろうとする企業が増えています。以下のような繰り返し発生する定型業務はないでしょうか? 些細な単純作業でも自動化することで従業員の工数が軽減され、コア業務に集中できるようになります。

  • 毎週月曜日に数値データをまとめて関係者にメールで送る
  • 顧客から送られてきた情報を自社のフォーマットに転記する
  • 毎月注文データから必要な情報を抽出して請求書を作成する
  • 新規顧客の情報を自社システムに登録する

また、業務プロセスを自動化することは誤入力や連絡漏れなど人為的なミスを削減し、管理者の負担を軽減するなど様々なメリットにも繋がります。
マイクロソフト社が提供するPower Automateも、限られた人員で生産性を上げるためのワークフロー自動化サービスとして多くの企業が注目しています。
Power Automate
の機能やできることについて詳しく知りたい方は、以下記事を参考にしてください。
▼Microsoft Power Automate入門編! 概要と機能を解説
▼Power Automateとは? マイクロソフト社の自動化ツールを解説
▼Power Automateでできることとは? メリットや注意点も解説

ライセンスの種類と価格

Power Automateには以下のようなプランがあります。
スタンドアロンプラン

プラン名

Power Automate
プレミアム

Power Automate
プロセス

従量課金制

プランの特徴

ユーザー単位で契約するプラン

ボット単位で契約するプラン

フローの実行回数で課金するプラン

価格

2,248円/

22,488円/

クラウドフロー: 82
有人デスクトップフロー: 82
無人デスクトップフロー: 412

契約単位

ユーザー単位

ボット単位

フロー単位

クラウド
フロー

有人
デスクトップ
フロー

無人
デスクトップ
フロー

ビジネス
プロセス
フロー

標準
コネクタ

プレミアム
コネクタ

カスタム
コネクタ

Dataverse

タスクマイニング

AI Builder

5,000

5,000

付帯プラン(シードプラン)

プラン名

Microsoft 365/Office 365

Power Apps

Dynamics 365

Windows

プランの特徴

Microsoft 365/Office 365プランに付帯する※1

Power Appsプランに付帯する※2

Dynamics 365プランに付帯する※3

Windows 10以上に付帯する

価格

対象ライセンスに含まれる

対象ライセンスに含まれる

対象ライセンスに含まれる

対象ライセンスに含まれる

契約単位

クラウド
フロー

有人
デスクトップ
フロー

無人
デスクトップ
フロー

ビジネス
プロセス
フロー

標準
コネクタ

プレミアム
コネクタ

カスタム
コネクタ

Dataverse

タスクマイニング

AI Builder

1対象は以下のプラン

  • Microsoft 365 E3,E5,F3
  • Office 365 E1,E3,E5

2対象は以下のプラン

  • Power Apps(キャンバスとモデル駆動型アプリ)- アプリごとプラン
  • Power Apps ユーザーごと
  • Power Apps プラン 1(適用除外)
  • Power Apps プラン 2(適用除外)

3対象は以下のプラン

  • Dynamics 365 Enterprise
  • Dynamics 365 Professional
  • Dynamics 365 Team Member

※2023年8月にPower Automate per userとPower Automate per user with attended RPA は、Power Automate プレミアムに名称変更しています。

※価格やライセンス形態は変更になる可能性があります。最新版はテクバンまでお気軽にお問い合わせください。

デスクトップ版とクラウド版の違い

ライセンスの種類を理解する前に、Power Automateのプランの中でも混乱しがちなデスクトップ版とクラウド版の違いについて解説します。デスクトップ版とクラウド版は、フローを“どの環境で”実行するか、または“何を自動化したいか”によって異なります。それぞれの特徴は以下の通りです。

デスクトップ

Power Automateデスクトップ版とは、PCデスクトップ上のフローを自動化することができるサービスです。いわゆるRPARobotic Process Automation)機能であり、マウスのクリック、キーボードの操作、データ入力などPC上で繰り返し行う定型的な作業をロボットが自動実行します。
例えば、“デスクトップ版Excelに入力したデータを集計し、基幹システムに登録する”といった一連のフローを自動化することが可能です。
Power Automate for desktop”とも呼ばれ、Windows11以上には無料版が標準搭載されているため、誰でも気軽に利用開始できます。Windows 10 の場合はインストールすれば、無料で利用することができます。
※利用にはMicrosoftアカウントが必要です。
プランの詳細については、後述の「Windows 10/11」をご覧ください。

クラウド

Power Automateクラウド版は、マイクロソフト社のクラウドサービス「Azure」上でフローを実行するサービスです。きっかけとなる“トリガー”と処理したい作業の“アクション”を組み合わせて作成でき、Web上の様々なサービスやデータと連携させることが可能です。
例えば、“メールの添付ファイルで送られてくる注文書データを指定のSharePointに保存し、Teamsで関係者に通知する”といった一連のフローを自動化することができます。
クラウドサービスのため、ライセンスを持っていればこちらからアクセスし、モバイルや自宅PCなど様々なデバイスから場所を選ばずに利用することができます。
※利用にはMicrosoftアカウントが必要です。
30日間の無料試用版はこちらから。
活用事例については以下記事や資料でも詳しく解説しております。ぜひ参考にしてみてください。
▼Power Automate活用事例10選を解説! ルーティン業務を自動化するヒント
【事例】Power Apps/Power Automateの活用事例6選

サブスクリプションプラン

ここからは具体的なライセンスプランについて解説します。
Power Automateの主なライセンスはサブスクリプション方式となっており、「Power Automateプレミアムプラン」「Power Automateプロセスプラン」の2つがあります。
サブスクリプション方式とは、従来の永続的にライセンスを使用できる買い切り方式と異なり、月または年単位で契約し、一定期間だけライセンスを使用できるシステムです。
一見、追加費用のない買い切り方式の方がお得に見えますが、買い切り方式は新機能の追加やセキュリティの修正があっても更新されず、サポート期間も限られています。
サブスクリプション方式は、契約中であれば新しいバージョンがリリースされるたびに無料でアップグレードすることができ、サポートも保証されます。また、ユーザーの増減に柔軟に対応することや、不要になった場合は契約期間が終了するタイミングで解約することもできます。初期費用や運用面などを踏まえれば、総合的にコストを安く抑えることができるメリットがあります。

それぞれのプランについて、詳しく解説いたします。

Power Automateプレミアム

Power Automateプレミアムは、ユーザー単位で契約するサブスクリプションプランです。ライセンスも持ったユーザーは、無制限にフローを作成・実行できます。
デスクトップフローはアテンド型(有人)のみ利用可能で、ユーザーがPCにサインインしている状態でのみ実行できます。非アテンド型(無人)を利用するには、後述のホスト型RPA(アドオン)を購入する必要があります。
また、タスクの最適な自動化を提案してくれる“タスクマイニング機能”を使えることも特徴です。複雑なフローほど、作成する際に効率的なシナリオを構築する能力が求められます。タスクマイニング機能があれば、ワークフローの非効率な部分やボトルネックを特定し合理化してくれるため、分析が苦手な従業員でも業務プロセスをより良く改善していくことができます。

Power Automateプロセス

Power Automateプロセスは、ボット単位で契約するサブスクリプションプランです。ライセンスを割り当てられたフローは、組織全体で無制限の数のユーザーが利用できます。
デスクトップフローは非アテンド型(無人)のみ利用可能で、ユーザーがPCをサインアウトしている状態でも実行できます。ユーザーが介入せず、バックグランドでロボットに自動処理をしてほしいフローがいくつもある場合におすすめのプランです。

従量課金制プラン

従量課金制プランは、Azure サブスクリプションを使用したPower AppsPower Automateの比較的新しい支払い方法であり、フローを実行した分だけ料金を支払う課金制のプランです。ライセンス契約や事前購入なしでアプリやフローを構築して共有することが可能です。従量課金制プランにはDataverseのストレージ容量が含まれており、必要に応じて追加ストレージ分を支払うという柔軟性を備えています。

付帯プラン

付帯プランは“シードプラン”とも呼ばれ、Microsoft 365プラン、Office 365プラン、Power Appsプラン、Dynamics 365プラン、Windowsプランにそれぞれ含まれるPower Automate利用権のことです。各付帯プランのライセンスを既に持っている場合は、追加費用なしでPower Automateを利用することができます。

Microsoft 365 E3/E5/F3

Microsoft 365大企業(エンタープライズ)向けE3、E5ライセンス、または現場担当者(フロントラインワーカー)向けF3ライセンスを持っていれば、Power Automateも利用可能です。ただし、利用できる機能には限りがあり、“クラウドフロー”“標準コネクタ”のみ使用可能で、簡易的なフローを作成することができます。

Microsoft 365 E3プランについて詳しくはこちらから。
Microsoft 365 E5プランについて詳しくはこちらから。
Microsoft 365 F3プランについて詳しくはこちらから。

Office 365 E1/E3/E5

Office 365の大企業(エンタープライズ)向けE1、E3、E5ライセンスを持っていれば、Power Automateも利用可能です。ただし、利用できる機能には限りがあり、Microsoft 365付帯プランと同様に、クラウドフロー”“標準コネクタのみ使用可能で、簡易的なフローを作成することができます。

Office 365 E1プランについて詳しくはこちらから。
Office 365 E3プランについて詳しくはこちらから。
Office 365 E5プランについて詳しくはこちらから。

Dynamics 365 Enterprise/Professional/Team Member

該当のDynamics 365のライセンスを持っていれば、Power Automateも利用可能です。ただし、利用できる機能には限りがあり、“デスクトップフロー”は使用できません。また、タスクマイニング機能や簡単にAIを構築できる機能AI Builderも利用できませんので注意が必要です。

Power Apps

Power Appsのライセンスを持っていれば、Power Automateも利用可能です。フローはPower Appsで作成したコンテキスト内で実行する必要があります。ただし、利用できる機能には限りがあり、Dynamics 365付帯プランと同様に、“デスクトップフロー”は使用できません。また、タスクマイニング機能や簡単にAIを構築できる機能AI Builderも利用できませんので注意が必要です。

Windows 10/11

Windows 10/11の付帯プランは、Power Automate for desktopとも呼ばれ、Windows 10以上のライセンスを持っているPCであれば、Power Automateを利用することができます。Windows 11PCには標準搭載されているため、すぐにでも使用可能です。Windows 10は標準搭載されていませんが、PCこちらからインストールすることで利用できます。
Windows 10
11ともに無料版と有料版があり、無料版はすぐに開始できますが、無料版は作成したフローを他者に共有したり、トリガー実行やスケジュール実行をしたりすることができません。上記の機能を利用したい場合は有料版を利用しましょう。

アドオン(拡張機能)

Power Automateには3つのアドオンプランがあり、サブスクリプションプランの拡張機能として利用できます。

Process Mining

Process Miningは、Power Automateプレミアムプランに追加できるアドオンで、テナント単位で契約します。
Process Mining
を利用すれば、ワークフロー全体に影響を与える非効率な業務や問題点を検出し、監視、改善、最適化することができます。システム全体のイベントログや監査証跡からデータを抽出し、ワークフロー全体に貢献するプロセスと悪影響を与えるプロセスを見分けることが可能です。企業が業務プロセスを再編成し、客観的なデータに基づいて適切なワークフローを改善する際に役立ちます。

ホスト型RPA

ホスト型RPAは、Power Automateプレミアムプランに追加できるアドオンで、ボット単位で契約します。
ホスト型RPAを利用すれば、Power Automateからホストされたコンピューターにアクセスし、有人/無人のデスクトップフローを構築・実行することができます。Power Automateプレミアムプランは、非アテンド型(無人)デスクトップフローを利用できないため、非アテンド型を実行するためには、このホスト型RPAが必要です。これにより24時間自動でワークフローを実行することが可能になります。

AI Builder

AI Builderは、Power Automateの各サブスクリプションプランに追加できるアドオンで、ユニット単位で契約します。Power Automateに限らず、Power Appsでも利用可能なPower Platformの機能の1つでもあります。
AI Builder
は、プログラミングを必要とせずに簡単にAIを構築することができます。画像から特定のオブジェクトを検出したり、テキストを分類したり、その他フォーム処理や数値の予測、データ収集/分析など、AIモデルを活用することで作業時間の短縮、ビジネスプロセスの最適化を実現できるでしょう。
AI Builder
の容量はサービスクレジットという単位で表示され、AIを使用するたびにサービスクレジットが減少します。利用可能な消費量を超過するといくつかの機能が制限される仕組みです。プレミアムプランとプロセスプランには、始めから5,000クレジットが割り当てられており、クレジットを追加したい場合は新たに購入、再割り当てをする必要があります。
詳しくはこちらから。

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自社に最適なプランを選ぼう

Microsoftのお役立ち情報を知って喜ぶ男女

Power Automateのライセンスの種類や価格、特徴について解説してきました。
すでにMicrosoft 365ライセンスをお持ちの方は、Power Automate利用権が含まれているため、すぐにでもお試しいただけます。ただし、利用できる機能には制限があるため、「Power Automateで実現したいこと」を明確にしておくと良いでしょう。
「実現したいことが無料版で出来るのか知りたい」「最低限のコストで出来ることが知りたい」など、ライセンスやメニューについてもっと詳しく知りたい方は、Microsoft認定パートナーのテクバンまでお気軽にお問い合わせください。
ライセンスの違いについてよく理解した上で最適なプランを選びましょう。

無料版と有料版でできることの違いが知りたい方は、以下の記事や資料を参考にしてください。
Power Automateに無料版はある?有料版との違いとは
Power Automate無償版と有償版でできること

※本記事の内容は2024年7月時点のものです。Microsoftの仕様や利用環境は変更する場合があります。

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