無料版の利用可能範囲は?

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業務プロセス自動化で注目されているPower AutomatePower Automateにはライセンスを購入しなくても利用可能な無料版があるため、「無料版でも十分では?」と考える方も多いでしょう。

本記事では、無料版で利用できる範囲や有料版が向いている企業の特徴など、無料版と有料版の違いについて解説しています。導入に興味があっても「できるだけコストをかけたくない」という方や、無料版からのスモールスタートを検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

Power Automateでできること

Power Automateは、マイクロソフト社が提供するワークフロー自動化サービスです。
「特定のファイルを更新したら、関係者全員にメールで通知する」というようなフロー(一連の作業の流れ)を、設定画面から簡単に自動化することができます。
Power Automate
にはフローを自動化するために様々な機能があります。

フローの種類

  • クラウドフロー
    クラウド上でトリガー(きっかけ)とアクション(動作)を組み合わせてフローを自動化
    フロー例:アンケートフォームに回答すると(トリガー)、解答データが自動で指定フォルダに保存される(アクション)
  • デスクトップフロー
    PC
    デスクトップ上のフローを自動化。Power Automate for Desktop上で利用可能なRPA機能
  • ビジネスプロセスフロー
    フローを完了させるためのガイドを作成可能。Power Appsのモデル駆動型アプリ上で利用可能な標準化機能

フローについては、以下資料で詳しく解説しています。こちらもぜひ参考にしてみてください。
Power Automateフロー作成方法と活用例

コネクタの種類

  • 標準コネクタ
    Microsoft 365
    製品との連携が可能
  • プレミアムコネクタ
    Microsoft 365
    製品以外の他社製品との連携が可能
  • カスタムコネクタ
    Web API
    を利用した独自のコネクタ作成が可能

Power Automateでできることやその他の機能については、以下記事でも詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
▼Power Automateでできることとは? メリットや注意点も解説
▼Power Automateとは? マイクロソフト社の自動化ツールを解説

Power Automateのプラン

Power Automateには以下のようなプランがあります。
スタンドアロンプラン

プラン名

Power Automate
プレミアム

Power Automate
プロセス

従量課金制

プランの特徴

ユーザー単位で契約するプラン

ボット単位で契約するプラン

フローの実行回数で課金するプラン

価格

2,248円/

22,488円/

クラウドフロー: 82
有人デスクトップフロー: 82
無人デスクトップフロー: 412

契約単位

ユーザー単位

ボット単位

フロー単位

クラウド
フロー

有人
デスクトップ
フロー

無人
デスクトップ
フロー

ビジネス
プロセス
フロー

標準
コネクタ

プレミアム
コネクタ

カスタム
コネクタ

Dataverse

タスクマイニング

AI Builder

5,000

5,000

付帯プラン(シードプラン)

プラン名

Microsoft 365/Office 365

Power Apps

Dynamics 365

Windows

プランの特徴

Microsoft 365/Office 365プランに付帯する※1

Power Appsプランに付帯する※2

Dynamics 365プランに付帯する※3

Windows 10以上に付帯する

価格

対象ライセンスに含まれる

対象ライセンスに含まれる

対象ライセンスに含まれる

対象ライセンスに含まれる

契約単位

クラウド
フロー

有人
デスクトップ
フロー

無人
デスクトップ
フロー

ビジネス
プロセス
フロー

標準
コネクタ

プレミアム
コネクタ

カスタム
コネクタ

Dataverse

タスクマイニング

AI Builder

1対象は以下のプラン

  • Microsoft 365 E3,E5,F3
  • Office 365 E1,E3,E5

2対象は以下のプラン

  • Power Apps(キャンバスとモデル駆動型アプリ)- アプリごとプラン
  • Power Apps ユーザーごと
  • Power Apps プラン 1(適用除外)
  • Power Apps プラン 2(適用除外)

3対象は以下のプラン

  • Dynamics 365 Enterprise
  • Dynamics 365 Professional
  • Dynamics 365 Team Member

※価格やライセンス形態は変更になる可能性があります。最新版はテクバンまでお気軽にお問い合わせください。

ライセンスの詳細について知りたい方は、以下記事を参考にしてください。
Power Automateライセンス一覧表|各機能と価格

Power Automate無料版とは

Power Automateを無料で利用するには以下の方法があります。

  • 試用版(90日間)
  • 付帯プラン(シードプラン)

試用版では、メールアドレスを登録するだけで、基本的な機能や操作を90日間無料で試すことができます。
試用版はこちらから。

付帯プラン(シードプラン)は、正確には無料ではありません。
Microsoft 365
Office 365プラン、Power Appsプラン、Dynamics 365プラン、Windowsプランにそれぞれ含まれるPower Automate利用権であり、Power Automateを利用するには各プランを購入する必要があります。

しかし、各付帯プランのライセンスを既に持っている場合は、追加費用なしでPower Automateを利用できます。機能には制限があるため注意が必要です。

Power Automate無料版でできること

クラウドフローや標準コネクタを使用した基本的なフローを作成できます。ビジネスプロセスフローやプレミアムコネクタ、カスタムコネクタは、Power AppsプランとDynamics 365プランの付帯プランのみ利用可能です。
基本的に、Microsoft 365製品との連携を目的とし簡易的なフローであれば無料版でも実現できます。

Power Automate有料版とは

Power Automateの有料プランは以下の通りです。

  • サブスクリプションプラン
  • 従量課金制プラン
  • アドオンプラン

サブスクリプションには、“Power Automate プレミアムと“Power Automate プロセスがあり、ともに“スタンドアロンプラン”とも呼ばれています。それぞれユーザー単位、ボット単位と、企業のニーズや予算に合わせて選べます

従量課金制プランは、クラウドフローとデスクトップフローを実行するごとに料金が発生する仕組みです。課金の仕組みについてはこちらを参考にしてください。

アドオンプランもあり、サブスクリプションプランの拡張機能として利用できます。プロセスの問題点を発見し最適化する“Process Mining”(テナント単位)や、ホスト型マシンを利用してRPAの実行を可能にするホスト型RPA”(ボット単位)、AIモデルを活用してビジネスプロセスの最適化が可能な“AI Builder” (ユニット単位)などがあります。

Power Automate有料版でできること

有料版は、ユーザーが端末からサインアウトしていても自動実行が可能な“無人デスクトップフロー”や、タスクの最適な自動化を提案してくれる“タスクマイニング”など様々な機能があります。複雑なフローの構築やMicrosoft 365以外の外部サービスと連携させることが可能です。
また、利用者のアクセス制限など管理機能も充実しています。有志にて作成・更新されている高機能な管理環境“Center of Excellence Starter Kit”(以下CoEスターターキット)を導入することも可能です。Power Appsで作成したアプリやPower Automateで作成したフローを横断的に管理できます。

無料版/有料版を選ぶポイント

無料版でも問題なく利用できる企業と有料版が向いている企業とでは、利用目的の違いがあります。ここからは、無料版有料版それぞれのおすすめポイントをご紹介します。

無料版がおすすめの場合

無料版は個人利用したい方におすすめです。無料版は、基本的に12名の小規模利用を目的としており、作成した自動化フローを他者利用できません。他者と共有して利用したい場合は有料版ライセンスが必要なため、自身の業務プロセスを自動化したいだけという場合に向いているでしょう。セキュリティ要件やアクセス制限が緩い簡易的なフローのみ作成できます。

有料版がおすすめの場合

Microsoft 365以外の他システムと連携したり、開発規模の大きい複雑なフローを作成したりする場合は有料版がおすすめです。

有料版は、Dataverseを利用して開発/テスト/本番運用といった目的別の環境を用意することが可能です。独立した開発環境により運用中のアプリに影響を及ぼすことなく開発を行い、適切なALMApplication Lifecycle Management、アプリケーションライフサイクル管理)を実現できます。

また、大量のトランザクションデータデータ、ファイル、ログを利用する場合も有料版が適しています。データソースとして、DataverseAzure上のSQL、オンプレミスデータなどを選、高度なロールベースアクセス制御RBAC、自動負荷分散、バックアップ、 リストア、監査ログなどの機能があるため、安全な環境でフローを作成可能です

導入目的を明確にしよう

Power Automateを自社に導入する際、「まずは無料版からスモールスタートしたい」と考えている方も少なくないかと思います。しかし、利用目的によっては初めから有料版を検討した方が良い場合もあります。
無料版には使用できる機能に制限があるため、とりあえず始めてみたものの「もっと機能を増やしたい」という要望が増え、有料オプションを追加したり、開発環境がどんどん拡大したりといったケースに発展することがあります。初めから有料版で自社に合った構築プランを導入していれば、運用もスムーズに進みます

まずは、Power Automateの導入目的や将来的な利用イメージを明確にすることから始めましょう。「とりあえずフローの自動化を試してみたいだけで、利用目的まではっきりしていない」という場合でも、プロに相談すれば一緒に整理できます。
テクバンは、Power Automate導入支援サービスを提供しており、「社内にITに詳しい人がいないため導入を手伝ってほしい」「アプリ開発もフロー自動化も構築をすべて任せたい」「困った時に相談できるプロの窓口がほしい」など、お客様の様々なニーズにお応えいたします。コスト面が気になる方は、無料版の範囲でできることや低コストでプランをご提案しますのでお気軽にご相談ください。

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無料版は制限があるので注意

Microsoftのお役立ち情報を知って喜ぶ男女

Power Automate無料版と有料版でできること、それぞれの違いについて解説してきました。
Microsoft 365
製品とだけ連携させる簡易的なフローであれば、無料版でも十分効果を発揮します。しかし、無料版で利用できる機能は限られているため、まずは自社で「作成したいフローは何か」を明確にし、無料版で試せるか予め確認しておきましょう。
具体的な利用イメージがない場合は、テクバンまでご相談ください。数多くのMicrosoft製品を取り扱っているテクバンお客様にとって最適なPower Automateのプランをご提案し、導入からトレーニングまでサポートいたします。

Power Automate無料版と有料版について、さらに詳しい資料もご用意しておりますので、こちらもぜひ参考にしてみてください。
Power Automate無償版と有償版でできること

※本記事の内容は20247月時点のものです。Microsoftの仕様や利用環境は変更する場合があります。

Microsoft が生み出した革新的なサービス、PowerPlatform。どのような機能?利点は?自社で使う用途は?など多くの情報を詰め込んだ資料をご用意しています。ぜひご覧ください。