Microsoft Exchange Online はマイクロソフト社が提供しているクラウド型の法人向けメールサービスです。マイクロソフト社は社内にサーバー構築して利用できる Microsoft Exchange Server という製品も提供していますが、Exchange Online は Exchange Server のクラウド版にあたります。
そのため、Exchange Online を導入すれば、メールサーバーを会社に構築しなくとも、スケジュール管理やセキュリティなど多機能なメールシステムが利用可能です。これにより、PCやスマホなど様々なデバイスからメール、連絡先、スケジュールなどの情報にアクセス、一括管理・共有できるようになり、業務効率化が進みます。
よく知られているメールアプリのひとつに、同じマイクロソフト社が提供している Outlook があります。
もしかしたら、Exchange Online と Outlook、どちらがいいのかとお考えの方もいらっしゃるかもしれませんが、両者は同列に検討するものではありません。
Outlook は電子メールクライアントと呼ばれるもので、メールの表示、作成する役割を提供しています。一方の Exchange Online は電子メールサービスと呼ばれ、メールの保持・送受信などの機能を担当しています。つまり、Exchange Online でメールを作成したり、Outlook でメールを送受信したりはできず、両方がそろうことで初めてメールを作成し、送信が可能になるのです。
- Exchange Online の役割
メールの送受信・保持
ところで、Exchange Online が Office 365 や Microsoft 365 に含まれているのか気になる方もいらっしゃるかと思います。2020年4月に新しいサブスクリプションサービスである Microsoft 365 が登場し、Office 365 の多くのプランが自動で Microsoft 365 に切り替わりました。
現在は、Microsoft 365 Business Standard などの Microsoft 365 プランや一部残存している大企業向け Office 365 プランの Office 365 E1・E3・E5 などのプランで Exchange Online が利用できます。
Exchange Online が利用できるプランや費用は「Exchange Online の料金プランと特徴」の章で改めて紹介します。
Exchange Online の利用で得られる主なメリットを紹介します。
Exchange Online は、一番コストが低いプランでもメールの保存容量が50GBと十分な容量を保障しています。50GBもあれば、よほどのことがない限り、一般的なビジネスでは十分な容量です。サイズが大きいファイルを大量にやり取りする、毎日数千通規模でメールを送受信することなどがなければ問題なしといえるでしょう。
実際に使用してみて、50GBでは足りないという場合は、保存容量100GBやメールアーカイブ1.5TBなどが利用できるプランへの変更も可能なので安心です。
Exchange Online では、メールの添付ファイルは最大150MBまで送信可能です。同じクラウドメールサービスの Gmail のメール添付ファイルは最大25MBまで。Gmail と比べて、Exchange Online はかなり大きな添付ファイルの送信にも対応していることがわかります。
サイズの大きい画像や Excel、表や画像を多く利用した PowerPoint などの資料も、ファイルサイズの制限を気にせず送信できることは生産性アップにもつながるでしょう。
さらに Exchange Online では、標準で Exchange Online Protection というマルウェア・スパム対策の保護機能が利用可能です。カスタム可能なマルウェア・スパム対策ポリシーや、ユーザーごとの接続フィルター設定などにより、悪意あるメールからユーザーやデバイスを保護できます。
セキュリティレポートや監査ログなどの監視機能は管理者の負担軽減にも役立つでしょう。
自社でメールサーバーを構築し運用するには、オンプレミスであれクラウドであれ、サーバーの調達・稼働にかかる費用やオペレーターの人件費など、多くのコストがかかります。
Exchange Online はクラウドメールサービスのため、自社でメールサーバーを運用する必要がなくなります。これまでメールサーバーの運用にかかっていた様々なコストを削減し、その分を、新規事業創出など企業成長につながることに振り向けることも可能になるのです。
Exchange Online の利用で注意すべきデメリットを解説します。
- 突然のアップデート、仕様変更が発生する可能性がある
Exchange Online はクラウドサービスのため、突発的なアップデートによる仕様変更が発生する可能性があります。クラウドサービスはバージョンの保留やダウングレードができないため、基本的にユーザー側は仕様変更に従うしかありません。以前は利用できていた機能が急に利用できなくなる可能性もあるため、この点には注意が必要です。
Exchange Online の料金プランには大きく分けて3パターンがあります。それぞれの料金プランと特徴を解説します。
- Exchange Online (プラン1)
Exchange Online (プラン1)は、Exchange Online 単体の利用プランです。中小規模の利用で Exchange Online のみ導入したい場合におすすめです。
プラン名
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月額
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メール保存容量
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アーカイブメールボックス
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Exchange Online (プラン1)
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430円/ユーザー
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50GB/ユーザー
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50G/ユーザー
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- Exchange Online (プラン2)
Exchange Online(プラン2)は、Exchange Online (プラン1)と同様に Exchange Online 単体のプランですが、メールの保存容量やアーカイブメールボックス機能などがより強化されたプランです。大規模の利用やメール数が多い環境で Exchange Online のみ導入したい場合におすすめです。
プラン名
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月額
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メール保存容量
|
アーカイブメールボックス
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Exchange Online (プラン2)
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870円/ユーザー
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100GB/ユーザー
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1.5TB/ユーザー
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- ソリューションプラン
ソリューションプランは企業規模などに合わせて複数のアプリケーションが含まれるプランです。マイクロソフト社の複数アプリケーションを利用する場合には、Exchange Online 単体のプランよりもソリューションプランの利用がお得です。各プランの主な違いは下記一覧をご確認ください。
Microsoft 365 の料金プランについての詳しい記事もご用意しております。ぜひご覧ください。
▼Microsoft 365 の最適プラン選び! 4種類を比較・解説
プラン名
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月額
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メール保存容量
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アーカイブメールボックス
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Microsoft 365 Business Basic
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650円/ユーザー
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50GB/ユーザー
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50GB/ユーザー
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Microsoft 365 Business Standard
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1,360円/ユーザー
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50GB/ユーザー
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50GB/ユーザー
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Microsoft 365 Business Premium
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2,390円/ユーザー
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50GB/ユーザー
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1.5TB/ユーザー
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Microsoft 365 E3
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3,910円/ユーザー
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100GB/ユーザー
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1.5TB/ユーザー
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Microsoft 365 E5
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6,200円/ユーザー
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100GB/ユーザー
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1.5TB/ユーザー
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Microsoft 365 F3
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870円/ユーザー
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2GB/ユーザー
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なし
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Office 365 E1
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1,090円/ユーザー
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50GB/ユーザー
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50GB/ユーザー
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Office 365 E3
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2,500円/ユーザー
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100GB/ユーザー
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1.5TB/ユーザー
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Office 365 E5
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4,130円/ユーザー
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100GB/ユーザー
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1.5TB/ユーザー
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※本記事の内容は2022年7月時点のものです。Microsoft 製品の仕様や利用環境は変更する場合があります。