Copilot商用利用のために知っておくべきこと

Microsoftブログを紹介する女性

生成AIを取り入れたコンテンツ制作は、企業の生産性向上に直結する大きな可能性を秘めています。
しかし、生成AIを商用利用するとなると「著作権はどうなる?」「利用規約違反のリスクは?」といった不安を抱える方も多いのではないでしょうか。
マイクロソフト社が提供するCopilotは便利なツールですが、正しい知識を持たずに導入すると、思わぬトラブルにつながる可能性があります。

本記事では、Copilotを安全に商用利用するために押さえておくべき基本情報や、リスクとその対策をわかりやすく解説します。
Copilotの導入を検討している企業担当者や、生成AIの企業利用に不安を感じている方は、ぜひ参考にしてください。

Copilotの商用利用に関する基本知識

Copilotは、マイクロソフト社が提供する生成AIを活用したアシスタントツールで、文章作成やコード生成、画像制作など幅広い業務をサポートします。
近年、多くの企業がCopilotを商用利用したいと考えており、業務効率化やコスト削減、クリエイティブの質の向上に期待を寄せています。

商用利用とは、具体的にWebサイトやSNSのコンテンツ制作、広告コピーや商品説明文の生成、さらには社内資料や提案書の作成などが挙げられます。また、画像生成機能を活用して、キャンペーン用のビジュアル作成やプレゼン資料のデザイン作成も含まれます。
こうした活用をすることにより、従来外注していた業務を内製化できるため、コスト削減とスピードアップを同時に実現できるでしょう。

では、実際にCopilotは商用利用しても問題ないのでしょうか?次項で詳しく解説します。

Copilotは商用利用できる?

Copilotは、基本的には商用利用が可能とされており、生成されたコンテンツの権利は利用者が保持できる仕組みです。

Microsoft はお客様のコンテンツを所有していませんが、Copilot の運営および改善のためにお客様のコンテンツを使用することがあります。Copilot を使用することにより、お客様は、お客様のコンテンツを使用する許可を Microsoft に付与することになります。つまり、Microsoft はコンテンツをコピー、配布、送信、公開表示、公開実演、編集、翻訳、および再フォーマットすることができ、Microsoft の代理として業務を行う他者にも同じ権利を与えることができます。

引用:マイクロソフト社「Microsoft Copilot 使用条件」
https://www.microsoft.com/ja-jp/microsoft-copilot/for-individuals/termsofuse

一方で、生成したコンテンツに関する法的責任や著作権の問題は、利用者側が負うケースもあります。後述の『商用利用時のリスクとその対策』を参照してください。

Copilotで生成した画像の著作権は?

Copilotで生成した画像やイラストを、自社の広告や商品デザイン、ロゴなどに使用できるかどうかは、多くの企業が気になるポイントです。

結論から言えば、Copilotの利用規約では、生成されたコンテンツの商用利用は認められています。つまり、広告バナーやSNS投稿などに活用することが可能です。

ただし、注意すべき点があります。Copilotを含む生成AIは、膨大な学習データをもとに画像を生成するため、まれに既存の著作物に類似したデザインが出力される場合があります。そのため、ロゴやブランドアイデンティティのように独自性が求められる要素に使用する際は、必ず社内で確認プロセスを設けることが重要です。
また、人物写真や特定のキャラクターを含む画像を生成する場合は、肖像権や商標権を侵害するリスクがあることにも注意が必要です。

安全に利用するためには、生成した画像をそのまま使うのではなく、加工や編集を加えることでオリジナリティを高めることをおすすめします。

商用利用時のリスクとその対策

Copilotを商用利用する際には、見落としがちなリスクが存在します。ここでは、著作権や知的財産権、利用規約違反、そして生成コンテンツの責任問題の3つのポイントを紹介します。それぞれのリスクと具体的な対策を理解した上で、安全に利用しましょう。

著作権と知的財産権のリスク

商用利用する際に注意すべきなのは、他者の著作権を侵害しないことです。
生成AIによる文章やプログラムの一部が、既存の著作物と類似するケースはゼロではありません。特に、公開されるWeb記事や広告コピーなどは、オリジナルコンテンツであることが求められます。安全性を確保するために社内でレビュー体制を整え、必要に応じて編集や加筆を行い、独自性を確保するようにしましょう。
また、マイクロソフト社は、法人向け有料プランの利用者に対して『著作権侵害に関する訴訟への補償制度』を用意しているため、事前によく理解しておくことをおすすめします。
詳細は後述の『補償制度Copilot Copyright Commitmentとは』を参照してください。

利用規約違反によるリスク

Copilotを商用利用する際に見落としがちなリスクの一つが、利用規約違反です。
Copilot
には、主に以下のような利用規約があります。

  • 自分や他者に危害を加える目的で使用しない
  • ボットやスクレイピング(Webサイトから情報を収集・抽出する)、技術的な攻撃、過剰利用、ジェイルブレイク(AIやシステムの制限を不正に解除して、本来許可されていない操作や応答を引き出す行為)などを行わない
  • 他者の個人情報や機密情報を推測・共有しない
  • なりすましや詐欺、誤解を招くコンテンツの作成・共有をしない
  • 他者の知的財産権や法的権利を侵害しない
  • アダルト、暴力、憎悪、テロ、児童虐待など攻撃的なコンテンツを作成・共有しない
  • 法律違反や違法行為の助長をしない

最新・詳細な利用規約は、公式のMicrosoft Copilot 使用条件を確認ください。

規約に違反した場合、対象のプロンプトやコンテンツをブロック・制限・削除され、アカウントも停止される可能性があります。
利用前に社内ポリシーを策定し、従業員が規約をしっかりと理解・遵守できる体制を整えましょう。規約違反によるリスクは企業の信頼性を損なう大きな要因となるため、事前の確認と従業員への教育が不可欠です。

生成コンテンツの責任について

Copilotで生成されたコンテンツが不適切な内容を含む場合、企業の評判に影響を与える可能性があります。
例えば、誤情報や差別的な表現が含まれた文章を公開してしまうと、ブランドイメージの低下につながるリスクがあります。このとき、誰がその責任を負うのかという問題が発生します。基本的には、生成AIではなく利用者が責任を負うことになります。

対策としては、生成されたコンテンツをそのまま公開せず、必ず人間による確認プロセスを設けることが重要です。また、社内で『不適切な表現の基準』を明確化し、チェック体制を強化しましょう。さらに、Copilotの利用目的を再確認し、ブランドポリシーに沿った運用を徹底することが求められます。
生成AIは便利ですが、最終的な責任は企業にあることを忘れず、安全な利用を心がけましょう。

補償制度Copilot Copyright Commitmentとは

マイクロソフト社は、『Copilot Copyright Commitment(CCC)』と呼ばれる補償制度を提供しています。

この制度は、Copilotの出力結果が原因で第三者から著作権侵害の訴えを受けた場合、マイクロソフト社が法的責任を負い、損害賠償金を負担する仕組みです。企業が安心してCopilotを導入できるよう、著作権リスクを軽減することを目的としています。

ただし、この補償は法人向け有料プランに適用されるため、商用利用を検討している企業は、Microsoft 365 Copilotなどの法人プランを選択することをおすすめします。
Copilot
を安全に活用するためには、こうした制度を理解し、適切なプランを選ぶことが重要です。

Copilotのプランやライセンスについて詳しくは以下記事で解説しております。
▼Microsoft Copilotライセンス比較:法人向けAI導入のポイント
▼Microsoft 365 Copilotとは? ライセンス体系と導入前に知っておきたいポイント
▼Copilotシリーズの最新料金は? 各製品の機能とプランを徹底比較

Copilotを安全に商用利用するためのポイント

Copilotを商用利用する際には、法的リスクや品質管理を考慮した運用が不可欠です。ここでは、以下3つのポイントを紹介します。

  • 社内ガイドラインの策定
  • 出力内容の確認体制
  • 商用利用の目的の再確認

これらを押さえることで、Copilotを安全かつ効果的に活用できるでしょう。

社内ガイドラインの策定

Copilotを商用利用する前に、まず社内ガイドラインを策定することが重要です。
ガイドラインには、利用目的の明確化を含め、どの業務でCopilotを使うのかを定義しましょう。例えば、広告コピーや社内資料の作成など、具体的な利用範囲を決めることで、誤用やリスクを防げます。

次に、権限管理の徹底が必要です。誰がCopilotを利用できるのか、どの部署に利用権限を与えるのかを明確にし、アクセス制御を行います。これにより、情報漏えいや不適切な利用を防止できます。

さらに、責任の所在の明示も不可欠です。生成されたコンテンツに問題があった場合、誰が最終的な責任を負うのかを明確にし、公開前にコンテンツの内容・表現・法的リスクを確認するための承認フローを設けることで、企業のリスクを最小化できます。ガイドラインは、Copilotの安全な運用を支える基盤となるため非常に重要です。

出力内容の確認体制

Copilotの自動生成機能は便利ですが、出力結果の精査を怠ると誤情報や不適切な表現を含めたまま運用してしまう可能性があります。そのため、複数人によるレビュー体制を構築し、生成されたコンテンツを必ず確認する仕組みを整えましょう。

レビューでは、事実確認や表現の適切性をチェックし、必要に応じて修正します。また、フィードバックの仕組みを導入し、Copilotの出力精度を継続的に向上させることも重要です。例えば、レビュー担当者や実際にCopilotを利用する従業員が、誤りや改善点を記録し、専用の共有ドキュメントやチャットツール、ナレッジベースに投稿する形式をとると効果的です。
利用者が気づいた問題点を組織全体で共有することで、改善内容が次のプロンプト作成に活かされ、結果として利用者全体の品質管理レベルの向上にもつながるでしょう。

生成AIに依存しすぎず、人間の判断を組み合わせることで、Copilotのメリットを最大限に活かしながらリスクを回避できます。

商用利用の目的の再確認

Copilotを導入する際は、まず商用利用の目的を明確に再確認することが重要です。
目的が曖昧なまま運用を広げてしまうと、「あれもこれも」と利用範囲が大きくなり、想定していなかった情報を入力してしまうことで、情報漏えいのリスクが拡大する危険性があります。また、適切な用途を定めないまま利用が進むと、法的リスクや品質管理の問題にもつながりかねません。

Copilotを利用する業務が、企業の戦略やブランドポリシーに沿ったものであるかどうかを、導入前に必ず確認しましょう。利用目的を明確にし、範囲をコントロールすることで、安心してAIを活用できる環境が整います。結果として、Copilotの導入効果を最大化し、不要なトラブルの発生を未然に防ぐことができます。

Copilotの導入・運用方法に悩んだら

Copilotの導入や運用に不安を感じている企業担当者の方も多いのではないでしょうか。
そんなときは、専門知識を持つパートナーに相談するのが安心です。テクバンでは、Copilotの導入から運用までをトータルで支援しています。

従業員向けのトレーニングや定着化支援、アクセス制限の設定など、お客様が抱える課題を柔軟に解決します。Copilot導入に合わせてセキュリティ強化の支援も可能です。

「どんなプロンプトを使えば効果的か」といった実務的な課題も、一緒に検討しながら最適な運用方法をご提案いたします。企業規模や利用目的、ご予算に応じた柔軟なプランをご提案しますので、Copilotの導入で業務効率化を目指すなら、まずはお気軽にご相談ください。

詳しくは以下をご参考にしてください。
テクバンのMicrosoft 365 Copilot導入支援サービス

関連資料をご用意しております。併せてご覧ください。
Microsoft 365 Copilot/Copilot Studio/Azure OpenAI Serviceを徹底比較
Microsoft 365 Copilotの基本が分かるお役立ちガイド

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Copilotを企業利用するなら理解しておこう

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本記事では、Copilotの商用利用に関する基本知識や、著作権・利用規約違反などのリスク、さらに安全に活用するためのポイントについて解説しました。
Copilot
は業務効率化やクリエイティブ強化に役立つ一方で、法的リスクや品質管理を怠るとトラブルにつながる可能性があります。導入前に利用目的を明確化し、社内ガイドラインや確認体制を整えることを意識しましょう。
Copilot
を企業で安心して活用するために、本記事の内容が参考になりましたら幸いです。
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※本記事の内容は202512月時点のものです。Microsoftの仕様や利用環境は変更する場合があります。

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