CopilotとChatGPTを徹底比較

近年、生成AIツールの進化は目覚ましく、私たちの仕事や生活を大きく変えつつあります。
その中でも、Microsoft CopilotとChatGPTは、高い人気と注目を集める存在です。どちらも魅力的なAIアシスタントツールですが、機能、料金、そして得意分野で異なる部分があります。
この記事では、CopilotとChatGPTの機能を徹底比較し、両者の違い、そしてどんな方に向いているかまで詳しく解説します。
ビジネスシーンでの生成AI活用を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。
Microsoft Copilotとは
Microsoft Copilot(コパイロット)とは、マイクロソフト社が提供する対話型AIアシスタントツールです。
以前は「Bing Chat」「Bing Chat Enterprise」と呼ばれていましたが、2023年に統合し、Microsoft Copilotに名称変更しました。
OpenAI社が開発した「GPT-4」や「GPT-4 Turbo」をベースとした強力な言語モデルにより、文書や画像生成、情報検索、要約、翻訳など様々なタスクを効率化します。
Microsoft Copilotは誰でも無料で利用できますが、他にも有料版の「Microsoft Copilot Pro」「Microsoft 365 Copilot」といった関連サービスがあり、これらを総称して「Copilot」と呼ばれることがあります。
Microsoft Copilotについて、以下記事でも詳しく解説しております。併せてご覧ください。
▼Microsoft Copilotで何ができる? 初心者でもわかる特徴や使い方を解説
ChatGPTとは
ChatGPT(チャットジーピーティー)とは、OpenAI 社が開発した対話型AIアシスタントツールです。
2022年11月に公開されてから、わずか2か月で全世界のユーザー数が1億人に達し、生成AIツールの先駆けとして注目を集めました。「GPT-4」や「GPT-4 Turbo」など複数の言語モデルを基盤としており、人間と対話しているかのような質疑応答、コンテンツ生成が可能です。
ChatGPTには無料版と、「ChatGPT Plus」「ChatGPT Pro」「ChatGPT Enterprise」といった有料版があり、目的や組織の規模によって選ぶことが可能です。
2024年以降も、より精度を向上させた「GPT-4o」「o1」や、推論能力に特化した「o3-mini」といった言語モデルを続々と開発しており、無料版では制限つきで利用可能、有料版では目的に合わせて自由に選択、いつでも利用できるようになっています。
CopilotとChatGPTの違い
Microsoft CopilotとChatGPTの基本機能の違いを以下の表に一覧でまとめました。
項目
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Microsoft Copilot 無料版
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ChatGPT 無料版
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提供元
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Microsoft
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OpenAI
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主な言語モデル
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GPT-4、GPT-4 Turbo
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GPT-4、GPT-4 Turbo
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主な機能
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会話、質疑応答、文章・画像・コード作成、要約、翻訳
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会話、質疑応答、文章・画像・コード作成、要約、翻訳
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入力可能文字数
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約10,240文字
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約21,000文字
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出力可能文字数
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約3,000~4,000文字
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約3,000~4,000文字
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画像生成
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15回/日
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2回/日
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使用制限
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300回/日
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4,000回/日
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次項から詳しく解説していきます。
言語モデルの違い
Microsoft CopilotとChatGPTは、どちらもOpenAI社が開発したGPT-4、またはGPT-4の処理スピードを向上させた改良版GPT-4 Turboという大規模言語モデル(LLM)を使用しています。
無料版はいずれも同じ言語モデルを使用していますが、ChatGPTは「GPT‑4o」や「o3‑mini」といった最新モデルも、混雑時を除いた一部の時間のみ利用することができます。
さらに、有料版では最新モデルを含む言語モデルを、いつでも自由に選択して利用可能です。
機能の違い
無料版での両者機能に大きな違いはありません。
どちらも日常会話から、文書生成、アイディア出し、翻訳、要約など業務を円滑に進めるサポートが可能であり、膨大な学習データから最適な回答を導き出してくれるでしょう。
ただし、有料版では両者に明確な違いがあります。
有料版のMicrosoft Copilot ProやMicrosoft 365 Copilotは、ExcelやWordなどのMicrosoft 365ツールとシームレスな連携ができます。
例えば、Wordで作成した原稿をPowerPointで「〇〇.docをもとにスライドを作成して」とプロンプト(命令や質問)を出すことができ、アプリを横断した活用が可能です。ChatGPTにこれらの機能はなく、Microsoft 365ツールと連携させるには専門的な知識や技術が必要になります。
一方で、ChatGPT PlusやChatGPT Proには、ChatGPT を自由にカスタマイズできるGPTs(ジーピーティーズ)があります。GPTsは、APIで外部ツールと連携し、ローコードで独自のChatGPTを作成できる機能です。作成したGPTsは他者にも共有可能で、個人や企業間で幅広く展開・活用ができるでしょう。
また、ChatGPTの有料版は、最新の言語モデルが利用可能なため、Copilotよりも高度なデータ分析力や推論能力を発揮し、複雑な問題を解決できると期待されています。より専門的な分野で文書生成やアイディア出しに有効です。
料金の違い
Microsoft CopilotとChatGPT共に、無料プランと有料プランが用意されています。有料プランでは、機能制限の緩和や高度な機能の利用が可能になります。
以下は、有料プランを含めた各プランの料金一覧です。
サービス/プラン
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料金
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Copilot
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Microsoft Copilot
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無料
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Microsoft Copilot Pro
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3,200円ユーザー/月
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Microsoft 365 Copilot
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4,497円ユーザー/月
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ChatGPT
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ChatGPT
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無料
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ChatGPT Plus
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20ドル(約3,000円)ユーザー/月
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ChatGPT Pro
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200ドル(約30,000円)ユーザー/月
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ChatGPT Team
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25ドル(約3,700円)ユーザー/月※年契約 30ドル(約4,400円)ユーザー/月※月契約
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ChatGPT Enterprise
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お見積り
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※価格に消費税は含まれていません。
※価格は変更の可能性があります。最新価格については公式サイトをご確認ください。Microsoft Copilotの公式サイト
ChatGPTの公式サイト
生成文字数の違い
どちらも「入力可能な文字数」と「出力可能な文字数」があります。
無料版で実際に試してみたところ、Microsoft Copilotは、10,000文字以上の長文の要約を指示すると「メッセージが10,240文字を超えています」というエラーが表示され送信出来ませんでした。だいたい10,000文字以内であれば入力が可能なようです。
一方、ChatGPTは日本語で約21,000文字まで入力可能で、それ以上は、プロンプトの送信自体はできますが、「送信されたメッセージが長すぎます。もっと短いメッセージを送信してください」といったエラーが表示されます。
出力可能な文字数は両者とも3,000~4,000文字程度となっています。いずれも上位の言語モデルにアップデートされる度に上限も変更になるようですので、長文の作成を頻繁に行う場合は、生成文字数に注意して利用してください。
使用制限数の違い
Microsoft CopilotとChatGPTの無料プランでは、1日あたりの使用回数に制限があります。
Microsoft Copilotは1日300回まで、画像生成は1日15回までです。一方、ChatGPTは1日4,000回までとなっており、ほぼ無制限といってよいでしょう。ただし、画像生成は1日2回までのため、生成内容をよく吟味する必要があります。
有料プランでは、両者ともこれらの制限が緩和され、上限をほぼ気にせず利用が可能です。
その他の違い
Microsoft CopilotとChatGPTの無料プランは、セキュリティ対策に違いがあります。
どちらのサービスも、入力したデータをAIが学習・蓄積し、学習した情報を他ユーザーへの回答に利用することで、回答の精度を高めていきます。そのため、機密情報や個人情報を入力すると第三者に情報が漏れてしまう可能性があるため注意が必要です。
Microsoft Copilotの場合、以下のように組織が持つMicrosoft 365アカウントを使ってログインすると、入力したデータの暗号化や第三者への流出を防ぐことができます。
- Microsoft 365 Business Basic/Standard/Premium
- Microsoft 365 E3/E5
- Microsoft 365 F1/F3
- Office 365 E1/E3/E5
ChatGPTには、入力したデータを他者に共有させない「オプトアウト申請」という設定があります。これをすることで機密情報を取り扱うことも可能になりますが、不正アクセスなどのリスクを完全に排除できるわけではないため、取り扱いには十分な注意が必要です。
Microsoft Copilot、ChatGPTいずれも、企業や組織内で安全に生成AIを利用したい場合は、セキュリティ対策に特化した有料プランがおすすめです。
ChatGPTの安全性については、以下記事でも解説しております。併せてご覧ください。
▼ChatGPTを安全にビジネス利用するには? リスクと対策を解説
CopilotとChatGPTどちらを使うべきか?
これまでMicrosoft CopilotとChatGPTの違いについて解説してきましたが、ではどちらを使用するのが良いのでしょうか?
Microsoft CopilotとChatGPTの無料版は、どちらも機能に大きな違いはありませんが、使用環境や用途によってどちらを選ぶべきかが変わります。
ここからは、Microsoft Copilot とChatGPTのどちらが自身に適しているかについて詳しく解説していきます。
Copilotが向いている企業
Microsoft Copilot は、Microsoft ユーザーであり、Microsoft 製品をよく使う方に向いています。
同じマイクロソフト社が提供するサービスのため、親和性が高く、手持ちの職場アカウントを使用すれば、追加費用なしで情報漏洩のリスクを抑えることができます。
主にビジネスシーンでの利用をするのであれば、セキュリティ対策やサポートサービスが充実したMicrosoft Copilot ProやMicrosoft 365 Copilotといった有料プランの利用の方がおすすめです。Excel、Word、PowerPoint、Teams、OutlookなどのOfficeツールを、より便利に使うことができ、業務効率化や生産性向上を求める場面で優れた効果を発揮するでしょう。
ChatGPTが向いている企業
ChatGPTは、最新の言語モデルを使用できるため、高度な言語処理能力を求める方や多様なAIモデルを活用したい方に向いているでしょう。日常のちょっとした調べものから専門的なプログラミングやデータ分析など幅広いニーズに対応可能です。
また、外部サービスと連携させたい、自在にカスタマイズをしたい方は、拡張性の高いChatGPT有料プランが適しています。GPTs機能やプラグインなどを活用して、自社のニーズに合わせたAIアシスタントを構築できるでしょう。
自社に合わせてカスタマイズ
Copilotにも自社のシステムに合わせてカスタマイズできるサービスがあります。
- Copilot Studio
Microsoft 365 Copilotのカスタマイズ機能と、生成AIを組み込んだチャットボットの作成機能を併せ持つローコードツールです。
Microsoft 365 Copilotは、WordやExcelなどのMicrosoft 365アプリに生成AI機能を追加できるサービスですが、自社に合わせたカスタマイズはできません。Copilot Studioなら、お客様のニーズに合ったAIシステムをカスタム開発することが可能です。Microsoft 365 Copilotのライセンスを持たなくても利用できます。
- Azure OpenAI Service
マイクロソフト社とOpenAI社が共同開発した、クラウドのAzure上でChatGPTを利用できる法人向けサービスです。ChatGPT の高度な言語処理能力とAzureが持つ高度なセキュリティ機能を利用でき、様々なサービスやシステムと連携してカスタマイズすることが可能です。Copilot Studioよりもさらに複雑なAIシステムの構築や連携を行いたい場合におすすめのサービスです。
サービスの違いについては、以下資料で詳しく解説しております。併せてご覧ください。
Microsoft 365 Copilot/Copilot Studio/Azure OpenAI Serviceを徹底比較
目的に合わせて最適なツールを選ぼう

Microsoft CopilotとChatGPTの機能や特徴を比較し、違いを解説してきました。
無料プランでの機能の違いはそれほど多くありませんが、自身の利用環境や目的に合わせて使い分けることが重要です。また、ビジネス活用を目指す方は、それぞれの得意分野を理解し、有料プランで検討するのがおすすめです。
テクバンは、マイクロソフト社認定パートナーとして、Microsoft Copilotに関連する様々なサービスを取り扱っております。「どのプランが良いか迷っている」「カスタマイズをしたいが自分たちでできるか不安」など生成AIツール導入に関するお悩みがあれば、お気軽にご相談ください。導入から導入後のサポートまで、お客様のご予算に合わせて臨機応変に対応いたします。
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※本記事の内容は2025年4月時点のものです。Microsoftの仕様や利用環境は変更する場合があります。