Copilot Studio(コパイロットスタジオ)とは、マイクロソフト社が提供するAIチャットボット開発プラットフォームです。本章では、Copilot Studioの特徴とライセンスの種類について解説します。

Microsoft 365 Copilot、Copilot Studio、Azure OpenAI Serviceの機能や特徴の違いを解説しています。
Microsoft 365 Copilot、Copilot Studio、Azure OpenAI Serviceの機能や特徴の違いを解説しています。
2025.08.15
#生成AI
働き方改革や業務の自動化が求められる今、AIチャットボットは社内DX(デジタルトランスフォーメーション)を支える重要なツールです。
マイクロソフト社が提供する「Copilot Studio(コパイロットスタジオ)」は、ローコードで誰でも簡単に独自のAIチャットボットを作成できる強力な開発ツールです。Microsoft 365との連携や豊富なコネクタを活用することで、自社業務に特化したチャットボットを柔軟に構築できます。
本記事では、Copilot Studioの特徴や主な機能、料金体系、導入メリット、活用方法まで詳しく解説します。定型業務の自動化や社内問い合わせ対応の負担を軽減したい方、AIエージェント、AIアシスタントに興味のある方は、ぜひ参考にしてみてください。
Copilot Studio(コパイロットスタジオ)とは、マイクロソフト社が提供するAIチャットボット開発プラットフォームです。本章では、Copilot Studioの特徴とライセンスの種類について解説します。
Copilot Studioは、マイクロソフト社のローコード開発プラットフォーム「Power Platform」に含まれるサービスのひとつです。
以前は「Power Virtual Agents」として提供されていましたが、2023年11月にCopilot Studioへと統合され、生成AI機能を搭載した新しいチャットボット開発ツールとして再構築されました。
その他、以下のような特徴があります。
Copilotについては、以下記事で詳しく解説しております。併せてご覧ください。
▼Microsoft Copilotで何ができる? 初心者でもわかる特徴や使い方を解説
Copilot Studioを利用するには、以下のいずれかのライセンスが必要です。
導入前には、自社の目的に合ったライセンス選定が重要になります。
プラン名 | Copilot Studio | Copilot Studio 従量課金 |
Copilot Studio in Microsoft 365 Copilot |
プランの特徴 |
メッセージパックのサブスクリプションプラン |
使用したメッセージ容量分だけ支払うプラン |
Microsoft 365 Copilotライセンスに付帯するCopilot Studio使用権 |
価格 |
¥29,985 |
従量課金制 |
対象ライセンス(¥4,497)に含まれる |
テナントごとのメッセージ数/月 |
25,000 |
無制限 |
無制限 |
公開先 |
・外部チャネル(外部ウェブサイトなど) ・内部チャネル(社内ポータルサイトなど) |
・外部チャネル(外部ウェブサイトなど) ・内部チャネル(社内ポータルサイトなど) |
・Teams ・Microsoft 365 Copilot ・SharePoint |
条件 |
‐ |
Azureサブスクリプションが必要 |
別途Microsoft 365のライセンスが必要 |
※価格に消費税は含まれていません。
※価格やプラン内容は変更する可能性があります。最新版についてはお問い合わせください。
主にAIチャットボットの作成がしたい場合は、サブスクリプションのCopilot Studioライセンス、Microsoft 365 Copilotのカスタマイズがしたい場合は、Copilot Studio in Microsoft 365 Copilotライセンス(Microsoft 365 Copilot付帯プラン)の利用がおすすめです。
Microsoft 365 Copilotについては以下記事で詳しく解説しております。併せてご覧ください。
▼Microsoft 365 Copilotとは?ライセンス体系と導入前に知っておきたいポイント
▼【2025年最新】Microsoft 365 Copilotの料金は? 追加費用や注意点を解説
ここでは、Copilot Studioでどんなことができるのか、主な機能について解説します。
以下は、Copilot Studioで作成できるAIチャットボットの主な構成図です。各機能について紹介していきます。
Copilot Studioでは、ユーザーの指示や特定のトリガーに応じて動作するエージェント(チャットボット)を作成できます。
エージェントには、ユーザーの入力に応じてアクションを実行する「対話型エージェント(通常エージェント)」と、メールの受信などの業務イベントをきっかけに自律的に判断・行動する「自律型エージェント」の2種類があります。
トピックとは、会話の流れを定義する処理単位で、トリガー(トピックを開始する条件)とアクション(トピックで実行する処理)で構成されます。通常、1つのトリガーに対して複数のアクション(ノード)を組み合わせることで、ユーザーの入力に応じた柔軟な応答や業務処理を実現できます。
たとえば、ユーザーが「申請について知りたい」と入力したら(トリガー)、「何の申請方法が知りたいですか?①交通費申請 ②出張費申請 ③休暇申請」と返す(アクション)というように設計します。選択肢によって次のアクションを変える条件分岐の設計が可能です。
Copilot Studioでは、社内のドキュメントやデータベースを「ナレッジ」として追加することで、Copilotがより正確かつ信頼性の高い情報を提供できるようになります。
連携可能なナレッジソースは、企業やサービスのHPといった公開Webサイト、Dataverse、SharePoint、Dynamics 365、Salesforceなど多岐にわたり、画像・動画ファイルを直接アップロードすることも可能です。
社内規定や業務マニュアル、FAQ、製品情報など、業務に関連する幅広い情報を追加することで、ユーザーからの質問にCopilotが的確な回答を返すことができ、業務の効率化と品質向上につながるでしょう。情報の更新やアクセス権限の管理にも柔軟に対応できるため、安心して運用できます。
作成したCopilotを、TeamsやWebサイト、モバイルアプリなど複数のチャネルに一括で公開することが可能です。
これにより、社内の従業員だけでなく、顧客や取引先など社外ユーザーにも幅広く活用できます。たとえば、社内ポータルにFAQボットを設置したり、Webサイト上で顧客対応用のチャットボットとして運用したりすることができます。
ただし、前述のライセンス表の通り、Microsoft 365 Copilot付帯ライセンスで利用できる公開先は、TeamsとMicrosoft 365 Copilot、SharePointのみですので注意しましょう。
Copilot Studioには、チャットボットを作成する機能に加えて、業務運用を支援する高度な機能も備わっています。
これらの機能は、業務効率化だけでなく、ユーザー満足度の向上にもつながり、特に大規模な組織や複数部門にまたがる運用においては、重要な役割を果たすでしょう。
Microsoft 365 Copilot付帯ライセンスを保有している場合は、Microsoft 365 Copilotのカスタマイズ機能を利用できます。この機能は、Word、Excel、Outlook、PowerPointなどのMicrosoft 365アプリケーションに特化したCopilotを構築でき、業務に合わせたAIアシスタントの設計が可能です。
たとえば、Excelでのデータ整理や、Outlookでのメール対応の自動化、Wordでの文書作成補助など、日常業務の生産性を大幅に向上させることができます。
標準のMicrosoft 365 Copilotでは対応しきれない細かな業務ニーズにも、柔軟に対応できるようにカスタマイズできるのが、このライセンス付帯機能の大きな魅力です。
Copilot Studioを利用することで、オリジナルのAIチャットボットを作成し、日常業務の効率化を実現できます。ここでは、主な導入メリットをご紹介します。
自社の業務フローやニーズに合わせて、業務に特化したカスタムCopilot(AIチャットボット)を柔軟に開発できます。
たとえば、社内の申請業務や問い合わせ対応など、定型的な業務を自動化することで、従業員の負担を軽減し、対応スピードを向上させることが可能です。
業務内容に応じてトピックやナレッジを自由に設計できるため、導入後も改善・拡張がしやすく、継続的な業務最適化に貢献します。
Copilot Studioは、ローコード開発に対応しており、プログラミングの専門知識がなくてもCopilot(AIチャットボット)を簡単に作成できます。
操作は直感的で、ドラッグ&ドロップや選択式の設定により、誰でも扱いやすい設計になっています。さらに、あらかじめ用意されたテンプレートを活用することで、ゼロから設計する手間を省き、開発時間やコストを大幅に削減可能です。
トピックやナレッジの追加もGUI(Graphical User Interface、グラフィカルユーザーインターフェース)ベースで行えるため、非エンジニアでも運用・改善がしやすく、現場のニーズに即したCopilotをスピーディに構築できます。
Outlook、Teams、SharePoint、Power Platformなどとシームレスに連携できます。これにより、既存の業務環境に自然に組み込むことができ、導入時の負担を最小限に抑えながら、業務効率化をスムーズに進められます。
また、Power AutomateやPower Appsと連携することで、業務プロセスの自動化やアプリケーションとの統合も可能になり、より高度な業務支援が実現します。
Microsoft製品をすでに活用している企業にとって、Copilot Studioは非常に導入しやすく、効果を発揮しやすいツールです。
Copilot Studio は、CopilotやMicrosoft 365 Copilotの基本機能では対応しきれない業務にも柔軟に対応できます。ここでは、Copilot Studioを使ってどのようなことができるのかをご紹介します。
Copilot Studioでは、社内のよくある質問に自動応答するFAQチャットボットを構築できます。たとえば「有給申請の方法は?」「福利厚生の内容は?」といった問い合わせに対し、社内規定やマニュアルをもとに正確な回答を返すことが可能です。
Microsoft 365 Copilotでは個別の業務知識に基づいた応答は難しい場合がありますが、Copilot Studioなら、「この質問には〇〇〇のURLを案内する」「この質問には担当者から折り返しさせる」など条件分岐を細かく設定することで、業務に即した柔軟な対応ができます。
部署ごとのFAQや業務手順を反映したAIチャットボットを作成できるため、社内対応の効率化と情報の一元化が実現します。
Copilot Studioは、Microsoft 365 Copilotの応答精度を高めるための補完ツールとしても活用できます。
Microsoft 365 Copilotは、WordやExcelなどのアプリケーション内での支援に特化していますが、社内の業務データとの連携には限界があります。
Copilot Studioを使えば、DataverseやSharePointなどの社内データソースをナレッジとして活用し、Copilotに業務知識を補完させることが可能です。たとえば、社内の売上データや顧客履歴を参照しながら、より的確な提案や分析を行えるようになります。Copilot Studioは、Copilotの「知識の幅」を広げる役割を果たすでしょう。
Copilot Studioは、SalesforceやDynamics 365などの外部サービスとも連携できるため、Microsoft 365 Copilotでは対応しきれない業務領域にも対応可能です。
たとえば、営業部門ではSalesforceの顧客情報をもとに、問い合わせ対応や案件管理を自動化するCopilotを構築できます。Microsoft 365 Copilotは主にMicrosoft製品内での支援に限定されますが、Copilot StudioならAPIやコネクタを活用して外部システムと連携し、業務全体を横断的にサポートできます。
これにより、部門間の情報共有や業務プロセスの統合が進み、より高度な業務効率化が実現します。
Copilot Studio導入を検討する際、いくつか気を付けなければいけない点もあります。3つの注意するポイントについて解説します。
Copilot Studioを導入する際は、まず「何の業務を効率化したいのか」「誰が使うのか」といった目的とユースケースを明確にすることが非常に重要です。
目的が曖昧なまま開発を進めると、機能を過剰に盛り込みすぎてしまい、結果として使いづらいCopilotになってしまう可能性があります。
たとえば、社内FAQ対応を目的とする場合と、営業支援を目的とする場合では、必要なトピックやナレッジ、連携先が大きく異なります。
利用者のスキルや業務環境も考慮しながら、必要最低限の機能からスタートし、運用しながら段階的に改善・拡張していくことが、成功のポイントです。
Copilot Studioで社内データを活用する際には、データの「正確性」「一貫性」「アクセス権限」の整備が不可欠です。Copilotは登録されたナレッジをもとに回答を生成するため、誤った情報や極端に古いデータが含まれていると、ユーザーに誤解を与えるリスクがあります。
また、複数の部署やシステムからデータを集約する場合は、表記や構造の統一も重要です。一貫性のないデータは、Copilotの応答精度を下げる原因になります。さらに、機密情報を含むデータを扱う場合は、誰がどの情報にアクセスできるかを明確にし、適切な権限設定を行う必要があります。
これらの整備を行うことで、Copilotが信頼性の高い業務支援ツールとして機能し、社内の情報活用を安全かつ効果的に進めることができます。
Copilot Studioを導入する際は、Microsoft 365ライセンスやPower Platformライセンスとの整合性を事前に確認することが重要です。Copilot Studioの機能は、利用するライセンスによって大きく異なり、Microsoft 365 Copilotのカスタマイズや外部サービスとの連携など、一部の高度な機能は特定のライセンスを持っている場合にのみ利用可能です。
ライセンスが不足していると、期待していた機能が使えず、業務に支障をきたす可能性があります。
導入前には、業務目的に合ったライセンス構成を整理し、必要な機能が確実に使える環境を整えることが成功の鍵となります。
Copilot Studioを利用する際、「やりたいことをどう実現すればいいのか分からない」「使い方や操作方法で分からないところがある」といったお悩みを多く耳にします。
初めての構築に不安がある場合は、ぜひマイクロソフト社認定パートナーのテクバンにご相談ください。テクバンは、Copilot Studioに関する様々なサポートを行う導入支援サービスをご提供しております。
「自分たちで構築したいけれど、ちゃんとできるか不安」という場合は、テクバンが内製化をサポートします。
プランについて詳しくはこちらをご覧ください。
Copilot Studioは、業務に特化したAIチャットボットを誰でも簡単に構築できる、非常に便利なツールです。特に、CopilotやMicrosoft 365 Copilotでは対応しきれない業務ニーズに柔軟に対応できる点が大きな魅力です。
導入にお悩みがある場合は、テクバンが業務内容やコストに合わせた最適なプランをご提案いたしますので、お気軽にご相談ください。
Copilot Studioを活用し、AIによる業務支援をもっと身近で効果的なものにしていきましょう。
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関連資料も併せてご覧ください。
はじめてのCopilot Studio:特徴と機能を徹底解説
※本記事の内容は2025年8月時点のものです。Microsoftの仕様や利用環境は変更する場合があります。
Microsoft製品×生成AIは、日常的な業務を大幅に効率化させます。
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