Azure OpenAI Serviceの料金体系が知りたい

Azure OpenAI Service の導入を検討している方にとって、「料金はどのくらいかかるのか?」は非常に気になるポイントではないでしょうか。特に、従量課金制やトークン課金といった仕組みは初めて触れる方にとって分かりづらく、予算計画に不安を感じるケースも多いです。
本記事では、Azure OpenAI Serviceの料金体系をわかりやすく整理し、モデル別の価格や追加コストの有無、利用開始方法まで徹底解説します。
「導入前にコストをしっかり把握したい」「GPTモデルの料金差を知りたい」という方は、ぜひ参考にしてください。
Azure OpenAI Serviceとは?
Azure OpenAI Serviceは、Microsoft Azure上でChatGPTをはじめとする高度なAI言語モデルを法人向けに提供するサービスです。
Azure AI Services(旧Azure Cognitive Services)の一部として位置づけられ、企業が自社システムやアプリケーションに自然言語処理機能を安全かつスケーラブルに組み込めるよう設計されています。
このサービスの最大の特徴は、Microsoftの堅牢なセキュリティ基盤を活かしながら、OpenAIが開発した強力なモデル群を利用できる点です。GPTシリーズをはじめ、最新のAIモデルに対応しており、チャットボット、文章生成、要約、コード補完など、幅広い業務に活用できます。
クラウド環境での運用により、柔軟なスケーリングや高い可用性を確保できるため、DXを推進する企業からは特に注目されているサービスです。
「Azure OpenAI Serviceの詳細な機能や導入メリットをもっと知りたい」という方は、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
▼Azure OpenAI Service徹底解説:MicrosoftのAIサービスとは?
Azure OpenAI Serviceの料金プラン
Azure OpenAI Serviceの料金プランは、基本的に従量課金制で提供されています。
これは、利用した分だけ料金が発生する仕組みで、AzureやOpenAIのAPIサービスと同様のモデルです。固定料金ではなく、使用量に応じてコストが変動するため、初期投資を抑えながら柔軟にAIを導入できるのが特徴です。
具体的には、リクエストで消費される『トークン数』に基づいて課金され、モデルの種類やリージョンによって単価が異なります。小規模な試験導入から大規模な運用まで対応できるため、企業のニーズに合わせたスケーラブルな利用が可能です。
詳細な料金体系やモデル別の価格については、次の項目で詳しく解説します。
従量課金制とトークン課金の仕組み
従量課金とは、利用した分だけ料金が発生する仕組みで、電気や水道のように『使った分だけ支払う』イメージです。
課金の基準となるのがトークンです。トークンとは、テキストを細かく分割した単位で、1トークンは英単語の一部や日本語の数文字に相当します。
モデルに入力する文章や生成される文章の長さによってトークン数が決まり、その合計に応じて料金が算出されます。
例)Azure OpenAI Serviceの料金体系とは?
GPT-4oの場合:9トークン
例えば上記の文章の場合、「Azure」「Open」「AI」「Service」「の」「料金」「体系」「とは」「?」の9トークンとなります。長文を生成する場合はトークン数が増えるため、コストも高くなる仕組みです。
具体的なトークン数を知りたい場合は、OpenAI社の計算ツールTokenizerなどを参考にすると良いでしょう。
また、料金は利用するリージョンによっても異なります。リージョンとは、Azureのデータセンターがある地理的な場所のことで、日本リージョンや米国リージョンなどがあります。リージョンごとに価格差があるため、導入前に確認しておくことが重要です。
従量課金制の最大のメリットは、スモールスタートが可能な点です。固定料金のように『使わなくても支払う』リスクがなく、プロジェクトの規模や利用頻度に応じて柔軟にコストを調整できます。
モデル別料金の詳細
Azure OpenAI Serviceでは、言語モデルによって料金が異なります。GPT-5.1やGPT-5シリーズなど、それぞれ入力トークン、キャッシュされた入力、出力トークンに応じた従量課金制の価格体系が設定されています。モデルの性能・用途・処理量に応じて最適なモデルを選ぶことで、コストとパフォーマンスのバランスを取ることが可能です。
GPT-5.1シリーズの料金
GPT‑5.1は、2025年11月に登場した最新の大規模言語モデルで、特に高度なコーディングや複雑な推論タスクに対応するために設計されています。
大規模なドキュメント生成やAIアシスタント、複雑な分析やレポート作成など、精度を重視する業務に最適なモデルです。さらに、単なる『賢さ』だけでなく、ユーザーが求める“心地よい会話体験”を実現するため、親しみやすさと温かみを備えている点も特徴です。GPT‑5シリーズと比べて、知性とコミュニケーションの両面で大きく進化しており、より自然で信頼性の高い対話を提供します。
以下は、GPT‑5.1モデルのトークン単位の料金構成です(東日本リージョン、2025年12月時点)。
| モデル |
入力 ※100万トークンあたり |
キャッシュされた入力 |
出力 ※100万トークンあたり |
|
GPT-5.1 Global
|
¥195.20
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¥19.52
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¥1,561.55
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GPT-5.1-chat Global
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¥195.20
|
¥19.52
|
¥1,561.55
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GPT-5.1-codex Global
|
¥195.20
|
¥19.52
|
¥1,561.55
|
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GPT-5.1-codex-mini Global
|
¥39.04
|
¥3.91
|
¥312.31
|
※実際の価格は、契約内容、購入日、為替レートによって異なる場合があります。
※最新価格については、Microsoft公式サイトでご確認をお願いいたします。
GPT-5シリーズの料金
GPT‑5は、博士号レベルの専門知識を発揮できる高度な言語モデルです。文章作成やリサーチ、分析、コーディング、問題解決に優れており、特に高品質なコード生成やフロントエンドUIの構築にも対応します。さらに、テキストだけでなく画像、音声、コードなどを統合的に処理できるマルチモーダル機能を備えており、幅広い業務やクリエイティブなタスクに活用可能です。
以下は、GPT‑5モデルのトークン単位の料金構成です(東日本リージョン、2025年12月時点)。
| モデル |
入力 ※100万トークンあたり |
キャッシュされた入力 |
出力 ※100万トークンあたり |
|
GPT-5 2025-08-07 Global
|
¥195.20
|
¥19.52
|
¥1,561.55
|
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GPT-5 Pro Global
|
¥2,342.33
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‐
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¥18,738.60
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GPT-5 Codex Global
|
¥195.20
|
¥19.52
|
¥ 1,561.55
|
|
GPT-5-mini Global
|
¥ 39.04
|
¥3.91
|
¥312.31
|
|
GPT-5-nano Global
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¥7.81
|
¥0.79
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¥62.47
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GPT-5 chat Global
|
¥195.20
|
¥19.52
|
¥1,561.55
|
※実際の価格は、契約内容、購入日、為替レートによって異なる場合があります。
※最新価格については、Microsoft公式サイトでご確認をお願いいたします。
Azure OpenAI Serviceの料金は、公式の料金計算ツールで簡単に試算できます。
料金計算ツール
『製品』で『Azure OpenAI Service』を検索し、『見積に追加』をクリック。利用するモデルやトークン数などの条件を入力すれば、おおよその費用を確認できます。
追加コストの必要性
Azure OpenAI Serviceを導入する際は、モデル利用料だけでなく、運用環境の構築や維持費用といった追加コストも考慮する必要があります。
特に、企業での開発・運用では、コーディングに関わるリソース費が発生します。規模や開発工数によって、必要なエンジニアの人件費や開発期間が大きく変わり、結果として総コストに影響します。
さらに、企業利用ではサポートサービスも重要です。障害対応やセキュリティ監視、モデルの最適化を専門チームに委託する場合、追加契約費用が必要になるケースがあります。
加えて、ファインチューニング(微調整モデル)を行う場合や、検索やレコメンド機能に活用する埋め込みモデルを利用する場合も、別途料金が発生します。これらは高度なカスタマイズや精度向上を目的とするため、導入計画に含めておくことが重要です。
導入前にこうした追加コストを把握しておくことで、Azure OpenAI Serviceをより安心して活用できるでしょう。
Azure OpenAI Serviceの利用開始方法
Azure OpenAI Serviceを利用するには、主に3つのステップがあります。
- Azureアカウントの作成
- Azure OpenAI Serviceリソースを作成する
- モデルのデプロイを行う
それぞれの手順を詳しくみていきます。
1.Azureアカウントを作成する
Azure OpenAI Serviceを利用するためには、Azureアカウントが必要です。
- Microsoft Azureの公式サイトにアクセスし、『従量課金制』を選択します
- Microsoftアカウントでサインイン、または新規作成します
- 企業情報や支払い情報などのプロフィールを登録してアカウントを作成します
2.Azure OpenAI Serviceリソースを作成する
Azureアカウント作成後は、Azureポータルにてログインします。
- ポータル画面で『Azure OpenAI』を検索し、Azure OpenAI管理画面を開く
- 『作成』をクリックして、まず『①基本』から登録していく
サブスクリプション: 利用可能なAzure サブスクリプションを選択する
リソースグループ: 複数のリソースを管理するためのグループを指定または新規作成する
リージョン: 利用可能リージョンを選択する。通常は『Japan East』を選択
名前: リソースの名前を入力する。この名前がエンドポイントのURLの一部になります
価格レベル: 通常は「Standard S0」のみが選択可能
- 次に『②ネットワーク』を登録する。『インターネットを含むすべてのネットワークがこのリソースにアクセスできます。』を選択する
- 『③タグ』を任意で登録する。リソースに対して最大50個までタグ設定できます
- 『④レビューおよび送信』で入力内容を確認し、問題なければ『作成』ボタンをクリックする
- しばらくすると、『デプロイが完了しました』というメッセージが表示されるため、『リソースに移動』を選択する
3. モデルのデプロイを行う
デプロイとは、開発したアプリケーションやサービスを実際に利用できる環境に配置することであり、ここでは『選んだAIモデルをクラウド上で動かせる状態にする』作業を指します。
- リソースグループから前項で作成したリソースを選択する
- 『概要』から『Azure OpenAI Studio に移動する』をクリックする
- 『新しいデプロイの作成』をクリックして、使用するモデルやデプロイの種類を設定する
- 『デプロイ』をクリックする。『チャット プレイグラウンド』に遷移すれば完了
『チャット プレイグラウンド』は、Azure上で提供される対話型のテスト環境です。ChatGPTやその他の言語モデルをブラウザ上で試すことができるので、運用環境に移す前にモデルの性能を確認できます。
Azure OpenAI Serviceの導入を支援します
「Azure OpenAI Serviceを使ってみたいけれど、何から始めればいいのか分からない」「そもそも自社に合うサービスなのか判断できない」「予算内で運用できるか不安」という方は少なくありません。こうした課題を解決するため、テクバンではAzure OpenAI Serviceの導入や運用をサポートするサービスを提供しています。
テクバンはMicrosoft公式パートナーとして、豊富な知見と実績を活かし、お客様の課題を丁寧に洗い出し、ご要望やご予算に合わせた最適なプランをご提案します。
「必要な時だけ」「1か月だけ」といったスポット対応はもちろん、インフラ構築やセキュリティ導入、サポートサービスなど、さまざまなサービスを組み合わせた柔軟なプランも可能です。さらに、ファインチューニング(微調整モデル)や埋め込みモデルの活用など、運用環境に合わせた高度なカスタマイズにも対応します。
まずはお気軽にご相談ください。Azure OpenAI Serviceの導入をスムーズに進め、安心して運用できる体制を整えるために、テクバンが全力でサポートします。
詳しくは以下をご参考にしてください。
テクバンのAzure OpenAI Service導入支援サービス
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※本記事の内容は2025年12月時点のものです。Microsoftの仕様や利用環境は変更する場合があります。