ChatGPTとは、オープンエーアイ社が開発したAI(人工知能)チャットサービスです。GPTは、Generative Pre-trained Transformerの略であり、文章生成言語モデルを意味します。ここでは、ChatGPTの基本情報や特徴、企業利用する場合のメリットデメリットについて解説します。
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生成AIをビジネス利用したい方に向けて、生成AIが抱えるリスクや対策、また最適な活用方法や活用例について解説しています。
2024.01.22
#Azure#Azure OpenAI Service
現在世界で1億人以上の利用者がいるChatGPT(チャットジーピーティー)。多くの人がこの革新的なサービスを日常生活に取り入れつつありますが、企業ではどのくらい利用されているのでしょうか?
本記事では、ChatGPTをビジネスで利用するメリットやデメリット、利用方法や導入する際のポイントについて解説しています。
ChatGPTを全社に導入予定の方や他社ではどのようにChatGPTを活用しているか知りたい方、生成AIを業務に活かしたいと検討中の方は、ぜひ参考にしてみてください。
ChatGPTとは、オープンエーアイ社が開発したAI(人工知能)チャットサービスです。GPTは、Generative Pre-trained Transformerの略であり、文章生成言語モデルを意味します。ここでは、ChatGPTの基本情報や特徴、企業利用する場合のメリットデメリットについて解説します。
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ChatGPTは、広範囲の自然言語処理ができるため、人間を相手にしているかのような自然な文章での対話が可能です。
従来のチャットボットサービスは、設定された条件に従ってあらかじめ用意してあるテキストで回答をします。ChatGPTは、大規模なテキストデータから自己学習することによって、高度な質問内容も理解し適切な回答を導き出すことができます。
ChatGPTは様々なテキストを生成できるため、質疑応答はもちろん、文書作成、要約、翻訳、情報収集、計算、データ分析、プログラムコードの生成なども可能です。
例えば、「この文章を添削して」「新商品を紹介するメルマガを作成して」「〇〇を計算するExcelの関数を教えて」など幅広い要望に応えてくれます。
企業のDXを促進するアルサーガパートナーズ社が実施したChatGPTに関する意識比較調査によると、大企業の56.4%、中小企業の32.7%がChatGPTの活用経験があり、主に「記事やレポートの作成・校正・添削」「長文の要約や概要の把握」に利用しているという結果が出ていました。作業時間の短縮や効率化を目的に利用している人が増えているようです。
参考:【大企業/中小企業のChatGPT活用実態】「ChatGPTを推奨」大企業は51.5%、中小企業は14.9%と大きな差。大企業の78.2%、中小企業の49.4%が「専用のChatGPT環境を構築したい」 アルサーガパートナーズ株式会社
ChatGPTを企業利用することも可能です。ビジネスに活かすことで企業に以下のようなメリットが生まれます。
ChatGPTはビジネスにも活用できるメリットがある一方で、デメリットもあるため注意が必要です。
ChatGPTを法人で利用する場合の利用方法についてご紹介します。
利用までのハードルが一番低いのは、オープンエーアイ社のサイト上で一般公開されているChatGPTのWeb版です。PCやスマホからでも利用できます。
しかし、前章で解説した通り、回答の元となるデータはインターネット上のものであり、正確性や信頼性に欠ける部分があるため、導き出された回答は正誤チェックする必要があります。また、いずれも情報漏えいのリスクがあるため、機密性の高い情報の取り扱いには注意が必要です。
ChatGPTの企業利用のニーズが高まる中、2023年8月に誕生した法人向け有償サービスです。使用回数は無制限で、ユーザーの追加や削除、サービスの利用状況を確認できる管理コンソールが提供されます。
ユーザーが入力したプロンプトやデータが他者に共有されることはなく、転送・保存中ともに暗号化されるため、機密情報も安全に取り扱うことができます。セキュリティレベルは、米国公認会計士協会(AICPA)が開発した国際的なセキュリティ基準SOC 2に準拠しています。
一方で、SLA(Service Level Agreement、品質保証レベル)が定義されておらず、カスタマーサポートの提供もありません。料金は、米国のオープンエーアイ社のWebサイトより直接見積依頼を行う必要があります。
オープンエーアイ社が提供するAPIを利用して、自社のアプリケーションやシステムとChatGPTを連携させる方法があります。これにより、社内で利用しているサービスにChatGPTの機能を追加することが可能です。例えば、社内のデータベースと連携させ、顧客や従業員からの問い合わせに自動応答するシステムを構築すれば、サポート担当の負担を軽減することができるでしょう。
アクセス制限を行うなど、セキュリティを強化することで機密情報のやり取りも可能です。
ChatGPT APIは、使用したトークン(テキストデータの単位)に応じて課金される従量課金制になります。価格は公式サイトからご確認ください。
API連携やシステム構築にはさまざまなIT知識や専門技術が必要な場合もあります。社内にIT担当者がいない場合はアウトソーシングを検討すると良いでしょう。また、マイクロソフト社が提供するAzure OpenAI ServiceのAPIを利用する方法もあり、そちらは後述いたします。
ChatGPTを企業で利用する際、セキュリティリスクを把握しておく、運用におけるルールを定めておくなどいくつか注意する点があるため、導入前によく確認しておきましょう。基本的なポイントは以下の通りです。
それぞれ詳しく解説していきます。
前述の通り、ChatGPTは入力したチャット履歴を学習することで精度を上げ、他ユーザーの回答に活かします。そのため、情報漏えいのリスクが高く、基本的に機密情報や個人情報の入力は避けた方が良いでしょう。実際に、韓国の某大手電子製品メーカーが社外秘のソースコードをChatGPTに入力しコードの修正依頼を行ったところ、外部流出が発覚した事例もあります。
ChatGPTでは、設定画面からオプトアウト申請をすることで「入力したチャット履歴を学習させない」という設定にすることができます。これにより、他者にデータが共有されることはなく、機密情報の取り扱いも可能になります。
しかし、従業員一人ひとりのアカウントから設定が必要であり、「うっかりオプトアウトの設定を解除してしまう」「悪意を持った社員がオプトアウトを解除してしまう」などのインシデントをすべて防ぐのは管理者にとってかなりの負担となります。
機密情報を取り扱う場合は、Enterprise版を利用したり、自社のデータベースとAPI連携させたりして、必ず安全性を確保してから利用することをおすすめします。
ChatGPTの安全性に関しては、こちらの記事も併せてご参考ください。
▼ChatGPTを安全にビジネス利用するには? リスクと対策を解説
企業としてChatGPTを利用する目的を明確にしておきましょう。
いわゆる質疑応答をメインにしたチャットボットをセキュアな環境で利用したいだけなら、Copilot (旧 Bing Chat Enterprise)でも十分要件を満たすでしょう。CopilotはGPT-4が搭載されており、ChatGPT Plusと同じように文書作成、要約、翻訳、情報収集などが可能です。Microsoft 365 E3、E5、A3、A5、Business Standard、Business Premiumのライセンスがあれば追加料金なしで利用できます。
ChatGPTは参照元となるデータベースや他サービスとの連携で、使い道の幅が広がるでしょう。無償サービスではなく有償サービスを導入するのであれば、「将来的に社内の特定のデータベースと連携させ、独自のシステムを構築したい」などといった目的を明確にし、計画的な利用をおすすめします。
Copilot (旧 Bing Chat Enterprise)について、詳しくはこちらから。
ChatGPTを業務利用するのであれば、あらかじめ使い方のルールを定め、従業員に徹底させるようにしましょう。
Web版を利用するのであれば、「個人情報や機密情報を入力してはいけない」はもちろんのこと、「回答結果の内容が本当に正しいか、最新情報になっているか必ず正誤チェックをすること」などをルールとして定めておくことが大切です。
また、ChatGPTが生成した文書の利用用途についても明確にしておきましょう。ChatGPTは他者の著作物を含むインターネット上のテキストデータをもとに回答します。出力された内容をそのまま企業の創作物として公開すると、著作権侵害と見なされる可能性もあります。
ChatGPTは、あくまでも文書作成やアイディア出しのサポートツールとして利用するよう、企業として認識を合わせておくようにしましょう。
ChatGPTを企業利用する方法の一つとして、マイクロソフト社とオープンエーアイ社が共同開発したAzure OpenAI Serviceがあります。Microsoft Azure上でChatGPTを利用できるサービスなので、セキュアな環境で業務をすることができます。SLAが適用されており、安心のサポートサービスもあるため企業利用に向いています。ここでは、Azure OpenAI Serviceの特長とメリットについて解説いたします。
Azure OpenAI Serviceとは、オープンエーアイ社が開発したChatGPTを、マイクロソフト社が提供するクラウドサービスMicrosoft Azure(以下Azure)上で利用できるAIサービスです。利用にはAzureの導入が前提となります。
以下のように様々なAI言語モデルに対応しており、用途によって選択することが可能です。
モデル | 説明 |
GPT-4 | 自然言語とコードを生成できる ※GPT-3.5 をもとに改善した最新モデル |
GPT-3.5 | 自然言語とコードを生成できる |
埋め込み | テキストを数値ベクトル形式に変換できる |
DALL-E | オリジナル画像を生成できる |
ささやき | 音声ファイルの文字起こしができる |
Azure OpenAI Serviceの言語モデルについて、詳しくはこちらから。
Azure OpenAI Serviceは、SaaSではなくAPIとしてChatGPTを提供しており、APIキー認証、またはAzureAD認証のいずれかで利用できます。
料金体系は、利用するモデルや使用量に基づいた従量課金制です。
Azure OpenAI Serviceの価格について、詳しくはこちらから。
もし価格についてご不明点あれば、テクバンにてご相談を承っております。詳しくはこちらからお問い合わせください。
ChatGPTの企業利用ならAzure OpenAI Service
生成AIをビジネス利用したい方に向けて、生成AIが抱えるリスクや対策、また最適な活用方法や活用例について解説しています。
Azure OpenAI Serviceの利用には以下のようなメリットがあります。
これまで解説したとおり、Azure OpenAI Serviceは企業向けに適したサービスになっており、ChatGPTを利用する多くの日本企業がAzure OpenAI Serviceを導入しています。
ここでは、Azure OpenAI Serviceを利用している企業を3社ほどご紹介します。
小林製薬株式会社は、Azure OpenAI Serviceを活用して社内AIチャットボット「kAIbot(カイボット)」を自社開発しました。社員のデジタルリテラシー向上や多様化するお客様のニーズに素早く応えることを目的に開発されたkAIbotは、従業員が日常業務で利用しているGoogle Chatを採用しています。同社で開催される「全社員アイデア大会」でも早速取り入れられ、新製品のアイディア創出や業務効率化に向け活用されています。
参考:小林製薬 国内全従業員がChatGPT活用へ 小林製薬株式会社
大和証券株式会社は、2023年4月に全社員約9,000人を対象にChatGPTの利用を開始しました。導入にはAzure OpenAI Serviceを採用し、情報が外部に漏れないセキュアな環境を構築。英語等での情報収集や翻訳、メール文章やプログラミングの素案作成、活用アイディアの考案などに利用し、外部委託していた時間やコストの削減、顧客と接する時間や企画立案など本来のコア業務に充てる時間の創出などが期待されています。
参考:大和証券、対話型AIの「ChatGPT」を導入し全社員約9,000人を対象に利用を開始 日本経済新聞
伊藤忠商事株式会社は、資本・業務提携しているデータ分析の大手、ブレインパッド社と共同で「生成AI研究ラボ」を設立し、生成AIのビジネス利用に向けた実証研究を進めています。2023年7月より全社員約4,200人を対象にChatGPTの本格展開をスタート。社内で元々Azureを利用していたことからAzure OpenAI Serviceを採用し、プラグインによる機能拡張も想定しています。今後は、議事録の作成や文章の要約、一部の調査業務に活用することも視野に入れています。
参考:伊藤忠商事が「社内版ChatGPT」を4200人に導入開始…“商社が使う生成AI”への期待 BUSINESS INSIDER
他にも、農林水産省や日清食品ホールディングス、ベネッセホールディングス、鹿島建設でAzure OpenAI Serviceを活用して一部業務でChatGPTを利用するなど、多くの日本企業で導入・検討が進められています。
参考:農水省が4月中にも中央省庁初のChatGPT利用、先陣切って実際の業務で使うワケ 日経クロステック/日経コンピュータ
参考:セキュリティ対策を施したMicrosoft Azure上で独自システムを開発! 対話型AI「NISSIN-GPT」をグループ社員3,600人に向け4月25日(火)に公開 日清食品ホールディングス
参考:社内AIチャット「Benesse GPT」をグループ社員1.5万人に向けに提供開始 PR TIMES
参考:グループ従業員2万人を対象に専用対話型AI「Kajima ChatAI」の運用を開始 鹿島建設株式会社
テクバンでは、Azure OpenAI Service導入サービスをご提供しております。
Azure OpenAI Service導入に関するお悩みやお見積りの他、Azure導入やセキュリティ強化のご相談も承っております。
マイクロソフト社認定パートナー企業であるテクバンが、Microsoft 365やPower Platformと組み合わせたシステムの構築など、お客様のニーズに合ったAIサービスをご提案いたします。お気軽にお問い合わせください。
テクバンのAzure OpenAI Service導入サービスについて、詳しくはこちらから。
ChatGPTを企業利用する方法やポイント、注意点について解説してきました。
ChatGPTは、高度な自然言語処理能力を持ち、多様な利用用途がありますが、企業利用する場合には万全なセキュリティ環境を用意する必要があります。
従業員数が多いほど、ChatGPTに入力する内容を細かく指定し、機密情報を入力しないよう管理するのは困難です。あらかじめ安全な環境を整備し、その上でChatGPTを利用することを強くおすすめします。
正しく活用できれば、様々な課題を解決し、業務効率化やコスト削減など生産性向上に役立てることができるでしょう。
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※本記事の内容は2024年1月時点のものです。Microsoftの仕様や利用環境は変更する場合があります。
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