本記事では「テスト計画書」についてご紹介します。
テスト計画書とは、実施するテストの目的・方向性、スケジュール、体制などの要件を整理し、まとめるドキュメントです。
「テスト計画書の役割・目的を知りたい」「質の高い計画書を作りたい」という方は、ぜひご一読を。高品質なテスト実行に繋げていただければ幸いです。
テスト仕様書・計画書作成の方法やガイドをまとめた資料はこちら。 巻末に項目のサンプルも用意しています。
テスト計画書とは
テスト計画書とは、実施するテストの目的・方向性、スケジュール、体制などの要件を整理し、まとめるドキュメントです。
その他にも実際のテストで想定される不具合管理や、プロジェクトに関わるメンバー同士のコミュニケーション方法などについて具体的にまとめます。
また、テスト計画書には大きく分け、以下2種類があります。
テスト計画書の種類
- 個別計画書
- 全体計画書
個別計画書とは、
- 単体テスト
- 結合テスト
- システムテスト
- 運用テスト
といった各テストレベルの内容をまとめたテスト計画書です。
主な4種類のテストレベルは、以下の通りです。
テストの種類 | 内容 |
---|---|
単体テスト | プログラム作成後、個々のプログラムが仕様通り、 正常に動作しているかを検証・確認 |
結合テスト | 単体テストで検証したプログラムと組み合わせたものが 正常に動作しているかを検証・確認 |
システムテスト | 結合テスト後のシステム全体をテスト対象とし、プログラム全体を 通して、仕様通り正常に動作するかを検証・確認 |
運用テスト | システムテスト後、本番環境と同じ環境において作業した際に、 正常に動作するかを最終確認 |
一方で全体計画書とは、上記4種類のテストレベル全体を考慮した上で、個別テストの方針・方向性やスケジュールなどをまとめたテスト計画書を指します。
また、テストを行う際には、個別計画書と全体計画書の両方を作成する必要があります。
テスト計画書の役割と目的
テスト計画書は、テストの目的を正しく実行するために必要なドキュメントです。
具体的には、テストすべき内容の見落としや、方向性に誤りがないかの事前確認などに寄与します。
ソフトウェアテストは、実行だけがテスト工程ではありません。テストの準備・マネジメントなどもテスト工程の中に含まれています。
万が一テスト計画書をしっかり作り込まなかった場合、テストの方向性がブレたり、検証内容に漏れが発生するリスクが高まります。
上記を防ぐためにも、テスト計画書を作成し各要件を明確にすることによって、より効率的で方針・方向性にブレのないテスト作業を実現することが重要です。
テスト計画書に記載すべき要件
次は、「テスト計画書に記載すべき要件」をご紹介します。
記載すべき要件は以下の通りです
テスト計画書に必要な項目
- テストの目的・方針
- テストの実施範囲
- テスト環境とアプローチ
- 体制とスケジュール
- テストのタスク
- リスクと対策
- 成果物
ここからは、上記の項目についてそれぞれ解説します。
テストの目的・方針
テスト計画書において、まずは「テストの目的・方針」を記載します。
具体的な記載内容:
不具合の検出・防止・品質保証など、テスト目的を達成するための
「方針・方向性=テストアプローチ」について記載します。
具体的には、プロジェクトの状況や想定されるリスクなどの要素をふまえて内容を決定します。
また、テスト方針を決める際に、気をつけるべき点は以下の通りです。
- プロジェクトの制約や他工程とのコスト、スケジュールのバランスなどを考慮する
- 実現可能な内容になるようにする
テストの実施範囲
次は、「テストの実施範囲」を記載します。
具体的な記載内容:
テスト項目・除外する項目・ソフトウェアやハードウェアの範囲・他システムとの範囲などを記載します。また、ここで検討すべき点としては、以下3点の明確化が挙げられます。
- テスト対象とする機能
- インターフェース
- 対象外となる機能
テスト環境とアプローチ
「テスト環境とアプローチ」を記載します。
具体的な記載内容:
対象となる、サーバー統合のスペック、ネットワーク情報などのテスト環境を調査・記載します。
さらにその上で、テスト手順・テストレベル構成・担当者・テスト方法、使用するツール・機器台数などを記載します。また、検討すべき点としては、以下が挙げられます。
- プロジェクトを実行する上でどんなリスクがあるのか
- テストの目的は何かなどの要素を考慮した上での、テストの方針・方向性
- テスト技法や種類、テストの開始・終了基準をどの程度詳細に定義すべきか
体制とスケジュール
つづいて、「体制とスケジュール」を記載します。
具体的な記載内容:
テストを実施する組織・部門、役割や責任の所在、テストスケジュールを定義・記載します。
検討すべき点としては、以下が挙げられます。
- 組織・部門や外部の関係者を含む、テスト体制に関する役割・責任
テストのタスク
「テストのタスク」について記載します。
具体的な記載内容:
テストで必要となる作業、それぞれの作業に求められる特殊技能などを記載します。
また、検討すべき点としては、以下が挙げられます。
- テストのタスクと、果たすべき役割との関係性
リスクと対策
「リスクと対策」について記載します。
具体的な記載内容:
開発ソフトウェアに付随する、ビジネス・プロジェクト・安全性などで想定されるリスク・優先順位とその対策について表形式で記載します。
また、検討すべき点としては、以下が挙げられます。
- テスト実行によるリスク、作業の優先度やその対策
成果物
以上をふまえ、最後に「成果物」について記載します。
具体的な記載内容:
テスト実行に伴い、作成すべきドキュメントをリスト化し、記載します。
この時、「テスト計画書」も成果物のひとつとしてリストに追加します。
また、検討すべき点としては、以下が挙げられます。
- 成果物の項目・内容に問題・不備がないか
テスト計画書のサンプル
つづいては、「テスト計画書のサンプル」をご紹介します。
以下を参考に、テスト計画書の記載項目・内容をイメージしてみましょう。
テスト仕様書・計画書作成の方法やガイドをまとめた資料はこちら。 巻末に項目のサンプルも用意しています。
テスト計画書の漏れを防止する方法
まとめ
テスト計画書の作成に際しては、「要件・記載項目の抜け漏れ防止」が重要です。
何故ならば、テスト計画書は「テスト作業および、ソフトウェア品質に関わる重要な文書」となるためです。
テスト計画書の抜け漏れを防ぐ方法として、考慮できることは以下の通りです。
- 過去の案件を社内のサンプルを使い回さない
- スケジュールを先に決めてしまわない
- 関係者間でコミュニケーションを密にとる
- 各テストの目的を明確にする
以上をふまえ、記載項目に漏れがないよう、できるだけ多角的な視点を用いた上で「網羅性の高いテスト計画書」を作成し、実装・実行に役立てましょう。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
今回は「テスト計画書の役割・目的」に注目し、記載すべき各要件や、抜け漏れを防ぐ方法についてご紹介しました。
今回ご紹介したポイントをおさえ、正しい手順で誰が担当しても同結果に到達できるよう、「網羅性・効率性の高いテスト計画の実現」に繋げていただければ幸いです。