本ブログでは、シナリオテストについてご紹介します。まずは「シナリオテストとは?」について理解を深め、ユーザー目線を想定したテストの作り方・書き方のコツを丁寧に解説します。今回はテスト初心者の方にもわかりやすい「シナリオテストの書き方サンプル」付き。
「シナリオテストについて今ひとつ理解できていない・・・」という方は、ぜひご一読ください。
シナリオテストとは
シナリオテストとは「システムテスト」におけるテスト技法のひとつです。一般的には「ユーザー目線の業務フローを想定したシナリオに基づき、使いやすさや改善点を検証するブラックボックステスト技法」を指します。
ブラックボックステストとは「システムの内部構造は一旦考慮せず、仕様書の内容を満たしているのかを確認するテスト技法」です。
「単体テスト/結合テスト/システムテスト」を完了した後のタイミングで実行します。
つづいて、「シナリオテストの目的」について解説します。
シナリオテストでは「機能、性能の動作検証」だけではなく「ユーザーの満足度を満たしているのか」を確認することが大切なポイントです。
そのため、シナリオテストの目的は「ユーザーの心理・行動パターンを想定し、それらをシステム上で実現できるようにすること」であると言えます。
シナリオテストの作り方
ここからは「シナリオテストの作り方」について詳しく解説します。
具体的には、以下の3つのステップを経てシナリオテストを作成する必要があります。
【シナリオテストの作り方】
- テスト方針を決める
- ユーザーの行動・心理パターンを想定する
- テストすべき対象を洗いだす
ここからは、以上3つの各プロセスについて、さらに詳しく解説していきます。
テスト方針を決める
最初にシナリオテストを作る際には、実施するテストの目的・前提条件といった「テスト方針」を決めておく必要があります。
あらかじめテスト方針を固めておくことで、テストに関わるメンバー全員がシナリオテストの全体像、対象範囲を把握することが可能です。また、テスト設計者によるテスト方針からのブレ、逸脱なども最小限に防ぐことができます。
ユーザーの心理&行動パターンを想定する
つぎに、テスト方針が決定した後には方針の範囲内で、ユーザーの心理・行動パターンを想定すると良いでしょう。このプロセスにより、ユーザーのニーズやシステム利用時の行動パターンが把握でき、様々なテスト実施が可能となります。
また、その結果として当初の目的である「ユーザー満足度向上に寄与するシナリオテスト」が実現します。
テストすべき対象を洗いだす
最後に「テストすべき対象の洗い出し」を行います。この段階では想定されるユーザーの心理・行動パターンを考慮した上で、操作内容を書き出します。
また、ユーザーのニーズや達成したい項目だけではなく、ユーザーの満足度を低下させる可能性のある項目も注視して抜け漏れなくテスト対象を洗い出しましょう。
シナリオテストの書き方のコツ
つづいて「シナリオテストの書き方のコツ」をご紹介します。まずは代表的なコツとして、下記3つのポイントを押さえておくと良いでしょう。
【シナリオテストの書き方のコツ】
- 時系列でシナリオを設定する
- 条件別でシナリオを設定する
- 優先度の高いものから設定する
ここからは、これら3つのポイントそれぞれをさらに深堀していきます。
「シナリオテストをこれから書き始める」という方だけでなく、
「シナリオテストを書いたが品質が改善されなかった」という方も必見です。
時系列でシナリオを設定する
まず1つ目の書き方のコツは「ユーザーの通常業務フローで実際に起こりうる動きを意識したシナリオ」を設定することです。
具体例として、
工場出荷→セットアップ・設置→運用→日常業務→外部環境を変化→
保守メンテナンス→ユーザビリティ
といった時間の流れによるステータス変更が反映されるかを確認します。
さらに、一連の操作面に改善すべき点がないかも設定していくとテスト項目の漏れなどが防止できます。
条件別でシナリオを設定する
2つ目の書き方のコツは「ユーザビリティの観点から、想定される設定変更や修正内容などの条件、組み合わせを意識したシナリオ」を設定することです。
具体的には、それぞれの組合せで区分・条件に応じて、それらが修正内容に反映されているか、一連の操作面に改善点はないかを設定していきます。
条件別のシナリオは1から設定を考えるよりも、顧客の要件や過去のユーザー操作事例を参考にすることが望ましいです。
優先度の高いものから設定する
3つ目の書き方のコツは「顧客の目的達成のため、優先度の高いものから設定すること」です。なぜならば、条件別のシナリオはパターンが無数にあるためです。
もちろん全条件を網羅するに越したことはありませんが、スケジュールや人的コストなどはある程度に限られています。
そのため、全てをテストできないケースは優先度を加味した上で取捨選択しましょう。
シナリオテストの書き方サンプル
シナリオテストを書く際には、誰が読んでも理解できるよう「テスト手順と正しい挙動の定義、テスト結果をまとめること」を意識しましょう。
その上でシナリオテストでは「誰(テスター)がいつ(テスト実施日)、どのようなテスト対象と環境(テストケース)を用いてテストを行うのか」を必ず記載します。
「シナリオテストで記載すべき基本項目」は下記の通りです。
【シナリオテストで記載すべき基本項目】
- タイトル
- テスト実施日
- テスター
- シナリオNo.
- テストケース
- テスト結果のステータス(例: OK、Attention、NGなど)
- テスト手順
- 想定されるシステムの挙動など
- メモ欄
また、シナリオテストでは「誰が実施しても同一の結果になること」が重要です。
以上を常に意識しながら、実際にシナリオテストを書いてみましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?今回は「シナリオテストの作り方・書き方のコツ」について詳しく解説しました。本ブログを通して「シナリオテストの概要~作り方・書き方」に関する理解が深まり、今後の参考となれば幸いです。
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