Power BI の使い方と業務別の活用事例を詳しく紹介

Power BI の使い方と業務別の活用事例を詳しく紹介

Power BI の導入を検討しているものの、業務内容に応じてどのように有効活用できるのか悩んでいる担当者は多いのではないでしょうか。

この記事では、Power BI を活用してできることや、マーケティング・小売業など業務別の活用例を紹介します。Power BI を導入すると業務改善や業務効率を進めることが理解できると思います。ぜひ参考にしてみてください。

Power BI を活用するとできること

Power BI は、マイクロソフト(Microsoft)社が提供しているビジネスインテリジェンスツールです。多様なデータの集積や分析ができるところが大きな強みですが、具体的にはどのような活用方法があるのか気になるところです。そこでまずは、Power BI を活用するとできることをご紹介します。

注:Power BI は主に、無料でダウンロードできる Power BI Desktop と、作成したレポートの共有もできる Power BI Service の2つのツールで構成されています。本記事では両者を総称し Power BI と呼んでいます。

統計データを作成する

1つ目は、統計データを作成することです。社内にデータが点在していると、データの統合や分析に時間がかかります。Power BI を活用すると1か所にデータを集約し、目的に応じて必要なデータを抽出できます。
Excel などのデータだけでなく多くのデータソースに直接接続をして、素早くデータを取得することも可能です。
また、Power BI は分析結果を可視化することに長けており、膨大なデータを見やすくまとめられるところも特徴です。棒グラフや円グラフ、散布図など複数のビジュアルから選択し、最適な方法で可視化ができます。専門的な知識がなくても効率よく統計データが作成でき、戦略や日々のレポートに役立てられます。

レポートを自動更新する

2つ目は、レポートの自動更新です。Power BI には基となるデータソースに接続をして、必要なデータを読み込み分析内容を自動更新する機能が備わっています。
この機能を活用することで、手間や労力をかけずにデータの更新ができるようになります。例えば、毎朝8時に更新をするなど、設定した時間に合わせた自動更新が可能です。勤怠管理や売上管理など、日々変動する数値に対応できます。
データの入力や更新に時間を費やさなくても、常に鮮度の高いデータを見ながら経営判断ができるようになるでしょう。

作成したレポートデータの共有

3つ目は、作成したレポートデータを共有することです。Power BI で作成したレポートデータは、主に下記の4つの方法で簡単に共有できます。

メールで自動配信

登録しているユーザーにレポートを自動配信する

Microsoft Teams で共有

Microsoft Teams の管理画面内でレポートを閲覧する

リンクで共有

レポートのリンクを共有する

Power Point PDFで共有

Power Point PDFにエクスポートして共有する

注:Power Point PDFで共有する以外は、それぞれの前提条件を満たしている場合のみ

メールで自動配信すれば、決まった時間にレポートデータを受け取れます。例えば、毎日全支店に売り上げのレポートデータを共有する、チームの進捗状況を共有するなどの活用ができます。レポートデータを手軽に共有したい場合には、PowerPoint PDFを選択することも可能です。
Power BI
で作成したレポートデータを眠らせず、積極的に社内や支店間、店舗間で共有できる仕組みが用意されています。

データマイニングができる

4つ目は、データマイニングができることです。データマイニングとは企業が保有するデータを有効活用するために、膨大なデータの法則や規則性を見つけることです。

Power BI は機械学習やデータ分析機能を備えているため、ただデータを可視化するだけでなく予測や規則性の発見に活用できます。
例えば、過去のデータを分析して今後の売り上げを予測し、材料の発注や人員の手配などの判断に役立てることが可能です。

Power BI のメリットや特徴は、さらに下記の記事で詳しく解説しています。
▼Power BI とは? Microsoft が提供する分析ツールの特徴を解説

マーケティングでの Power BI 活用例

ここからは、Power BI をマーケティングで活用するときの事例をご紹介します。どのようなシーンで有効活用できるのか、参考にしてみてください。

点在しているデータを集約し戦略を立てる

企業が保有するデジタルデータの量は増えているものの、膨大なデータをどのようにマーケティングに活用するのか悩んでいるケースは多いようです。
特に各部署でデータの統計方法が異なる場合や売り上げや在庫データが複数の店舗に点在している場合は、データを集約するだけでも時間と労力がかかります。
Power BI
Excel SQLAzure などさまざまなデータベースに対応しているので、社内に点在するデータを集約し、精度の高い分析ができます。集約したデータはすぐに可視化できるため、スピード感を持ち、現状に応じた戦略を立てられます。

複数店舗・複数支店の情報を共有する

Power BI を活用すると複数の店舗や支店の情報を一元管理し、マーケティングに活用することができます。例えば、下記のような切り口でのグラフや表を簡単に作成することが可能です。

  • 地域や店舗ごとの売上分析
  • 在庫管理
  • 季節ごとの売上分析

地域や店舗ごとの売り上げを分析できれば、傾向をより細かく理解したうえで戦略を検討できます。地域向けのキャンペーンや商品の配置方法を変更するなど、データに基づき多角的な視点でマーケティングが行えます
作成したレポートはメールやPDFなどで共有できるため、共通認識を持って施策に取り組めます。

Webサイトを分析する

Google Analytics や自社で保有しているデータベースから抽出したWebサイトのデータは、Power BI で可視化可能です。コンバージョン数や流入元、性別や年齢などWebサイトのアクセス数を増やすために関連している指標を見やすくまとめられ、特に重要視しているデータをダッシュボード化すると、Webサイトの現状を直感的に把握しやすいレポートとなります。
また、あらかじめ集計パターンをセットしておくことで、手間をかけずにマーケティングに活用したい指標の分析ができるようになるでしょう。

バックオフィス業務での Power BI 活用例

続いて、経理や総務などバックオフィス業務での Power BI の活用例をご紹介します。Power BIを活用すると業務効率化や負担の軽減につながるので、ぜひチェックしてみてください。

月次処理や年次処理の業務効率化

月次、年時の会計処理や在庫管理などは多くのデータを処理しなければならないため、時間や労力がかかってしまいます。

Power BI を活用するとデータ処理能力が向上し、月次処理や在庫処理が短時間で完了させられます。例えば、月次処理をする期間や部署を設定していれば、対象期間のレポートはもちろん、過去のレポートや今後の予測もすぐに作成できるため、処理にかかる工数や時間を大幅に削減することが可能です。

また、月次処理や年次処理の資料を配布すると、印刷をして製本する手間がかかります。Power BI PDFやメール、URL(※)などで簡単に共有できるため、月次処理や年次処理に関する業務を減らすこともできるでしょう。
※使用できる共有方法は利用環境により異なる

勤務データを管理する

勤怠管理システムに蓄積されているデータは、Power BI を使って可視化ができます。個人の勤怠現状を把握するだけでなく、部署ごとや曜日ごと、年代別などさまざまな切り口で分かりやすく表示することが可能です。‌

例えば、Power BI を活用して各部署の残業時間を可視化することで、問題点が浮き彫りになります。増加傾向にある場合は、早急に対策を検討する必要があるでしょう。‌

また、予定外の休暇と、残業時間あるいは季節との関係性など、複数のデータをクロス分析することで、初めて見えてくる問題点もあります。Power BI を有効活用することで、労働環境の改善や問題の早期発見につながることが期待されます。

小売業での Power BI 活用例

ここからは、小売業での Power BI の活用例をご紹介します。Power BI を活用すると、小売業の課題解決や業務効率化につながります。どのように活用することができるのかチェックしてみましょう。

適正在庫の維持に活用する

小売業では、適正在庫の維持が課題となるケースが多いのです。在庫をシートや数値で管理している場合は全体像が理解しにくく、適正在庫を維持できているのか判断しにくいでしょう。‌Power BI を活用すると在庫数や出庫数、伝票処理数など適正在庫を維持するために必要な数値を集約して管理できます。自動更新の設定を使い、日々の在庫の変動をリアルタイムで反映させることも可能です。
それだけでなく、過去のデータを分析して適正在庫の予測を立てることもできます。例えば、指定した期間の商品販売数をグラフ化し、売れ筋商品を確認したうえで今年の発注数を検討できます。機械学習による予測も活用できるため、過去のデータをもとに適正在庫を維持しやすくなります。

在庫不足時にアラート通知を受け取る

棚卸しや目視での在庫確認では、繫忙期に対応できないことがあります。Power BI は、アラート通知機能を備えています。
‌‌Power BI 上でアラートを通知するルールを設定しておくと、指定の条件に達したときにアラートが届きます。例えば、商品在庫が10になったときにアラート通知を設定しておけば、在庫が完全になくなる前に発注を行うことが可能です。
商品在庫が多い場合は、在庫管理ばかりに注力するとコア業務が疎かになります。Power Bを活用して在庫の少ない商品を特定し自動的に通知を受け取れるようにしておけば、在庫管理にかかる手間を軽減できます。

製造業での Power BI 活用例

最後に、製造業での Power BI の活用例をご紹介します。製造業では生産ラインの最適化や問題の早期発見などに役立てることができるので、参考にしてみてください。

生産の遅延や課題を発見し改善する

製造業では、迅速な問題の発見や課題解消が求められます。とはいえ、製造コストや機械の稼働状況、不良品率などのデータが点在していると、なかなか全体像を理解できません。
Power BI
を活用すると、製造業に関わる重要な指標をまとめて可視化できます。Power BI を確認して稼働状況に遅延が起きており不良品が増えていることが理解できれば、機械の故障やトラブルが考えられるでしょう。損失が大きくなる前に対策を検討することが可能です。
また、リアルタイムでの現状把握だけでなく、一定期間のデータを分析して業務改善に役立てることもできます。例えば、昨年と今年を比較して今年のほうがコストがかかっている場合は原因を追及し、作業内容や材料を見直せるようになります。

生産ラインの稼働率を最適化する

生産ラインの稼働率が適正でないと従業員の負担が大きい、余剰在庫を抱えてしまうなどの問題が発生します。生産ラインの稼働率を最適化するには、日々の稼働率を可視化して改善していくことが欠かせません。
Power BI
を活用すると、機械稼働データや工場稼働日データなどを集約し可視化できます。管理者が日報業務に割く時間も削減できるので、運用しやすくなるでしょう。
また、アラート通知設定をしておけば、稼働率に大幅な変動があったときに通知を受け取ることも可能です。稼働率の変動をいち早く捉えて、生産ラインを最適化するよう改善できます。

具体的な活用事例の記事もご用意しております。ぜひご覧ください。
▼Power BI の導入事例10選と活用のポイントを解説

企業の課題を解決する Power BI の導入をサポート

さまざまな業務での活用例をご紹介しましたが、Power BI はマーケティング領域だけでなく営業や製造業、バックオフィス業務などさまざまな業務をサポートするのに活躍します。
Power BI
に興味はあるものの導入や構築にハードルを感じる場合は、マイクロソフト社認定のパートナー企業であるテクバンがサポートします。

テクバンは企業の課題や目的に応じて、Microsoft 製品やサードパーティ製品を組み合わせる提案も含め、運用サポートまでワンストップで対応します。Power BI に関するお困りごとや相談がありましたら、お気軽にお問い合わせください。
テクバンのPower BI 導入・活用支援サービス

Power BI のライセンスについては、下記の記事で詳しく解説しています。
▼Power BI のライセンスによる違いとは? 価格や機能、選び方を解説

具体例を参考に Power BI の導入を検討しよう

Power BI はデータの可視化や分析などの強みを生かして、業務内容や企業の課題に応じた活用ができます。
アラート通知や予測分析など多彩な機能が搭載されているので、幅広い問題や課題に対応できるところもポイントです。今回紹介した活用例を参考に、Power BI をどのように活用するべきか具体的に検討してみてください。

※本記事の内容は20233月時点のものです。Microsoft 製品の仕様や利用環境は変更する場合があります。