Power BI ライセンスの種類を見る前に、まずは Power BI の基本情報から確認しましょう。「提供されるツール」と「基本的な使用方法」を把握しておくと、ライセンスごとの違いが理解しやすくなります。
Power BIの導入によって組織のデータを有効活用し、業務改善につながった成功事例をご紹介します。効果的なBIツール導入を実現を目指す方におすすめです。
Power BIの導入によって組織のデータを有効活用し、業務改善につながった成功事例をご紹介します。効果的なBIツール導入を実現を目指す方におすすめです。
2023.03.02
#Power BI#価格#機能#選び方
マイクロソフト(Microsoft)社のBIツール「Power BI」には、複数のライセンスがあります。ライセンスの違いは価格だけではなく、機能やできることも異なります。そのため、どれを選べばいいかわからない方も多いのではないでしょうか。
この記事では、Power BI のライセンスによる違いを詳しく解説します。ライセンスの選び方も紹介しますので、Power BI の利用を検討している方はぜひ参考にしてみてください。
Power BI ライセンスの種類を見る前に、まずは Power BI の基本情報から確認しましょう。「提供されるツール」と「基本的な使用方法」を把握しておくと、ライセンスごとの違いが理解しやすくなります。
Power BI では、次の3つのツールが提供されています。
上記3つのツールを使い分けることで、自社のデータを効率的に活用できます。
Power BI の各ツールは、以下の流れで使用します。
複数人でレポートの共有や共同作業をしたいなら、Power BI サービスの利用が必要になります(該当するライセンスは、次項「Power BI のライセンスの種類」をご覧ください)。Power BI Desktop 単独でも、作成・保存したレポートの「.pbixファイル」を直接配布すれば共有自体は可能です。しかし、ユーザー全員へ手動で配布し、データ更新のたびに再配布する手間が生じます。ユーザーのファイルごとにレポートの数値がずれてしまうリスクも生まれるため、基本的にはおすすめしません。
また、Power BI サービスでも直接レポートは作れるものの、アクセスできるデータソースに制限があります。そのため、レポート作成は Power BI Desktop で行う形が一般的です。
Power BI の基礎知識は、以下の記事でさらに詳しく解説しています。
▼Power BI とは? Microsoft が提供する分析ツールの特徴を解説
Power BI のライセンスは、次の4種類があります。
ライセンスごとの特徴を順番に見ていきましょう。
Power BI 無料版は、名前の通り無料で使えるライセンスです。個人用メールアドレスを登録すると、すぐに使い始められます。Power BI Desktop を使ってレポートを作れますが、Power BI サービスによる他ユーザーへの共有はできません。無料版で作成したレポートをどうしても共有したいのであれば、前述の「.pbixファイル」による配布作業が必要です。無料版は個人利用が中心となるライセンスであり、複数人に向けたレポート共有および共同作業には向かない点に注意しましょう。
Power BI Pro は、ユーザー単位で契約する有料ライセンスになります。1ユーザーにつき月額1,250円で、有料ライセンスではもっとも安価です。利用する際は、企業や学校の組織用メールアドレスが必要になります。「Gmail」や「Yahoo!メール」などの個人向けメールアドレスでは登録できません。組織用メールアドレスを持っていない場合は、「Microsoft 365」の試用版での取得がおすすめです。Proはレポートの作成に加え、他ユーザーとのレポート共有および共同作業が可能になります。
Power BI Premium Per User(PPU)は、Proの上位互換版ともいえる有料ライセンスです。ユーザー単位の契約であり、1ユーザー月額2,500円で利用できます。Proよりもストレージ容量などの各種上限が大きく、データの自動更新頻度も高いものです。さらに、Proの全機能が使える上に、テキスト分析や自動機械学習に対応したAI(人工知能)といった多様な機能が搭載されています。複数人によるレポート共有に加え、より高度なBI機能を求める人に適したライセンスです。
Power BI Premium 容量は、容量単位で契約するライセンスです。ここまで紹介した3つのライセンスはユーザー1人ひとりが契約しますが、 Premium容量は企業などの組織単位で契約します。ゆえに、月額料金は1容量につき624,380円と、他のライセンスとは価格帯が異なります。契約する際は、「Pro(またはPPU)+Premium容量」のセット契約が基本です。
理由として、Premium容量単体では、レポートの作成およびPower BIサービスによる公開はできません。Premium容量のワークスペースで行えるのは、ProまたはPPUライセンスで作成・公開されたレポートの共有です。また、ProやPPUライセンスによってPremium容量のワークスペースに公開されたレポートは、無料版ユーザーも共有できます。したがって、Premium容量は閲覧のみのユーザーが多い大規模な企業向けのライセンスといえます。
紹介したライセンスについて、下記3項目に分けて違いを詳しく解説します。
1つずつポイントを説明します。
4つのライセンスは、「ユーザー単位」と「容量単位」の契約に分かれます。
ユーザー単位の各種ライセンスを使う場合、Premium容量の利用は必須ではありません。反対にPremium容量を利用するなら、ユーザー単位の有料ライセンスと合わせて契約します。レポート作成者の人数分のPro(またはPPU)を契約している企業が、必要に応じてPremium容量ライセンスも追加することになります。Premium容量ライセンスを使う場合、レポート閲覧のみ行うユーザーは、無料版ライセンスを使ってPremium容量のワークスペースにアクセスします。
Power BI サービスに公開したレポートなどのコンテンツは、ライセンスによって共有範囲が違います。
このように、ライセンスの組み合わせによって参照できるコンテンツは異なります。複数のライセンスを利用する際は、共有範囲の違いに気をつけましょう。
その他、機能面の違いは以下の表をご覧ください。
項目/ライセンス |
無料版 |
Pro |
PPU |
Premium容量 |
最大ストレージ |
10GB |
10GB |
100TB |
100TB |
自動更新回数上限(1日) |
8回 |
8回 |
48回 |
48回 |
高度AI機能 |
× |
× |
◯ |
◯ |
データフロー作成 |
× |
△ ※一部機能制限あり |
◯ |
◯ |
高度AI機能 |
× |
× |
◯ |
◯ |
ProとPPUは最大ストレージ容量や自動更新回数上限に大きな違いがあります。扱うデータ量が大きいのであれば、PPUの利用を検討すると良いでしょう。
前項で解説したライセンスごとの違いについて、次の一覧表にまとめます。
項目/ライセンス |
無料版 |
Pro |
PPU |
Premium容量 |
利用目的 |
個人的なデータ分析、レポート作成 |
複数人によるレポート共有、共同作業 |
Proの全機能+高度な機能、大容量のストレージを求める企業 |
閲覧ユーザーが非常に多い大企業 |
契約単位 |
ユーザー |
ユーザー |
ユーザー |
容量 |
月額料金 |
0円 |
1,250円 |
2,500円 |
624,380円 |
レポート作成 |
◯ |
◯ |
◯ |
× |
レポート共有 |
× |
◯ |
◯ |
△ ※ユーザーライセンスが必要 |
共同作業 |
× |
◯ |
◯ |
△ ※ユーザーライセンスが必要 |
最大ストレージ |
10GB |
10GB |
100TB |
100TB |
自動更新回数上限(1日) |
8回 |
8回 |
48回 |
48回 |
高度AI機能 |
× |
× |
◯ |
◯ |
データフロー作成 |
× |
△ ※一部機能制限あり |
◯ |
◯ |
高度AI機能 |
× |
× |
◯ |
◯ |
Power BI のライセンスによる違いは把握したものの結局のところ、どれを選べばいいのかわからない方もいるのではないでしょうか。最後に、よくあるケースを3つ挙げ、おすすめのライセンスを紹介します。
レポートなどのコンテンツを他者と共有する必要がないなら、無料版で十分です。具体的には、社内にデータ分析の担当者が1人しかいない場合が当てはまります。なお、他者にレポートを共有したいなら有料ライセンスがおすすめですが、レポートの更新頻度が低いなら無料版でも問題ないといえます。
たとえば、作成したレポートを月1回しか更新しない場合、「.pbixファイル」を他のメンバーに直接配布してもさほど手間はかかりません。データ更新者も1人だけですので、ユーザーが所持するレポートごとにデータがずれる管理ミスも起きないでしょう。あるいは、レポート内容を他のツールへコピーしたり、印刷して配布したりすることでも共有可能です。
Power BI で作成したコンテンツを他者と共有したい場合は、有料ライセンスの「Pro」か「PPU」の契約を検討しましょう。前述の通り「.pbixファイル」による直接共有も可能ですが、活用できるケースは限定的です。スムーズにコンテンツを共有し、共同作業がしたいのなら有料ライセンスをおすすめします。
なお、Premium容量を契約せず、ProやPPUライセンスで作成したコンテンツを他者と共有するためには、共有相手もProまたはPPUのライセンスが必要です。仮に共有相手が閲覧だけする場合でも同様です。Power BI の利用者数に合わせ、ライセンスを契約しましょう。
レポートを共有したいものの、「大多数の閲覧ユーザーの月額料金まで払うのはもったいない」と感じる方もいるでしょう。こうしたケースでは、「レポート作成者の人数×Pro(PPU)のライセンス」にPremium容量を追加したほうが費用を抑えられる場合があります。具体的な分岐点は、「Pro(PPU)の月額×人数」の総額が、「Pro(PPU)ユーザー1人+Premium容量」の総額を超える以下のラインです。
閲覧だけ行うユーザーは無料ライセンスを使うため、有料ユーザーライセンス数はレポート作成者の人数分のみになります。レポート作成者と閲覧者の総数が上記の数値を超えるなら、Premium容量の追加を検討してみてはいかがでしょうか。
詳しい価格計算式や具体例は、以下の記事をご覧ください。
▼Power BI の価格は? 費用を抑える契約ライセンスの考え方や価格計算例を紹介
Power BI は、無料版と3つの有料版ライセンスがあります。有料版は、ユーザーライセンスの「Power BI Pro」と「Power BI Premium Per User(PPU)」、容量ライセンスの「Power BI Premium容量」に分かれます。個人的な利用であれば無料版で十分ですが、組織的に使いたいなら、基本的には有料版がおすすめです。
Power BI を導入する際は、ライセンスによる違いを理解してから選ぶことが大切です。
Power BI を活用したいものの、導入や運用に不安を感じる方は、導入支援サービスの利用もご検討ください。
テクバンのPower BI導入支援サービス
※本記事の内容は2023年6月時点のものです。Microsoft 製品の仕様や利用環境は変更する場合があります。
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